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2024/03/30

日高山脈一帯の国立公園の名称を巡る不可解

 日高山脈襟裳国定公園が国立公園に昇格するにあたり、環境省の中央環境審議会自然環境部会で環境省が「日高山脈襟裳十勝国立公園」とする案を提示し、それが了承されたことはこちらの記事で触れた。

 

 この名称の件、どう考えても「十勝」を入れるのは筋違いであり、意味不明だ。地元自治体の首長らが名称に「十勝」を入れるように動いていたのは事実だが、私は環境省がそんな名称を真に受けて審議会に提案するとは思ってもいなかった。まともな思考ができるなら、「十勝」を入れるなどという発想には到底ならない。なんでこんなことになるのか?

 

 環境省によると、名称の決め方に規則はないという。しかし、実際には基準といえるものがあり、複数の地名を入れる場合は国立公園として相応しい自然がある地域の名称を使用している。例えば、利尻礼文サロベツ国立公園は利尻礼文国定公園が国立公園に昇格する際にサロベツ湿原を加えたためにこのような名称になった。富士箱根伊豆国立公園は、富士箱根国立公園に伊豆半島も加えた際に名称に伊豆を入れた。

 

 秩父多摩甲斐国立公園の場合はやや異なるのだが、「公園区域の主要部分を占める都道府県の旧国名を使用。面積僅少の長野側は名称に用いられず。」とされている(国立公園の名称と当該名称による公園地域の代表性)。奥秩父を中心として東京、山梨、埼玉、長野の一都三県にまたがる国立公園だが、多摩(東京)、秩父(埼玉)は公園の名称に入っているものの、最大の面積を有する山梨県の名称が冠されていないことが「甲斐」を加えた理由であり、こうした経緯に特に問題は感じない。

 

 しかし「十勝」は1市16町2村で構成される広域行政区の名称であり、大部分が農地などになっていて国立公園に相応しい自然が残されているわけではない。「日高山脈」や「襟裳」は公園地域を代表した地名だが、「十勝」は公園地域を代表する地名とは到底言えない。それにも関わらず、なぜ環境省は審議会で前例のない広域の地域名である「十勝」を加えた名称を提案したのか?

 

 「財界さっぽろ」という雑誌の2024年4月号にそれにまつわる興味深い記事が掲載された。タイトルは「名称に『十勝』がなんで入っちゃったの!?」というもの。環境省は国立公園の範囲拡大で地権者との調整に難航していたのだが、参議院議員である長谷川岳氏が地権者との交渉を取り持ち、名称に関しても関与したという話があるらしい。

 

 これが事実だとすると、環境省は長谷川氏に恩があるということになる。その見返りとして名称についての要望を聞き入れた・・・ということであるのなら、環境省が「十勝」を入れた名称を提案したことも説明がつく。しかし、それが事実なら政治家との癒着、あるいは忖度と言われても仕方ないし、あってはならないことだ。

 

 長谷川岳氏といえば、最近こんなニュースがある。どうやら彼はパワハラ気質らしい。

 

〈CAに横柄な態度と吉幾三が暴露〉永田町や地元でも被害者続出…「派手なイベント好きでチャラい印象」「官僚へのイチャモンは日常茶飯事」自民・長谷川岳氏の散々な評判

 

鈴木直道北海道知事、パワハラ疑惑の長谷川岳氏に電話申し入れ

 

 長谷川氏と環境省との間に何かあったのか知らないが、もしかしたら名称のことで環境省に圧力をかけた可能性もあるのではないかと妄想してしまう。

 

 国立公園の名称に「十勝」を入れるという件は、あまりに意味不明で前例のないものであることは間違いない。北海道自然保護連合はこの問題で環境省に質問書を提出したが、この質問書を読めば今回の名称の決め方がいかに不公正で不可解なものかが分かる。

 

中央環境審議会自然環境部会に関する環境省の回答に対し質問書を送付

 

 

 

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