哺乳類

2023/12/23

エゾタヌキ

 キタキツネは昼間でもよく活動するのでしばしば目にする哺乳類だが、それに比べてエゾタヌキはあまり見る機会がない。私の居住地にもエゾタヌキはいて庭先にも来たことがあるのだが、昼間にのこのこ歩いている姿はほとんど見ない。個体数もそれほど多くないのだろうけれど、キタキツネよりも夜行性が強いということもあるのだろう。

 

 キタキツネが精悍な狩猟者というイメージであるのに対し、エゾタヌキは何となくおっとりしていて愛嬌がある。ずんぐりして短い脚という体形と、雑食性であまり狩りをしないことが関係しているのたろう。

 

 人目に付かないだけに、いつまでもひっそりと生き延びてほしいと思う動物の一つ。

 

 写真は、自宅近くでうずくまっていたエゾタヌキ。

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2022年4月10日 北海道十勝地方

 

2023/11/30

ヒグマ

 北海道の山野を歩き回るときにどうしても気になるのがヒグマ。特に近年は市街地にも頻繁に出没するようになったし、ヒグマに襲われる事件も毎年何件か発生している。そんなに見かける動物ではないが、林道を車で走ったり登山をしていると、糞や足跡を見ることはしばしばあった。新しい糞を見つけたときなどは、まだ近くにいるのではないかと神経をとがらせてしまう。そんなわけで、山に行くときはクマ撃退スプレーは持参するようにしている。

 

 これまでにヒグマの姿を見たのは4回。1回は観察会で集団で歩いているときに1頭の若いヒグマが現れた。人が大勢いたことと距離が離れていたこと、成獣ではなかったことなどでパニックになることもなくクマは去っていった。3回は車の中から。林道を走っている時に右手の森林から現れ、車の前を横切って森の中に走って消えたのが1回。林道ではなく舗装道路を走っているときに車の前を横切ったのが1回。道路沿いの森林の中にいたのが1回。

 

 クマを見かけても大抵は写真に撮るような余裕はないのだが、写真は道路沿いの森林の中にいたもの。望遠のきくカメラを持っていなかったので小さい上にピンポケ写真だが、車に乗っていて距離もやや離れていれば恐怖感はない。

 

 北海道はヒグマの生息域でありどこで出会ってもおかしくはないのだが、やはり近くで会いたくはない動物だ。

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2013年6月27日 北海道十勝地方

 

2015/11/17

チョウセンゴヨウと動物たち

 近くの園地に散歩に出かけたら、あちこちの木の下にチョウセンゴヨウの球果(まつぼっくり)がころがっていた。といってもすでに球果は齧られて中の種子は動物に食べられてしまっている。ただ、周囲に数粒落ちているのもある。

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 チョウセンゴヨウはとても大きな球果をつけるゴヨウマツで、その種子は「マツの実」として食用にもされる。人間も食べるくらいだから、動物たちにとっても貴重な食糧になる。

 たしかに園地の近くにチョウセンゴヨウが植えられているのだが、何十メートルも離れたところに球果がころがっているということは、動物が食べるために落ちた球果を運んできたのだろう。この大きな球果を運べる動物はエゾリスに違いない。木の下ばかりに落ちているということは、エゾリスが木の上まで球果を運びあげ、そこで齧りついたのだろう。

 今日はひっそりしていてエゾリスは見られなかったが、大きな球果を一生懸命齧ったり、貯食のためにせわしく走り回る姿が目に浮かぶようだ。そこで、ちょっとネット検索してみたら、まさにそんな様子を写真で紹介したページがあった。

チョウセンゴヨウのマツボックリ(今日のショット【エゾリスとともに~】)

リスの森からの便り(エゾリスと森の仲間たち)

 「オニグルミの不作とエゾリス」に今年はどんぐりもオニグルミも不作だと書いたが、チョウセンゴヨウはそれなりに実をつけたらしい。餌の乏しいこの秋には貴重な食糧に違いない。

