アトジロサビカミキリ
全体的に黒っぽく、上翅の後方に白い帯がある小さなカミキリムシ。上翅の翅端は突出している。写真の個体は体長8mm。カミキリムシ科。
2024年7月31日 北海道十勝地方
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全体的に黒っぽく、上翅の後方に白い帯がある小さなカミキリムシ。上翅の翅端は突出している。写真の個体は体長8mm。カミキリムシ科。
2024年7月31日 北海道十勝地方
Idaea属は外見だけでは同定が困難な種が多いが、本種は分かりやすい色彩、斑紋をしている。前翅長約9mm。シャクガ科。
2024年7月30日 北海道十勝地方
淡褐色の地色に白い波型の横線が並ぶ美しいシャクガだが、翅を開いて止まってくれない。翅を立てて止まる姿はまるでチョウのよう。前翅長は15mmくらい。シャクガ科。
2024年7月27日 北海道十勝地方
玄関灯に可愛らしいハンミョウが飛んできた。暗くて色彩がよく分からないが、上翅に細い曲線の模様があるエリザハンミョウ(別名ヒメハンミョウ)だった。砂地に生息し海岸に多いようだが内陸の砂地にも生息する。体長は10mmくらい。オサムシ科。
2024年7月27日 北海道十勝地方
あまり良い写真ではないが、いろいろ調べてたどり着いたのがエゾキヒメシャク。地色は淡いベージュで、横線の色が黒っぽく、曲がり具合などからエゾキヒメシャクと同定したが、あまり自信はない。間違っていたら教えてほしい。道東と利尻島に分布する。写真の個体の前翅長は13mm。シャクガ科。
2024年7月25日 北海道十勝地方
このところ私のブログは昆虫の紹介ばかりになっている。散歩がてらに撮影した虫やクモをアップするのは単に私の趣味ということもあるが、身近なところに素晴らしい生物の世界があることを知ってもらいたいという想いもある。おそらく世の中の多くの人が虫嫌いではないかと思うのだが、さまざまな昆虫写真を紹介することで、少しでもその「嫌い」が取り除けるのなら嬉しいと思っている。
私自身、子どもの頃から昆虫が好きだったけれど、虫採りの対象はチョウやトンボ、甲虫類が主だった。蛾は大嫌いというほどではないけれど、あまり興味は持てなかった。しかし、ここ数年、蛾の写真を撮るようになってから、蛾の世界に惹かれるようになった。夜行性のものが多く、地味で胴体が太くて何となく近寄りがたいというイメージはまさに思い込みでしかなかった。実際に蛾の写真を撮るようになり、非常に美しい色彩や斑紋を持ったもの、複雑で繊細な模様をしているものなど、決して地味な種ばかりではないことを知った。特に小蛾類は、金色や銀色の斑紋を持っているなど、小さいながら目を見張るような美しい蛾がいる。そして、蛾は実に種類が多い。その多様性にも惹かれる。もちろんそれは蛾に限ったことではなく、ハチやハエなどの小さな虫たちにも言える。
ところが、私たち人類は生物の多様性を破壊しつづけている。私が学生の頃、登山のために大雪山の麓の愛山渓温泉に泊ったことがある。ここはチョウを採集する人たちには人気のスポットのようで、チョウの愛好家の学生が数人泊っており、夜に部屋に呼ばれて話し込んだことがある。彼ら曰く、ここでもチョウが減っていると言っていた。今から四十数年前のことだ。今はさらに減ってしまったに違いない。虫など何の興味もない人にとってはチョウが減っていることなど気づきもしないのだろうけれど、チョウに限らず多くの昆虫が知らず知らずのうちに減っている。もちろん、その減少には人が大きく関わっている。
【参考記事】
「昆虫は絶滅の危機に瀕している」ことがアマチュアグループの長期的調査のデータから明らかに
