非を認めない人の行く末
現実世界でもネットの世界でも、自分の過ち(事実誤認も含む)、落ち度、不適切な言動などを決して認めない人たちが一定程度いる。
このような人たちは二つに分けられる。ひとつは自分の言動が間違っている(あるいは不適切である)ことが分かっていながら、自分の非を認めたくないためにいろいろな言い訳をして自己正当化してしまう人だ。自分を良く見せるために、あるいは嫌われないために、自己正当化せずにはいられないのかもしれない。
このような人たちが過ちを指摘されて窮地に陥ると、しばしば自己正当化のために嘘をつく。そしてその嘘を隠すためにさらに嘘をつくという悪循環に陥ることもある。
あるいは、自分は被害者であり他の人が悪いのだと言い張ったりすることもある。特にネットの場合は自作自演で一人で何役もやって自己正当化する人がいる。さらに、自己正当化のために自分を信頼している人を利用する人もいるから要注意だ。
自分には非がないと言い張り、嘘をついたり自作自演で誤魔化したり、自己正当化のために他人を利用したらどうなるか。それを見ている多くの人はその人の嘘に感づいてしまい、離れていってしまうだろう。利用された人は、自分が利用されたことに気づいた時点で去っていくだろう。結局、信頼関係を失い孤立することになりかねない。
もう一つは、第三者から見れば事実誤認をしていることが明らかであるにも関わらず、当人はまったくそう思っていない人だ。いわゆる思い込みの激しい人で、自分の考えこそ正しいと信じ込んでいて他人の指摘など一切聞き入れない。第三者がどれほど丁寧に誤りや勘違いを説明しても、理解できない。理解できないというより理解する気がないといった方が正しいかもしれない。いわゆる「バカの壁」状態になっている人だ。
このような人は、時として過ちを指摘した人たちを恨んだり敵視して攻撃したりする。自分は間違っていないと思い込んでいるので、自分の間違いを指摘したり批判する人こそ加害者であり、自分は被害者だと主張することもある。状況を俯瞰することができず自分を客観視することができない人がこのような状況に陥りやすいように思う。
人は誰しも不完全であり、誰しもが過ちを犯したり勘違いをしたり思い込みをする。もちろん間違いをしないように注意しなければならないが、それでも間違ったり思い込みをするのが人間だ。そのときとるべき最善の方法は、速やかに過ちを認めて訂正し、もしそれで他人に迷惑をかけたのなら謝罪するしかない。そして、その経験をもとに同じ過ちを繰り返さないようにする。それが自分の過ちに対する責任の取り方だ。
しかし非を認めなかったらどうなるか。それは責任を取らないということなのだが、責任をとらなければ批判されたり信頼を失うことになる。嘘に嘘を重ねれば信頼を損なって人が離れていく。自明のことだ。
自分の非を認めないというのは、おそらく自分を良く見せたい、あるいは嫌われたくないという心理からきている。自己顕示欲や承認欲求の強い人がこういう状態に陥りやすい。
強い思い込みによって自分の非や事実誤認に気づかない人も同じで、第三者から事実誤認を指摘されても聞き入れずに突っ張っていたら、やがて愛想を尽かされ信頼を失ってしまうのではなかろうか。このような人は、「白黒思考」や「べき思考」の習慣がついている人に多いように思う。だから、一度はまり込んだ自分の考えから一歩も外に出ようとはしない。
いずれも、子どもの頃に自分自身で身に付けた性格(考え方)が「非を認めない」「過ちに気づけない」という状況を作りだしているのだろう。そして、残念ながら多くの人は一度身に付けた性格を手放そうとしない。その方が都合がいいと信じてそういう思考を身につけてきたのだから、簡単に手放すことができないのだ。
でも、大きな失敗は人を根本から自分を変えるきっかけになることがある。自分の非を認めないことで失敗を経験した人は、次からは自分の非を認めて訂正すればいいのだ。思い込みによって失敗した人は、次からは「自分は思い込みをしているのではなかろうか」と疑い物ごとを俯瞰的に見るように気をつけ、第三者に相談したりアドバイスを求めるなどすることで思考の偏りを修正することは可能だ。
もちろん、自分がそういう意識を持たない限り自分を変えることはできないが、もし自分を変えることさえできれば、今までよりずっと心穏やかに生きられるに違いない。今までのやり方を続けるのは容易だが、それを180度変えるのはとても勇気がいる。しかし勇気を持たない限り、同じ失敗を繰り返し不幸の悪循環に嵌ってしまう。
さて、政治の世界でも自分の非を決して認めない人がいる。いうまでもなくその筆頭は安倍首相だ。そして安倍首相は間違いなく前者のタイプ(非を知りながら認めない)だ。森友学園、加計学園をめぐる疑惑を何が何でも誤魔化そうとして躍起になっている。安倍首相を擁護する取り巻きの人たちは、安倍首相の非を知りながらも自己保身のために彼を支え続けてしまう。数の力、権力によって存続しているのが安倍政権の実態だ。
嘘と誤魔化しと権力で強引に保っている政権は、いつか国民に愛想をつかされるだろう。信頼を失った政権はやがて崩壊する。崩壊する前に何としてでも憲法改悪をするというのが今の安倍首相の考えているころだろう。できるだけ早く憲法を変え、国民から基本的人権や表現の自由を奪って独裁体制をつくりあげることが安倍首相の悲願に違いない。
これを防ぐためには国民が「バカの壁」状態になってはならないということだ。安倍首相の目的を見抜き、アベノミクスの嘘を見抜き、改憲にノ―を突きつけるしかない。
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