 チョウセンゴヨウの実は、エゾリスだけではなく野鳥たちの餌にもなる。ただし種皮が厚いので、これを割って食べられる野鳥はキツツキ類やゴジュウカラなど一部に限られる。彼らは、樹皮の割れ目に種子を嵌めこんで固定し、嘴で割って食べるのだ。下の写真は樹皮の割れ目に残されたチョウセンゴヨウの種皮。

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 ところで、下から覗くとまるで笑顔のようなキノコがあったので、こちらも写真を一枚。

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2015/11/10

オニグルミの不作とエゾリス

 わが家は森林が近いこともあり、家に居ながらにして野鳥や小動物の姿を見ることができる。食事中に庭先の野鳥が気になって双眼鏡を持ち出すこともしばしばある。そんな庭の訪問客の中でもエゾリスは仕草がかわいらしく、しばし見とれてしまう。長い尾でバランスをとりながらすばやく木々を駆け巡ったと思えば、時にぬいぐるみのようにじっとしていることもある。リスというのはなんとも愛嬌がある動物だ。

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 そういえば、今年はエゾリスの大好物であるオニグルミの実がほとんどならなかった。わが家の隣の空き地には2本のオニグルミがある。そして、2本のオニグルミはほぼ毎年、沢山の実をつけていた。だから、私はオニグルミには「なり年」と「不なり年」はなく、毎年コンスタントに実をつけるとばかり思っていた。でも、どうやらそうとも言えないようだ。

 オニグルミに実がならなかったことは、思い返してみても記憶にない。花が咲く時期に受粉を阻害するような異変でもあったのだろうか? しかし、これほど実がならないと、オニグルミを食べるエゾリスやアカネズミにとってはかなり厳しい冬になるのではなかろうか・・・。

 昨年はミズナラのどんぐりが豊作でたわわに実をつけていた。そのためか、今年はどんぐりがほとんど実をつけていない。越冬の巣穴にどんぐりを溜めこみ、その上で冬ごもりをするというシマリスにとって、どんぐりが不作の年は食糧の確保が大変だろう。もちろんシマリスだけではなく、ネズミやエゾリスも大変に違いない。

 どんぐりは、子孫を残すために「なり年」と「不なり年」をつくると言われている。たとえばネズミは冬の食糧としてどんぐりを土に埋めて溜めこむのだが、たくさん実をつけた年には食べきれなかったどんぐりが翌春に芽を出す。ただし、毎年たくさんの実をつけているとネズミが増えすぎて食べ残しのどんぐりがなくなってしまう。つまり「なり年」と「不なり年」をつくるのは植物の生き残り戦略というわけだ。

 自然のめぐみに頼って生活している動物たちにとって、冬の食糧の確保は死活問題に違いない。エゾリスは冬眠をしないので、秋になると冬に備えて木の実などを地中に埋める習性があるのだが、木の実の少ない今年は餌集めもさぞかし大変だろう。

 野生動物にとっては厳しい冬になりそうだが、愛らしいエゾリスの姿を見るにつけ、なんとか無事に乗り切ってほしいと思わずにいられない(もちろん“愛らしい”から乗り切ってほしいと言うわけではないのだけれど・・・)

2013/07/02

然別湖畔でヒグマに遭遇

 先日、然別(しかりべつ)湖畔の道を車で走っていたら、目の前をヒグマが横切った。北海道ではエゾシカやキツネが道路に出てくることはしょっちゅうあるが、道路でヒグマに遭遇することはほとんどないので、やっぱりドッキリする。

 道路を横切ったヒグマは森の奥へ走り去ったのかと思ったら、少し離れたところでこちらを見ていた。親離れして間もないくらいの子どものヒグマだ。

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 北海道で山の中をうろついていると、ヒグマの痕跡はしばしば見かける。足跡、フン、爪痕など。でも、実物のヒグマに遭遇することはほとんどない。シカやキツネのように個体数が多くないということもあるが、ヒグマの方が先に人間の気配を察知して逃げてしまうということもある。私は、これまでヒグマを目撃したのは2回しかなかったが、今回で3回目だ。