虫などいなくなっても何の問題もない、などと思っている人もいるかもしれない。しかし、それはとんでもない間違いだ。生物は多様な種が複雑に関わり合いながら生態系をつくっている。もちろん、人類もその生態系の一員だ。自然破壊や環境汚染は生物が生きていく基盤を破壊することに他ならない。人が森林を伐採したり、湿原を埋め立てたり、海を汚染して自然を破壊してしまえば、生物の多様性は失われ、生態系のバランスが崩れることになる。農薬や化学物質などで激減した生物もいるだろう。いったい人類はどれほどの生物を激減させ絶滅に追い込んだのだろうかと思うと、背筋が寒くなる。
生物多様性を損なうことを続けていれば、やがて人類の生存も脅かされることになるだろう。例えば、花粉を媒介する訪花性昆虫が減れば、野菜や果樹が実をつけなくなるかもしれない。農地の微生物は農薬や化学肥料の大量使用で減り、土壌が劣化している。レイチェル・カーソンが「沈黙の春」を著して農薬の使用に警鐘を鳴らしてから62年が経つが、彼女の警告が現実のものになりつつある。
昆虫の減少の原因は自然破壊や農薬だけではない。近年は5Gの基地局の設置が日本全国で進められているが、5Gの電磁波も昆虫をはじめとした生物に悪影響を与えると言われている。LED照明も然り。もちろん人間の健康被害も懸念されている。
一度絶滅してしまった生物は、蘇らせることはできない。そして、どんな生物種もあるべくしてこの世に存在している。今は分かっていなくても、私たちが生きていく上でなくてはならない生物もいるだろう。どれほどの時間をかけて進化したのか分からない尊い生き物たちを、人というたった一種の生物が次々と絶滅に追い込んでいるのだから、実に罪深い。多様な生物との共存を目指さなければ、人類の未来も危ういものになるだろうに。だからこそ、虫を見ただけで大騒ぎをし、殺虫剤を持って追いかけるようなことはやめてほしいと思う。
農業も大規模化が進んだが、農薬と化学肥料に頼る農業は見直していかなければならないだろう。農薬も肥料も使わずに立派な野菜を育てている農家の人もいるのだから、国が本気でそのような農家を支援すれば、変えていくことは不可能ではない。人類は環境を破壊しすぎたし、汚染しすぎた。
毎日のように小さな生き物の写真を撮りながら、こんなに多種多様な生物を生み出した地球の奇跡に驚嘆し、生物多様性の奥深さや重要さを噛みしめている。
ヒラヒラと青緑の蛾が飛んできで止まったのだが、一枚だけシャッターを切ったら飛んでしまい、ピンボケ写真しか撮れなかった。アオシヤクの仲間かと思ったが、ナミシャク亜科のアオナミシャクだった。北隆館の図鑑によれば寒地性の種とのこと。「みんな蛾」には幼虫の食餌󠄀植物がマツ科のアカトドマツとなっている。アカトドマツって何だろう?と思って調べてみたら、トドマツの別名のようだ。ということは、モミ属の植物を食べるのだろうか。前翅長は13mm前後。シャクガ科。
2024年7月7日 北海道十勝地方
黒褐色で、外横線の外側は白っぽくなるナミシャク。腹部は褐色をしている。幼虫はキツリフネやツリフネソウなどを食べる。前翅長は13mm前後。シャクガ科。
2024年7月19日 北海道十勝地方
片側だけ翅を開いて止まっていたハガタナミシャク。内横線と外横線が中央付近でつながるのが特徴だというが、写真の個体のように連結部があまり明瞭ではないものもいる。写真の個体は前翅長18mm。シャクガ科。
2024年7月9日 北海道十勝地方
高いところに止まっていたので鮮明な写真が撮れなかったが、全体的に褐色で、前翅には2本の濃褐色のラインがあるエダシャク。翅頂は淡色になる。幼虫はカエデ類を食べる。シャクガ科。
2024年6月28日 北海道十勝地方
モノトーンで目立った斑紋もなく、何とも地味な印象のエダシャク。「シロモン」というのは、前翅の外縁寄りの中央付近に白っぽい紋が出ることに由来すると思われるが、写真のように白い紋が明瞭ではない個体もいる。幼虫の食餌植物はカバノキ科やブナ科など。写真の個体は前翅長13mmくらい。シャクガ科。
