不当な懲戒請求で弁護士らが提訴を表明
いわゆるネトウヨと言われる人たちが弁護士に不当な懲戒請求をしたという件で、東京弁護士会の佐々木亮弁護士と北周士弁護士が記者会見を開いた。この記者会見についての記事が以下に掲載されている。
「懲戒請求者は90億人」の手紙も…大量請求受けた弁護士2人が提訴へ「非常に不当」(弁護士ドットコム)
佐々木、北両弁護士は、960人の懲戒請求者を相手に慰謝料を求める訴訟を起こすとのこと。また、和解も受け入れている。
このような応報に対しては大人げないなどという批判も出ているようだ。私は報復行為は支持しないしトラブルはできる限り話し合いで解決すべきだという考えだ。ネットでの言論でトラブルになった場合なども安易な名誉毀損裁判はできる限り避けて話し合いで解決するのがベストだと思っている。
しかし、今回の大量懲戒請求者の提訴は報復だとは考えていない。大量の不当懲戒請求によって弁護士さんたちが被害を被ったというのは事実であり、それに対して責任をとってもらうというのは当然の行動だと思う。無法者に対する正当な対処だろう。
ネトウヨたちの最大の問題は、責任感の欠如だ。彼らは平然と差別発言をし、安倍政権を批判する人たちにツイッターなどで粘着して罵声を浴びせかける。大多数は匿名だから責任をとる気もないのだろう。犯してしまった不法行為に対しては謝罪と賠償で責任をとるしかない。日頃自己責任論を声高に唱えながら「自分の責任をとる」などということは考えてもいない人たちには、この機会にしっかりと責任をとってもらうことも必要ではないかと思う。
また澤藤弁護士による以下の意見もあるが、ほぼ同感だ。
安易な弁護士懲戒請求は、損害賠償請求の対象となり得る。(澤藤統一郎の憲法日記)
弁護士への不当な懲戒請求に関してはすでに判例があり、慰謝料は30万から150万円となっている。以下参照。
弁護士に対する懲戒請求が不法行為になるか(河原崎法律事務所ホームページ)
佐々木弁護士と北弁護士の場合、和解金は弁護士1人あたり5万円とのこと。同じく提訴を表明している嶋崎量弁護士も同様に5万円。上記の判例から考えても、この和解金は良心的な金額ではなかろうか。たとえ無職でお金がない人でもアルバイトをすれば容易に稼げる金額だ。
また、佐々木弁護士と北弁護士は、不当な懲戒請求を煽ったブログの管理人の刑事責任を追及する方針であることも明らかにしている。このブログ主の責任が追及されるのは当然だと思うが、事実も確認しないで従ってしまう人がこれほど多いことに呆れてしまう。しかも、北弁護士によると請求者は比較的年齢が高い印象だという。ネトウヨといえば若者が多い印象があるが、そのそこの社会経験があるであろう「大の大人」がそれなりにいるというのは興味深い。
同じく不当懲戒請求を受けた神原元弁護士も提訴を宣言しているが、神原弁護士は刑事事件にすることも検討しているようだ。
大量懲戒請求事件の件。
私に懲戒請求してきた連中は、植村隆さんの勤務先に脅迫状を送ったり、在日朝鮮人に関して入管に妙な通報をしたりした連中と重なっているかもしれない。多くは在特会の会員だろう。
民事よりむしろ刑事に力を入れ、彼等を長期間公安警察等の監視下に置く方がいいかもしれない— 弁護士神原元 (@kambara7) 2018年5月11日
そうそう。ことの本質はここにある。単発の不当懲戒請求事件ではなく、ネットを使った連続愉快犯罪事案とみる必要がある。やはり、民事より刑事に主眼を置くべし。
入国管理局に検察庁・・・まだまだあった、懲戒請求濫用グループによる組織的業務妨害 - NAVER まとめ https://t.co/UZBu30aUUL— 弁護士神原元 (@kambara7) 2018年5月14日
訴状など無視すればいいと言っている人もいるようだが、反論しなければ請求額がそのまま確定する可能性が高い。お金がないなら賠償命令など従わなくてもいいという人もいるが、財産(給与)の差し押さえとか刑事告訴もあり得る。和解に応じるか弁護士に対処を相談するのが賢明だろう。
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安倍総理は二言目には「私の責任で」といい、一方彼らにブサヨ認定される人は熟慮の上で発言したり行動しますが、結果として「何もしない」選択をすれば「無責任」と詰られます。
これは安倍総理の責任の取り方である「今後益々職務に邁進し」という方法論がネトウヨにとって大人としての責任の取り方だと認識していると考えられます。
…
首相は勿論ネトウヨの行動原理も「教育が完全に間違っていた」結果だと思います。
黙って考えている子に対しては「何を考えているのか判らなくてキモチワルイ」とか「発達が遅れている」と評価される。
一方で多動気味で虚言癖の有る「明るくハキハキ挨拶する子」を優等生としていたずらしようが破壊行動を行おうが良い子としてチヤホヤした結果です。
ネトウヨが若者かどうかは関係なく、彼らがこんな風に変わる前は寧ろ生真面目で温厚な人物だったと思います。原因は判りませんが何かに突き動かされるように「世の中おかしいから何かしなきゃいけない」という意味不明な使命感で凶行に及んだのでしょう、おそらく内容に深い意味は有りません。
浜辺のゴミ拾いから、幼女誘拐、歩行者天国での無差別殺傷、失せ物探し…これらは全て彼らの閉じたセカイでは意味の有る行動です。
弁護士の先生方も賠償金を毟り取るのなら彼らの行動心理を「心の闇」という深淵のゴミ箱に投げ捨てずに気持ちの悪い心の叫びを聞き流して考察してみてはいかがでしょう。
賠償を払わせたところで更に憎しみを募らせて行き着く先はルワンダの大虐殺です。
投稿: mars | 2018/08/12 09:29
marsさん、コメントありがとうございます。
私は今回の懲戒請求をした人たちの大半は普通の市民であり余命三年ブログの影響を受けてしまった主体性のない人たちだと思っています。主体性のない人たちが扇動されて使命感を持ってしまったといえばそうなのかもしれません。そして、そういう主体性のない人たちを生みだしたのは、やはり教育の影響が大きいのだろうと思います。
それと弁護士の方たちは賠償金た目的というより、その無責任な言動を自覚してほしいという意味で提訴に及んだのではないかと思っています。
投稿: 松田まゆみ | 2018/08/12 13:45