 然別湖周辺はもともとヒグマが少ないところだ。かつて士幌高原道路の反対運動をしていた頃は現地視察や調査で然別湖周辺にしばしば出かけたが、ヒグマの痕跡はまず見なかった。だからヒグマに警戒するようなこともほとんどなく、一人でも気軽に歩けた。ただし、全くいないというわけではない。少ないからこそ、たまに出没情報があると話題になる。

 然別湖の岩塊地にクモ調査で通っていた時に、その近くでヒグマが出没したという情報を聞いたことがあった。そのときは、さすがに気になって「熊鈴」をザックに付け熊撃退スプレーも持ち歩いた。また、雪の積もった湖畔の道路にヒグマの足跡が点々とついているのを見たこともある。

 然別湖は標高800メートルのところにあり、周辺は針葉樹林に囲まれている。エゾマツ、トドマツ、アカエゾマツなどを主体に、ダケカンバやナナカマド、オガラバナなどが混在する非常に単純な森林だ。つまり、ヒグマの餌になるような植物が乏しいのだ。

 ヒグマは肉食獣だと思っている人が多いかもしれないが、動物だけではなく植物もかなり食べる。大雪山ではヒグマが高山帯に生息しているが、草地の広がる高山帯は餌が豊富で、とくにハクサンボウフウなどは好物だ。夏は高山帯で過ごし、冬は標高の低いところに移動して越冬する。

 しかし、然別湖周辺の山の大半は標高が1200メートル前後で高山帯を持たない。しかも南東側は十勝平野が広がっていて森林がない。針葉樹林帯だけではヒグマは十分な餌が得られないので、定住が困難なのだろう。ときどき放浪個体が現れても長期間居座ることはほとんどないのだと思う。

 ヒグマは歩いているときには絶対に出合いたくない動物だが、車に乗っているときは、恐怖感はあまりない。もっとも、車に体当たりしたヒグマもいると聞くから、車に乗っていても無闇に近づかない方が賢明だ。

2012/10/24

斜面からころげ落ちて狸寝入りするエゾタヌキ

 先日、林道を車で走行していたときのことだ。路肩にいた動物が車に驚いて道路脇の斜面によじ登ろうとしたのだが、あまりに急斜面だったためにあっけなくころがり落ちるのを目撃した。一瞬のことだったが、色や顔つきからエゾタヌキだ。あんな急な斜面を短足のタヌキが登れるわけがないのだが、タヌキ君は瞬時にそういう判断ができないらしい。

 ころげ落ちたタヌキはどうしたものかと車をバックさせて路肩の溝を覗き込むと、なんと水たまりの脇でうずくまってじっとしている。カメラを向けても逃げようともせず、困ったような顔をしている。

 ほかの動物なら一目散に道路の反対側にでも逃げるのだろうが、タヌキはとっさに逃げることができないらしく、完全に凍りついている。電車に駆け込み乗車しようとして目の前でドアが閉まり、ばつが悪い顔をしている人を連想してしまった。

 車に驚き、斜面からころげ落ちて動転し、ショックで立ち直れないということなのだろうか。これが例の「狸寝入り」なのだろう。これではすぐに捕まってしまうだろうに。

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 だいぶ前のことだが、知人からずいぶんドジなタヌキの話しを聞いた。車庫にタヌキが入り込んで一夜を過ごしたらしいのだが、眠っている間に尻尾が凍りついてしまったという。屋根から落ちた水滴が尻尾を濡らし、夜の冷え込みで凍って地面とくっついてしまったようだ。知人が見つけたときには、動けないでいたそうだ。