2024年7月1日 北海道十勝地方
和名の「ヘリジロ」は前翅の前縁が白いことから、「ヨツメ」は、各翅に一つずつある黒点からきているのだろう。それら以上に目に付くのが、前翅の後角と後翅の翅頂にある赤褐色の斑紋。幼虫はブナ科のコナラを食べるとのことだが、このあたりにはミズナラしかないのでミズナラも食べるのだと思う。写真の個体は前翅長13mm。シャクガ科。
2024年7月6日 北海道十勝地方
今までキタウンモンエダシャクは見たことがなかったのだが、今年はよく目にする。蛾も年によって発生数がかなり異なるようだ。翅は全体的に暗い色彩をしており横線も黒いが、外縁にそって褐色の帯がある。また、腹部背面に白いラインがありよく目立つ。幼虫はヤナギ類を食べる。前翅長は23mm前後。シャクガ科。
2024年7月9日 北海道十勝地方
遠くから見ると白いシャクガに見えるが、近づいて見ると白い地に3本の淡い黄褐色の横線があり、翅全体に灰色の短線が散らばっている。雄は、前翅後縁の毛が黄褐色になる。幼虫の食餌󠄀植物はカバノキ科。前翅長は15mm前後。シャクガ科。
雌 2024年7月17日 北海道十勝地方
前翅がこげ茶色と灰白色に染め分けられた特徴的な斑紋を持つ美しいトガリバ。幼虫はクルミ科の葉を食べる。前翅長は24mm。カギバガ科。
2024年7月12日 北海道十勝地方
斎藤幸平さんの「人新世の『資本論』」はベストセラーとなりかなりの部数が売れたようだ。とは言うものの、やはり大多数の人たちが今も資本主義を支持し、経済成長を支持しているのが現実だろう。つい先日も、脱成長を批判する投稿をX(旧ツイッター)で見かけた。
いったいなぜ、そんなに資本主義や経済成長に頼りたい人が沢山いるのだろうか? ソ連や中国の社会主義がダメだったから資本主義しかないと思っている人も多いのかもしれないけれど、だからといって経済成長を続けなければならない理由にはならない。ちなみに斎藤幸平氏は、「20世紀に社会主義を掲げた国の実態は労働者のための社会主義とは呼べない単なる独裁体制にすぎなかった。それは資本家の代わりに党と官僚が経済を牛耳る『国家資本主義』だったのです」と「ゼロからの『資本論』」で書いているが、私もその通りだと思う。
私たちの住む地球は、人類によって大きく破壊されてしまった。原生林は次々と伐採され、湿地は埋め立てられ、人の手の加わっていない自然はどんどん無くなっている。自然破壊に伴って多くの生物が絶滅したり絶滅の危機に立たされて生物多様性が破壊されている。
海も陸地も大気も化学物質で汚染され、その汚染物質を体内に取り込んだことで生物も汚染されている。私たち人間は紛れもなくこの地球上の生態系の一員であり、自然環境がなければ生きていけない。自然によって生かされている存在だ。そして、すでに人類の危機は始まっている。それなのに、経済成長、経済成長といって自然を破壊し、環境汚染を続け、自然を蝕んできた。経済成長とはいずれ自分達の首を絞める行為に他ならないのに、なぜそんなに経済成長に捉われてしまうのだろう?
それは「足るを知る」という精神を忘れてしまったからではなかろうか。
長く生きていて実感するのは、人が生きていくために必要なものはそれほど多くはないということ。しかし、次から次へと物をつくりだしては捨てるという資本主義によって、私たちは不要なものまで大量に所有するようになってしまった。私自身も例外ではない。少しずつ物の整理をしてきたが、なぜこれほど物を溜めてしまったのかと思う(もらいものが多いのだが)。
そんな生活に慣れた結果、「毎日同じ服を着ているわけにはいかない」とか、「新しい機種が出たから買い換えよう」というような思考になってはいないだろうか?
