« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »

2023年2月

2023/02/27

コシロカネグモ

 アシナガグモ科シロカネグモ属。コシロカネグモ、チュウガタシロカネグモ、オオシロカネグモの3種は、腹部が銀白色で黒い条があり、よく似ているので注意が必要。北海道ではコシロカネグモしか生息していない。樹木や草間に水平円網を張るが、水辺の周辺で見ることが多い。体長は雌が8~10mm、雄が6mm前後。

P1050778

雌 2014年7月25日 北海道十勝地方

 

P7100006

雄 2020年7月10日 北海道上川地方

 

2023/02/25

サンロウドヨウグモ

 アシナガグモ科ドヨウグモ属。洞窟に多いクモだが、洞窟の少ない北海道では樹木の根本の洞や岩塊の間などに水平か斜めの円網を張っている。クモは隠れていることが多いが、網にいるときは腹側を上にしているので、背面からの写真が撮れない。写真は雄の若い(亜成体?)個体。体長は雌が10~14mm、雄が10mm前後。

Dscn2195

雄幼体 2007年7月30日 北海道石狩地方

 

2023/02/21

メガネドヨウグモ

 アシナガグモ科オオドヨウグモ属。水辺やその近くの草本や樹木などに水平円網を張る。ドヨウグモの仲間では最も普通に見られる。体長は雌が10mm前後、雄が7mm前後。よく似た種にキタドヨウグモがおり外見では区別が困難なため、生殖器の確認が必要。なおキタドヨウグモは北海道では平地から山地まで分布するとしている図鑑が多いが、私は標高500m以上の山地の渓流沿いでしか確認していない。山地では両種の分布が重なる場所があるので、同定には注意が必要。

P6050008

雌 2021年6月5日 北海道十勝地方

 

2023/02/19

アシナガグモ

 アシナガグモ科アシナガグモ属。北海道から南西諸島まで普通に見られ、水辺の草間や樹木の枝間などに水平円網を張る。腹部には茶色の独特の斑紋がある。体長は雌が8~14mm、雄が5~12mm。

P7040007

雌 2022年7月4日 北海道十勝地方

 

2023/02/17

ハラビロアシナガグモ

 アシナガグモ科アシナガグモ属。ミドリアシナガグモに似るが、腹部背面に対をなす黒点はない。また、ミドリアシナガグモよりやや大型。水路や渓流など水辺に生息し、草間などに水平円網を張る。体長は雌が8~12mm、雄が5~9mm。

Dscn2043

雌 2007年6月24日 北海道十勝地方

 

2023/02/15

ミドリアシナガグモ

 アシナガグモ科アシナガグモ属。ミドリアシナガグモといっても緑色の体色をしているわけではない。腹部背面に数対の黒斑があるが、あまり目立たない個体もいる。北海道では平地から山地まで生息するが、本州以南では山地に生息する。体長は雌が7~9mm、雄が4~7mmほど。

P6250030

雌 2021年6月25日 北海道十勝地方

 

P6240023

雄 2020年6月24日 北海道十勝地方

 

2023/02/14

ウロコアシナガグモ

 アシナガグモ科アシナガグモ属。雌は体長4~6mm、雄は3~5mm。

 

 黄緑色にキラキラと輝く美しいクモにエゾアシナガクモがいる。北海道では普通に見られるクモだ。そしてエゾアシナガグモによく似た種にウロコアシナガグモがいる。雌は非常によく似ていて両種の区別は難しいが、雄では識別は容易だ。エゾアシナガグモの雄は腹部全体が黄緑色をしているのに対し、ウロコアシナガグモの雄は腹部背面に赤褐色の斑紋がある。上顎もエゾアシナガグモの方が大きい。

 

 私はこれまで北海道ではエゾアシナガグモしか見たことがなかった。過去の記録(私以外の)にはウロコアシナガグモもあるのだが、それは誤同定ではないかと疑っている。これについては以前「エゾアシナガグモと誤同定」という記事に書いた。ところが、昨年の10月15日に散歩中に何とウロコアシナガグモの雄を見つけて仰天した。

 

 エゾアシナガグモは北海道では6~8月に成熟する。越冬は幼体であり、秋になると幼体はいても成体を見ることはなくなる。本州でウロコアシナガグモの成体が見られるのは春から夏である。私は東京で8月25日に雄を採集したことがあるので、秋のはじめくらいまでは雄成体が生きていてもおかしくないだろう。しかし北海道で10月15日にウロコアシナガグモの雄成体がいるというのがちょっと信じられない。このウロコアシナガグモの雄は北海道で生まれ育ったとはとても思えない。いったいどこからどうやって来たのだろう? バルーニングで南から飛んできたのかもしれないけれど、不思議な出会いだった。

Pa150008

雄 2022年10月15日 北海道十勝地方

 