 タヌキはマヌケなところがあるのだが、なんとも愛嬌があり憎めない動物だ。北海道ではエゾシカやキタキツネは飽きるほど見られるが、エゾタヌキはあまり見られない。だから、個体数が多いのか少ないのか、減っているのか増えているのかもよく分からない。北国の自然の中でいつまでもひっそりとそしてしぶとく生き続けてほしいと思う。

2012/09/01

ナキウサギが準絶滅危惧種に

 先日、環境省のレッドリストの見直しが行われ、ニホンカワウソが絶滅危惧ⅠA類から絶滅へと変更されたことがニュースになった。そういえば、最近ではカワウソのことはすっかり話題にならなくなっていたが、最後の記録から30年以上も経過しているという。

 絶滅というのは進化の歴史の中でずっと繰り返されてきたことだ。とはいっても、近年は人為的な要因で絶滅種が急増している。いとも簡単に生物を絶滅に追い込んでしまうヒトという生物の責任は重い。

 ところで、今回の見直しに関してマスコミはニホンカワウソの絶滅のことばかり取り上げていたのだが、それだけが変更点ではない。エゾナキウサギが準絶滅危惧種へとランクアップされたのである。

 環境省のホームページに、注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由が説明されている。

別添資料6 

 哺乳類ではニホンカワウソとミヤココキクガシラコウモリが絶滅種とされたほか、エゾナキウサギのランクが上げられ、馬毛島のニホンジカが「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定された。ほかにはゼニガタアザラシ、トドのランクが下げられ、九州地方のツキノワグマが絶滅とみなされて「絶滅のおそれのある地域個体群」から削除された。

 複数の哺乳類が絶滅と判断されたことはたしかに今回の見直しの注目点ではある。しかし、それと同時にエゾナキウサギがランクアップされたことも、北海道にとっては注目すべきニュースだ。ところが北海道新聞をはじめとした北海道のマスコミは、ナキウサギについては取り上げなかったようなのだ。

 その理由は恐らく環境省のプレスリリースに関係していると思われる。8月28日に発表された「報道発表資料」の、「3 注目される種のカテゴリー(ランク)とその変更理由(別添資料6より抜粋)」では「哺乳類」はニホンカワウソと九州地方のツキノワグマの絶滅しか取り上げていないのだ。

 環境省はなぜランクが上がったナキウサギのことを、「注目される種」としてプレスリリースで取り上げなかったのだろうか?

 これまでナキウサギは、「夕張・芦別のエゾナキウサギ」が「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されていただけで、種としてはレッドリストに入っていなかった。しかし、アセス調査などでは以前からナキウサギは希少種として特別扱いされていた。ナキウサギは実質的には絶滅危惧種と同様に認知され扱われているのである。

 また、ナキウサギは本来ならとっくに天然記念物になっていてもおかしくない存在なのだが、なぜか天然記念物になっていない。このために「ナキウサギふぁんくらぶ」が天然記念物指定を求めて署名活動を続けている。

 こうしたことからも今までレッドリストに取り上げられていなかったこと自体が不可解であり、軽視されていたとしか思えない。そして、今回ようやく環境省が準絶滅危惧種として認めたのだ。

 ナキウサギは高山帯の生物という印象が強いが、しかし実際には低山にもそれなりに分布しており、そのような生息地が開発行為や森林伐採などによって影響を受けているのである。士幌高原道路、日高横断道路、そして大規模林道もナキウサギの生息地を破壊する道路計画だった。情けないことに、こういう大規模開発にナキウサギが絡んでいると、自然保護に消極的な環境省は絶滅危惧種に指定したくないという心理が働くのだろう。しかしこれらの道路はいずれも中止になり、足かせがなくなったのである。今回ようやく環境省がナキウサギを準絶滅危惧種に指定したのは、こうした背景も関係しているのではなかろうか。

