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2015/11/10

オニグルミの不作とエゾリス

 わが家は森林が近いこともあり、家に居ながらにして野鳥や小動物の姿を見ることができる。食事中に庭先の野鳥が気になって双眼鏡を持ち出すこともしばしばある。そんな庭の訪問客の中でもエゾリスは仕草がかわいらしく、しばし見とれてしまう。長い尾でバランスをとりながらすばやく木々を駆け巡ったと思えば、時にぬいぐるみのようにじっとしていることもある。リスというのはなんとも愛嬌がある動物だ。

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 そういえば、今年はエゾリスの大好物であるオニグルミの実がほとんどならなかった。わが家の隣の空き地には2本のオニグルミがある。そして、2本のオニグルミはほぼ毎年、沢山の実をつけていた。だから、私はオニグルミには「なり年」と「不なり年」はなく、毎年コンスタントに実をつけるとばかり思っていた。でも、どうやらそうとも言えないようだ。

 オニグルミに実がならなかったことは、思い返してみても記憶にない。花が咲く時期に受粉を阻害するような異変でもあったのだろうか? しかし、これほど実がならないと、オニグルミを食べるエゾリスやアカネズミにとってはかなり厳しい冬になるのではなかろうか・・・。

 昨年はミズナラのどんぐりが豊作でたわわに実をつけていた。そのためか、今年はどんぐりがほとんど実をつけていない。越冬の巣穴にどんぐりを溜めこみ、その上で冬ごもりをするというシマリスにとって、どんぐりが不作の年は食糧の確保が大変だろう。もちろんシマリスだけではなく、ネズミやエゾリスも大変に違いない。

 どんぐりは、子孫を残すために「なり年」と「不なり年」をつくると言われている。たとえばネズミは冬の食糧としてどんぐりを土に埋めて溜めこむのだが、たくさん実をつけた年には食べきれなかったどんぐりが翌春に芽を出す。ただし、毎年たくさんの実をつけているとネズミが増えすぎて食べ残しのどんぐりがなくなってしまう。つまり「なり年」と「不なり年」をつくるのは植物の生き残り戦略というわけだ。

 自然のめぐみに頼って生活している動物たちにとって、冬の食糧の確保は死活問題に違いない。エゾリスは冬眠をしないので、秋になると冬に備えて木の実などを地中に埋める習性があるのだが、木の実の少ない今年は餌集めもさぞかし大変だろう。

 野生動物にとっては厳しい冬になりそうだが、愛らしいエゾリスの姿を見るにつけ、なんとか無事に乗り切ってほしいと思わずにいられない(もちろん“愛らしい”から乗り切ってほしいと言うわけではないのだけれど・・・)

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