人の欲とは際限がないもので、店先に素敵な衣類が売られており金銭的に余裕があれば衝動買いをしてしまうこともあるだろう。しかし、その結果は大量の衣類を所有することになり、古い(といってもまだまだ十分に着られる)ものを処分するようなことになってしまう。私たちの生活はこうやって資本主義によって大量に作り出された「商品」に振り回されている。
しかし、欲しい物を手に入れることができたところで、嬉しいのははじめのうちだけで、大抵はすぐに「もっといい性能のものが欲しい」「新しい製品が欲しい」という欲望が湧いてきて際限がない。そして、物質的な豊かさが、人の幸福感と結びついているわけではない。お金を持っていれば安心感はあるかもしれないけれど、しかし、お金持ちが幸福とは限らないし、質素な暮らしをしていても精神的に安定して幸せな人は沢山いるだろう。むしろ、精神的に安定している人こそ、物に執着しないのではないかと思えてくる。
狩猟採集生活をしている民族は今も少数いるが、まさに「足るを知る」という生活を続けている。もともと生物というのはそういう暮らしをしてきたからこそ現代まで生き延びてきたはずだ。
「脱成長」というと、「江戸時代の生活に戻る気か?」と言い出す人がいるが、何も今の利便性をすべて手放して昔の生活に戻れなどとは言っていない。本当に必要なものだけを生産し、生み出した商品はできるだけ平等に分けてなるべく長く使うような社会に転換していけばいいだけだ。もちろん簡単ではないけれど、そういう方向転換をしない限り、地球は持たない。
人類は、もういい加減にこのことに気づいていいのではないか? 資本主義に毒された人たちに必要なのは、まさに「足るを知る」という精神だと思う。
まるでチョウのように翅を閉じて止まっているシャクガがいた。まずは閉じた状態の裏側の写真を撮り、その後、翅の表側を見たいと思ってちょっとつついてみたが、どうしても翅を開いてくれない。家に帰って調べると、サラサエダシャクと分かった。そして、ネット上の写真も翅を閉じているものが圧倒的に多い。このエダシャクは翅を閉じて止まるのが通常の変わり者のようだ。幼虫はブナ科、クルミ科、バラ科など様々な樹木の葉を食べる。前翅長は14mm。シャクガ科。
2024年7月12日 北海道十勝地方
エゾハルゼミの声が聞かれなくなるとコエゾゼミが鳴き始め、いよいよ夏も盛りの季節になる。今朝の散歩ではコエゾゼミの羽化を見ることができたので、その様子を紹介したい。およそ1時間で翅はほぼ伸びきったのではないかと思う。羽化したての淡いエメラルドグリーンの翅は何とも美しい。
5時32分 見つけた時。
5時52分
6時8分
6時36分
擦れて斑紋が不明瞭だが、前翅には黒い内横線と外横線があり、内横線の内側には濃褐色~黒褐色の帯、外横線の外側には赤褐色の帯がある。幼虫はマツ科の球果を食べるそうだ。前翅長14mm。シャクガ科。
2024年7月1日 北海道十勝地方
灰色の地に褐色と黒の横線をもつナミシャクで、特に褐色の横線が目立つ。前翅長は10mmほど。シャクガ科。
2024年7月1日 北海道十勝地方
とても特徴的な斑紋がある褐色のコガネムシ。体には粉がついていて、はがれると斑紋が不明瞭になるらしい。この写真では分かりづらいが、後脚がかなり長い。写真の個体は体長9mm。コガネムシ科。
2024年7月8日 北海道十勝地方
6月18日のこと、ヒョウモンチョウと思われるチョウの蛹を見つけた。つついてみると、ピクピクとよく動く。子どもの頃からチョウの蛹を見つけると持ち帰るのが好きだった私は、「まあ、このあたりでよく見かけるヒョウモンチョウが出てくるのだろう」と思いつつも持ち帰ってみた。いい歳をして、子どものようなことをやっている。
ぶら下がっているタイプの蛹はぶら下げておかないとうまく羽化できないので、プラスチック容器の蓋に接着剤で止めてぶら下げておいた。ところが、持ち帰って1、2日経ったら蛹を触っても動かなくなってしまった。何か嫌な予感。
23日の朝に容器を見ると、10mmくらいの蛆虫が容器の中をうごめいている。やはり寄生されていた。蛹が動かなくなった時点で、チョウは死んでしまったのだろう。幼虫が容器の中をしきりに動き回っているので、これは土に潜って蛹になるタイプではないかと思い、容器の底に浅く土を入れてみると、すぐに潜ってしまった。
そして7月5日の朝、大きなハエが羽化していた。大きさは12mmほど。種名は分からないががヤドリバエのようだ。
子どもの頃にアゲハチョウの幼虫をよく飼育した。蛹からチョウが羽化するのを楽しみにしていたら、ある日、飼育容器の中をハチがブンブンが飛び回っていてびっくりしたことがある。その時にチョウにハチが寄生することがよくあるのだと知った。宿主のチョウは気の毒だが、自然の摂理なので仕方ない。寄生をするハチやハエも、自分の子孫が生き残れるように必死なのだろう。