 ところで、国営美蔓地区かんがい排水事業でもナキウサギの生息地の破壊が問題になっている。加森観光が強引にスキー場開発をしようとしているサホロ岳北斜面は、大雪山系の生息地と日高山脈の生息地をつなぐ重要なナキウサギ生息地なのである。ナキウサギの生息地破壊は今も続いている。

 こうした問題が浮上しているにも関わらず、北海道のマスコミはナキウサギの準絶滅危惧種指定をなんら報じなかったのだ。環境省は今ごろになってようやくレッドリストに入れたことが恥ずかしいのか、プレスリリースにも入れなかった。そしてプレスリリースばかりに頼って深く取材しようとしないマスコミは、ナキウサギのランクアップにも気がつかなかったのだろう。なんともお粗末な話しである。

2012/08/12

置戸町オンネアンズのナキウサギ

 昨日、地形の研究者らに同行して置戸町のオンネアンズに行った。ここは1928年にナキウサギがはじめて確認された場所だ。山火事のあとに植林したカラマツが食害にあい、罠で捕獲を試みたところナキウサギが捕獲されたのである。「はじめて確認された」というのは「北海道でのナキウサギの生息が捕獲によって学術的に明らかにされた」という意味だ。もちろんアイヌの人たちはナキウサギの存在を知っていたのだろうし、入植者もナキウサギのことを「ゴンボネズミ」と呼んでいて存在を知っていた。

 ナキウサギの生息地といえば、大雪山の高山帯のガレ場を連想する人が多いかもしれないが、低山の森林帯にある岩塊地にも生息している。オンネアンズもそのような生息地のひとつだ。そして、このような低山に点在する生息地こそ道路建設や伐採などによって破壊される危険性が高いのである。

 オンネアンズ川流域は網の目のように林道が張り巡らされているのだが、この日は2カ所の生息地を確認することができた。一カ所は林道の奥にある岩塊堆積地で、規模は大きくはない。ここではナキウサギが噛み切ったベニバナヤマシャクヤクがあった。

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 もう一カ所は、「ナキウサギがはじめて捕獲された場所」と思われるところだ。林道からは岩塊地は見えないが、林内に入ると岩塊のある斜面が点在している。ただし、広大な露岩帯が広がっているわけではなく、航空写真などでは分からない。地形の研究者によると地滑り地形とのことだ。

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 岩塊の中に貯食が見られたほか、噛み切った植物もあった。また鳴き声も2回聞かれた。ここでは今でもナキウサギが生き続けているのである。

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 尾根の上部は平坦地となっており、おそらくここに植えられたカラマツの苗が食べられたのだろう。

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 ここには冷気が吹き出す風穴も見られた。岩の隙間に温度計を差し込むと6度前後まで温度が下がった。

 

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 じっくりと探せば、この一帯にはほかにも生息地があるのだろう。置戸町には中山風穴(春日風穴)もあり、ナキウサギ生息地が点々とある。ナキウサギ生息地に大規模林道も予定されていたが中止になった。これ以上、ナキウサギ生息地を壊すことのないように願いたい。

2009/10/22

北海道のヒグマ出没予報の精度

 北海道は、この秋からヒグマ出没予想の情報提供をはじめました( 9月18日付北海道新聞)。これによると渡島半島部を除き例年並の出没だろうとのことです。これは、ドングリ・ヤマブドウのなり具合が例年並だという判断に基づいています。

 十勝管内では10月18日に浦幌町内で、20日に新得・清水間でヒグマが特急列車に衝突したという報道がありました。さる9月26日には糠平温泉近くの国道273号でバスにヒグマがぶつかっています。また、この夏以降、十勝北部の三股山荘のまわりや然別湖近くの道路にしばしば出没して話題になっていました。こうした情報から、ヒグマが餌を求めてかなり広範囲に歩きまわっている様子がうかがえます。

