(オオ)モクメシャチホコの繭づくり
昨日(8月26日)、大きな蛾の幼虫を見つけた。写真を撮ってから、さてどうしよう?とちょっと迷った挙句、持ち帰った。食草にいたわけではなく、大きさからも間もなく蛹になるのだろうと判断したからだ。下の写真は上から見たところと右側および左側から見たところ。
後で気が付いたのだが、左側に何か小さな粒々が付いている。もしかして、何かに寄生されたのか? 下の写真はその拡大。
家に帰ってからプラスチック容器に入れたのだが、しきりに底を動き回っている。まず、何の幼虫なのか調べてみた。一部のシャチホコガの幼虫は尾部に2本の突起がある。しかし、シャチホコガだとしたらかなり大型の種だ。大型のシャチホコガの幼虫を調べてみて、モクメシャチホコにたどり着いた。モクメシャチホコの幼虫は側面が緑で背面がこげ茶色をしており、その堺は白い線で区切られている。しかし老熟した幼虫は赤褐色になることをこちらで知った。おそらく私の見つけた幼虫は蛹になる直前の老熟個体だろう。
しかし、モクメシャチホコの他に、よく似たオオモクメシャチホコという蛾もいる。オオモクメシャチホコの幼虫はこちら。色彩はモクメシャチホコに似ているが、側面中央に白い縦条が入っている。私が見つけたものは、明瞭な白線はないものの、側面の下部に白い斑点がある。とすると、オオモクメシャチホコの老熟幼虫かもしれない。どちらもヤナギ科の植物を食べるとのことだが、確かに近くにはドロノキなどがある。
さて、幼虫がしきりに動き回っているということは、繭をつくる場所を探しているのかもしれない。プラスチック容器では壁を登れないので、木片を入れてみた。すると、すぐに木片に移り、口から糸を出して体を網で覆い始めた。クスサンのつくる「すかしだわら」に似ている。
網目状のままなら中で蛹になる様子が観察できそうだが、残念ながら網目の隙間を糸で塞ぎ始めた。そして、塞ぎながら木片の屑を付けている。
翌朝に見たら、すっかり糸と木くずに覆われてしまった。木くずをつけることで、繭を頑丈に、かつ見つかりにくくしているのだろう。これでは中で蛹になる様子は見られない。
さて、モクメシャチホコの成虫は6~7月に出現するようだ。とすると、来年の初夏までこのまま蛹で過ごすということになるのだろう。ただし、飼育下ではもっと早く羽化してしまうかもしれない。以前、キアゲハの終齢幼虫を何匹か紙箱に入れておいたら蓋を押し開けて逃げ出し、まだ雪があるような時期に部屋の中でキアゲハが飛び始めたことがあった。家具の裏などで蛹になり、それが羽化したのだろう。冬の寒さにあたらないと、早く羽化してしまうのだと思う。
私はモクメシャチホコもオオモクメシャチホコも見たことがないので、是非見てみたい蛾だ。もっともこの幼虫は寄生されている可能性が高く、羽化できないのではないかと思っている。とりあえず、何が出てくるのか様子を見たい。
ちなみに、幼虫の尾部の2本の突起は何だろうと思っていたのだが、外敵が近づくとこの突起の先から赤いミミズのような物体を出して威嚇するという。どうやら身を護るための武器らしい。以下参照。
お尻の角からミミズ風の物体を出す奇怪なイモムシ=オオモクメシャチホコ
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