羅臼岳でのヒグマ人身事故について思うこと
8月14日に羅臼岳の登山道で登山者がヒグマに襲われ死亡するという痛ましい事故が起きた。その事故について知床財団が調査速報を公表した。これによって、マスコミ報道ではよく分からなかったことも知ることができた。以下が調査速報。
2025年羅臼岳登山道におけるヒグマ人身事故に関する調査速報
この報告書から、被害にあった場所はヒグの好物であるアリが多産する場所であったこと、見通しの悪い場所であったこと、被害者は走って下山していたらしいこと、被害者は熊撃退スプレーを所持していなかった可能性が高いこと、同行者は「クマよけスプレー」と謳っている商品を所持していたがヒグマに対応した製品ではなく、かつ再利用品で、事故発生時に使用を試みたが噴射はできなかった、ということが分かる。
被害者を襲った親子グマは多数の人に目撃されていたが、今までは人身事故には至っていなかった。ということは、人慣れしていたものの通常ならクマの方から人を襲う危険性は低かったのではなかろうか。今回はたまたま悪条件が重なってしまい、走ってきた被害者と鉢合わせになって襲ってしまった可能性が高い。何ともお気の毒としか言いようがない。
もし、現場がクマの採餌場であることを登山者が知っていれば、つまり登山道の前後に警告の立て札などがあれば登山者も警戒して音を出しながら歩いたりクマ撃退スプレーを構えて歩くなどして、被害を避けることができたのではなかろうか。かつては、「クマは人間の気配を感じるとクマの方が避ける」と言われていた。クマ鈴などで人の存在を知らせるのはそのためだ。仮に遭遇してしまっても、ヒグマに対応した撃退スプレーを所持していれば、命を奪われることはなかったかもしれない。いざとなればナタやナイフで戦うという手もあるが、そのあたりは個人の判断に任せたい。
クマ撃退スプレーについてはどれほど有効なのかという議論もあるだろうし、必ず撃退できるという保証はないものの、私自身はクマの被害を防ぐためにかなり有効ではないかと思っている。もちろん専用ホルダーなどを利用してすぐに噴射できるようにして持ち歩かなければならないし、至近距離で顔に向けて噴射しなければならないので、上手くいかない場合もあるだろう。しかし、なにもないよりははるかに助かる可能性が高い。もちろん、北海道であればヒグマに対応した製品でなければならない。ただ、高価(1~2万円)である上に、飛行機で運ぶことができない。本州から北海道に登山にくる人にとってはハードルが高い。
近年はレンタルも増えているようなので、今後はさらにレンタルしやすくする工夫は必要だと思う。登山口の山小屋や登山口に近い宿泊施設や公共施設、レンタカー会社などでも扱うようにすれば、持ち歩く人も増えるのではなかろうか。
ところで、気になるのはクマ撃退スプレーの有効期限だ。多くの人はクマ撃退スプレーを購入しても使わないうちに期限が切れてしまう。私も若い頃は登山をしたのでクマ撃退スプレーは持っているが、使用期限はとっくに過ぎてしまった。いつまで使えるのだろうかと思っていたら、期限切れスプレーで実験をした人がいた。
結論から言うと、期限が数年切れたくらいであれば、噴射距離がやや縮まることはあるものの効果はさほど落ちないようだ。ただ、あまり古いものはやはり買い替えたほうがよさそうだ。クマ撃退スプレーはかなり強力な唐辛子エキスなので、これを顔面(とくに目)に向けて噴射されれば、大型のヒグマといえど怯むだろう。
先日ホームセンターに行ったら、入口に「クマ撃退スプレーあります」という張り紙があった。以前は登山用品店でなければ購入できなかったが、街中でもクマが出没する昨今は需要も増えているのだろう。
クマと人の共生とは言っても、やはりまずは人がクマを近づけない工夫が必要だ。ただ、人慣れして人を襲うようになったクマは放置するわけにはいかない。クマの被害が発生してクマを射殺するたびに、地元自治体に苦情の電話やメールが殺到すると聞くが、クレームを入れたところで被害がなくなるわけではない。
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