2023/02/10

十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見書

 北海道開発局帯広開発建設部は「十勝川水系河川整備計画[変更](原案)」について意見募集をしており、今日がその締切日。ということで、意見書を書いて提出した。この十勝川水系河川整備計画に関しては、2009年および2013年にも意見募集をしており私はどちらにも意見を提出している。おそらく意見は名前などの個人情報を伏せた上でホームページに公開されると思うが、私の意見をここに公開しておきたい。

 

********************

 

【意見要旨】
 十勝川下流部の動植物確認種にイソコモリグモが欠落しています。
 老朽化したダムのかさ上げは安全性や費用面でデメリットがある上に洪水調整機能は限定的です。かさ上げより事前放流を重視すべきです。
 ダムや堤防に頼る治水から、想定外の洪水を容認したうえで被害を最小限にする対策へと転換を図るべきです。
 札内川の砂礫川原の減少は札内川ダムが原因であることを明記し、復元は困難であることを認めるべきです。

 

【意見】
1-2-2(3)54ページ イソコモリグモの欠落について
 私は2009年の十勝川水系河川整備計画(原案)に対する意見書で、十勝川下流部の動植物確認種に国が絶滅危惧種(絶滅危惧Ⅱ類)に指定しているイソコモリグモが欠落していることを指摘しましたが、今回の「十勝川下流部における動植物確認種」においてもイソコモリグモが入っていません。なお十勝川河口部におけるイソコモリグモの分布については以下で報告しています。追加するよう求めます。
松田まゆみ・川辺百樹 2014.北海道におけるイソコモリグモの分布.Kishidaia, 103:18-34.

 

2-1-1(1)81ページ ダムのかさ上げについて
 洪水時の流量を調整するための対策として「ダムの嵩上げ」を提案しています。糠平ダムのかさ上げの方針については新聞でも報じられていますが、老朽化したダムのかさ上げは安全性の懸念があり巨額の費用がかかりますが、洪水調整機能は限定的です。上流域に降った雨をダムで貯めたとしても、中流域や下流域が増水していれば安易に放流できません。ダムが満水になっても放流ができなければ決壊の危険性が高まります。2011年9月7日に音更町で音更川の堤防が大きくえぐられ決壊寸前になりました。この時の音更川の水位は「危険水位」まで約1メートルの余裕がありました。それにも関わらず堤防が洗堀されたのは、糠平ダムからの放流が鉄砲水となって堤防をえぐったことが原因と考えられます。このように、河川の水位が低くてもダムの放流によって堤防が決壊する危険性があります。また、ダムのかさ上げによって雨水を溜め込む量が増えるほど、放流が必要になったときの放流のタイミングや放流量の調整は難しくなり放流によって洪水被害が生じることが懸念されます。
 多額の費用をかけてかさ上げをしても想定外の降雨による放流時のリスクが大きいのであれば適切な対策とは言えません。ダムで洪水調整をする場合は、かさ上げをしてもしなくても水位を低くしておく必要があり、かさ上げより事前放流による対応を重視すべきです。
 また、ダムは魚類の遡上の阻害、堆砂による貯水量の低下、土砂の流下を妨げることによる海岸線の後退、河床の低下、砂礫川原の消失、決壊の危険性などさまざまな弊害やリスクがあります。堤体のコンクリートの劣化や堆砂による貯水量の低下を考えるなら、ダムの寿命や撤去を視野にいれなければなりません。決壊する確率は低いとしても万一決壊した場合の被害は極めて甚大なものになります。例えば、糠平ダムの上流には活火山の丸山がありますが、もし火山噴火によってダム湖に融雪型火山泥流が流れこんだ場合はダムが決壊する可能性が否定できません。ダムによる治水を唱えるのであれば、ダムの弊害やリスクも明記すべきです。欧米ではダムの撤去が進んでいます。ダムを撤去することで本来の自然の河川を取り戻す試みがなされている中で、ダムのかさ上げによって老朽化したダムの延命を図ることはダムの弊害やリスクを放置することになり、自然復元にも相反する行為です。

 

2-1-1(4)100ページ ダムや堤防以外の対策について
 本整備計画ではダムのかさ上げによる流量調節や堤防の強化、河道の掘削など、ハード面での対策がメインとなっていますが、このようなダム湖や川(堤防と堤防の間)に水を閉じ込める治水には限界があり、閉じ込める水量が多くなるほど、ダムの放流や決壊時、あるいは堤防の決壊時の被害は大きくなります。近年は気候変動による台風の大型化や集中豪雨で想定以上の雨が降る可能性があり、ダムや堤防に頼る対策から、一定以上の雨に対しては「水を溢れされる治水」に変えていく必要があります。これについては、100~101ページにかけて若干触れられていますが、不十分と言わざるを得ません。具体的には、森林を増やすことで「緑のダム」機能を活かす、住宅地の少ない地域に遊水地を設けて溢れた水を誘導する、支流との合流点のような氾濫しやすい場所は危険地域に指定し住居の移転を促進する、高床式住宅を普及させる、洪水の危険がある地域にすむ人々の速やかな避難体制を確立する、などが考えられます。これらの対策は河川管理者だけで対応できることではありませんが、関係機関と協議・連携して積極的に進めていく必要があります。
 日本はこれから急激な人口減少社会になります。多額の税金を投入するハード面での対策より、想定外の洪水を容認したうえで被害を最小限にするような対策へと舵を切る発想の転換が必要と考えます。