 過去にもドングリが不成りの年には、夏からヒグマが人里に出てくることがありました。そこで、今年のミズナラドングリのなり具合を調べてみたのですが、糠平ではまったくドングリをつけた様子がありません(これは昨年豊作だったので予期された結果なのですが)。さらに確認のため、9月27日に然別湖付近および十勝川上流に出かけた際に、ドングリの成り具合を調べてみました。然別湖の白樺峠で二本のミズナラにそれぞれ1粒のドングリが確認できただけで、それ以外のところではドングリをつけたミズナラを見つけることができませんでした。不作を通り越して凶作といえるほどの不成りです。

 北海道は例年並の成りとしているのですが、少なくとも十勝北部では、この判定はあたっていません。これが続発したヒグマの交通事故と、例年並みという出没情報の乖離の原因ではないでしょうか。北海道が予想するにあたって判断材料としたのは、主に道内の大学研究林から集められたデータでした。十勝地方からは足寄町の九州大学のデータだけで、その足寄のデータは凶作となっていました。

 ヒグマの出没予想情報を出すことに異存はありませんが、もう少し判定の精度を高めるための努力をしてもらいたいものです。北海道には鳥獣保護員という制度があったはずです。彼らからドングリの成り具合について情報を寄せてもらい、サンプリング地点を増やすなどすれば精度向上に繋がるでしょう。

2009/06/09

クマが通り抜けたベア・マウンテンのフェンス

 十勝のサホロリゾートにあるヒグマの放牧施設「ベア・マウンテン」のフェンスをはじめて見たときには、「シカやキツネならともかく、ヒグマを飼う施設のフェンスなのか?」と目を疑いました。電気柵を設置し、柵を二重にしているとはいうものの、金網製のちゃちなフェンスなのですから。十勝自然保護協会では、開園前から許可を出した十勝支庁や事業者の加森観光に、さまざまな疑問点ついて問いただしてきました。しかし十勝支庁は「『北海道動物の愛護及び管理に関する条例施行規則』で定める施設基準に適合しているかどうか審査し,また現地調査し,適合したものであると判断したところであります」として、許可が適正であったと主張しました。

 ところが、開園後まもなく外部から視察したところ、外周フェンスにクマが容易に通り抜けできる大きな空隙があったことを発見したのです。そこで再度、質問書を送付したのですが、回答期限を2週間もオーバーして届いた回答も、先の回答と基本的に変わらないものでした。現地調査をしているのに、クマが通り抜けできる穴のあるフェンスが、条例で定める基準に適合しているというわけです!! その後、この空隙には事業者によって金属製の格子が取り付けられました。

 これで問題がなくなったかといえば、とんでもありません。実は、冬季閉園中に野生のヒグマが二重のフェンスの間に入り込み、外周フェンスを通り抜けてしまったとの情報がありました。この件について十勝支庁に質問書を送付したところ、ヒグマの侵入についてはあっさりと認め、フェンスを通り抜けたことも否定しませんでした。穴を塞いでも、ヒグマが通り抜けできるフェンスだったことが証明されたといえましょう。これは、フェンスが条例で定めた基準を満たしていなかったことを意味します。常識的に考えたなら、許可を取り消さなければならない事態ではないでしょうか。

 で、十勝支庁に見解を求めたのですが、「サホロリゾート ベアマウンテンのヒグマ飼養施設については、動物愛護及び管理に関する法律の基準に従い、飼養しているヒグマの逸走を防止出来る構造及び飼養の方法について支障無いことを確認し、許可しております」という回答が、質問をした翌々日に返ってきました。都合の悪いことには一切答えず、「臭いものに蓋」をするかのような回答です。この許可の件は、十勝支庁にとってよほど都合が悪いことなのでしょう。

 この問題については、JanJanの以下の記事も参照してください。

自然な生態展示できるのか 北海道・新得町に建設中のヒグマ放牧施設 

餌の与え方、安全性に疑問残る北海道のヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」

危ういフェンス・ヒグマ放牧施設「ベア・マウンテン」

北海道ヒグマ放牧施設 「ベア・マウンテン」は条例違反か

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