こちらは羽化に失敗したヒョウモンチョウ。蛹になる場所が悪かったのだろう。まだ生きていたが、蛹から抜け出ることができてももう翅は伸びないので飛ぶことはできない。当たりまえだけれど、野鳥などに食べられず、寄生もされず、羽化にも失敗せずに無事に成虫になり優雅に飛び回るチョウは、ごく一部にすぎない。
前翅、後翅それぞれに一つずつ白く縁どられた褐色の斑紋をもつ、緑色の綺麗なシャクガ。写真の個体は触角が櫛歯状なので雄。幼虫はズミやヒサカキ、タラノキなど様々な植物を食べるようだ。前翅長は10mm前後。シャクガ科。
2024年7月6日 北海道十勝地方
白い地に黒い帯と斑紋があるエダシャクで、斑紋は個体によって濃淡や大きさに変異があるようだ。幼虫はバラ科植物の葉を食べる。写真の個体は前翅長15mm。シャクガ科。
2024年7月2日 北海道十勝地方
翅の地色は淡いベージュで、前翅と後翅にそれぞれ一つずつ灰褐色の輪で囲まれた白点がある洒落た感じのヒメシャク。寒地に生息する蛾。幼虫はカバノキ科の植物を食べる。前翅長は11mmくらい。シャクガ科。
2024年7月1日 北海道十勝地方
我が家には香料の入った製品はほぼない。私が香料に過敏で匂いで体調を崩してしまうために、香料の入った製品を買わないようにしているからだ。洗濯や台所用の洗剤は香料無添加の粉せっけん、洗面所やお風呂の固形石鹸も香料無添加、シャンプーは湯シャンなので使わない。トイレの洗剤の匂いがきつくて辛かったが、これはクエン酸に変えることで解決した。化粧はほぼしないが、稀に化粧をするときは香料無添加のもの。化粧水は精製水ににがりを入れたにがり化粧水を使っている。
子どもの頃は洗剤などに含まれる香料はさほど気にならなかったが、次第に香料で具合が悪くなるようになった。たとえば電車の中での化粧品の匂い。若い頃は電車で通学、通勤をしていたが、女性専用車は化粧品の香りが充満していて気持ちが悪くなるのでなるべく避けていた。決定的に香りがダメだと悟ったのは、若い頃に入っていた合唱団の公演のとき。化粧をした女性の集団の中でライトを浴びているうちに頭痛と吐き気に襲われて立っていられなくなり、そっと舞台の袖に引っ込んだ。
今は北海道の片田舎に住んでいて人混みにはほとんど行かないので、こうした香りによる被害はほぼなくなったが、それでも外を歩いていて少しだけ開けた窓から室内干しの柔軟剤の匂いが漂ってくるだけで、足早に通り過ぎる。柔軟剤がいつ頃から流行り始めたのか覚えていないが、柔軟剤の匂いは香料過敏症の人にとっては強烈で、一刻も早くその場から離れたくなる。
恐らく柔軟剤が登場してからだと思うが、それまで以上に匂いで体調を崩す「香害」を訴える人が多くなったように思う。柔軟剤には香り成分を閉じ込めるマイクロカプセルが用いられていることが関係しているのだろう。マイクロカプセルを衣類に付着させ、香りをより長く維持しようということのようだが、当然、人がそれを吸い込むことになる。
柔軟剤の香りが好きな人にとってはその香りが心地よいのかもしれないが、香りに過敏な人は頭痛や吐き気などで大変なことになる。実際に、外出できなくなってしまう人もいるという。ある人にとっては心地よくても、一部の人にとっては害悪でしかない。それに、今は心地よいと思っている人も、日常的に大量の化学物質を吸い込んでいることに変わりはなく、健康にいいわけがない。今は大丈夫でも、そのうち何等かの悪影響が出てくるのではなかろうか。匂いに過敏な人は「炭鉱のカナリア」なのだから、過敏症の人が増えてきているということは、「このままだと危険」だと警告していることに他ならない。
衣類に香りがなければ困るなどということは決してない。一部の人の好みのために、有害な化学物質をまき散らして他者の健康を害するのであれば、公害でしかない。なぜそこまでして衣類に香りをつけようとするのか、私にはさっぱり分からない。
国が洗剤や柔軟剤などへの香料の添加を禁止すればいいだけの話なのだが、なぜか一向にそのような方向に向かわない。多くの人がマイクロカプセルという化学物質を吸い込んでしまっていることの危険性を認識するべきだと思う。
洗剤や柔軟剤、化粧品などに含まれる香りが好きな人がいるのは分かるけれど、すでに「公害」となっている以上、使用を慎んでほしいと痛切に思う。
黒いくっきりとした内横線と外横線があり、内横線の内側と外横線の外側には赤褐色の帯がある。幼虫は広食性で、バラ科、ブナ科、ヤナギ科、ニレ科などさまざまな植物を食べる。写真の個体は前翅長26mm。シャクガ科。
2024年6月29日 北海道十勝地方
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