 

2-1-3(3)109ページ 札内川の砂礫川原復元について
 ここでは河川景観の保全と創出について取り上げています。十勝川水系の河川の自然景観は本来の河川環境を保全することでしか維持できません。例えば札内川では河川敷にヤナギなどの河畔林が繁茂し、ケショウヤナギが生育するような砂礫川原が減少してしまいました。これは上流に札内川ダムを建設したことで砂礫の流下が阻害されたことと、札内川ダムの貯水機能によって流量が抑制され洪水が生じにくくなったことに起因します。ところが本計画案では砂礫川原減少の原因となった札内川ダムのことに一切触れていません。そして中規模フラッシュ放流が砂礫川原の創出に効果を上げているとしています。ダム建設前と現在の写真を比べても中規模フラッシュ放流の効果は限定的のようですし、ダムによって砂礫の流下が妨げられている以上、中規模フラッシュ放流だけで砂礫川原を維持していくことはできないでしょう。また、礫層が流されてしまうと河床低下が進み、増水のたびに流路に面した高水敷の縁が浸食されて崩壊し、高水敷に堆積している砂礫も流されますし、高水敷に生育しているヤナギも根本から浸食を受けて流木となります。仮にダンプなどで定期的に砂礫を運んできたところで次第に下流に流されますので、永遠に運び続けなければなりません。持続可能な自然復元とは言い難い事業です。
 砂礫川原減少の原因に触れることなく人為的操作によって砂礫川原を「創出する」などというのは「人が自然を創出できる」という驕りによる発想です。「創出」ではなく「復元」と記すべきですが、それ以前にダムが原因であることを明記した上で、復元は困難であることを認めるべきでしょう。
 私はこのことについて2013年の「十勝川水系河川整備計画[変更](原案)に対する意見書」で指摘し公聴会で意見を述べました。十勝自然保護協会も同様の意見を提出し公聴会でも陳述しました。しかし今回の計画案には全く反映されていません。ダムによって砂礫川原が減少したこと、その復元はダムの撤去を除いては極めて困難なことを明記するよう再度求めます。

 

意見の要旨について
 十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見ではありませんが、意見募集に関して意見を述べさせていただきます。ホームページの「意見募集要領」の「注意事項」によると、意見書が200字以上の場合は200字以内の要旨を付ける旨が書かれています。しかし、意見書の様式には「※上記の記入欄が不足する場合は、本意見書と併せて別紙で提出して下さい。」と書かれており、要旨のことは書かれていません。これでは200字以上であっても「要旨」を付ける人と付けない人が出てくるでしょう。このような一貫性のない対応は不適切です。また、多数の意見がある場合は200字以内に収めるのは困難または不可能ですし、要旨では理由や根拠が伝わりません。意見を公表することがあるとのことですが、長い意見の場合は要旨を公表するということであれば具体的意見が伝わらず不本意です。要旨ではなく意見全文を掲載するよう求めます。

 

2023/02/08

ヤマキレアミグモ

 コガネグモ科ヤマキレアミグモ属。北海道では山地(筆者の知る限りおよそ標高800m以上)に生息し、樹木や建物などに、網の一部に横糸がない「キレ網」を張る。本州ではより標高の高い山地に生息する。外見はズグロオニグモに似るが、より小型。体長は雌が4~7mm、雄が5mm前後。

P9130010

雄 2020年9月13日 北海道十勝地方

 

2023/02/07

シロスジショウジョウグモ

 コガネグモ科ショウジョウグモ属。草本や樹木の枝葉間に小さな円網を張る。色彩や斑紋には変異が多く、写真のように黒褐色に白い縦条のあるものの他、全体が黒い個体や朱赤に1対の黒斑があるものなどがいる。体長は雌が4~5mm、雄が3mm前後。

P6150009-2

雌 2021年6月15日 北海道十勝地方

 

P1090250-2

雄 2019年6月2日 北海道十勝地方

 

2023/02/03

コオニグモモドキ

 コガネグモ科コオニグモモドキ属。北海道では平地から山地まで普通に見られるクモだが、本州では山地に生息する。コロンとした腹部に1対の突起がある。コガネグモ科のクモだが網らしい網を張らず、夜に糸を一本張ってそこにぶら下がり獲物がくるのを待つ。昼は植物の枝葉などに止まっているが、近くに獲物がくれば捕えて食べるようだ。体長は雌が4~5mm、雄が3~4mm。

P7040038

雌 2021年7月4日 北海道十勝地方

 

P6110003

雄 2021年6月11日 北海道十勝地方

 

« 2023年1月 | トップページ | 2023年3月 »

フォト

twitter

2024年9月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

最近のトラックバック

無料ブログはココログ