新葉を噛み切る小蛾類の不思議(3)
前々回と前回の記事で、イタヤカエデとシラカバの葉を噛み切って落とす蛾の幼虫のことを書いた。落下した葉に蛾の幼虫がついていることに気づくと、足元に落ちている新葉が気になって仕方ないのでついつい地面に目をやることになる。そして昨年6月14日のこと、縁が巻かれているケヤマハンノキの葉が落ちているのに気が付いた。
これはたった一枚しか拾えなかったが、やはり中には蛾の幼虫と思われる小さな幼虫が入っていた。この幼虫は葉脈を残して葉を食べている。
6月24日にはケヤマハンノキの葉を巻いて糸でかがり、中から出てこなくなった。蛹化したのだと思う。
そして7月3日に茶色い翅の蛾が羽化した。体長は約6ミリ。これはハンノハマキホソガだった。ほっそりとした体で、独特の姿勢をしている。
成虫を横から見たところ。
こちらは上から見たところ。
ハンノハマキホソガの幼虫は写真を撮り損ねてしまったが、拾った葉はたった一枚なので幼虫が噛み切って落としたのか、それとも強風など何等かの要因で自然に落下したのかは判然としない。しかし、開葉したばかりの葉がそんなに簡単に落ちてしまうのもちょっと不思議であり、幼虫が噛み切った可能性が高いのではないかと思っている。
葉柄を噛み切って落とす場合は噛み切った葉1枚だけしか餌にできない。従って、どうしても体の小さいミクロレピしかこういう芸当はできないだろう。あまり気づかれてはいないものの、こんな風に新葉を落としているミクロレピはけっこう沢山いるのかもしれない。
小さな虫たちの世界はまだまだ知られていないことが多いし、興味は尽きない。
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