宮崎県によるグリーンサンドの廃棄物該当性の判断理由はなぜか黒塗り
昨日(2015年8月1日)に、重要な情報が公開された。ある方が宮崎県に開示請求をしていた「グリーンサンド造成工事における廃棄物該当性の検討について」という文書である。つまり、平成25年3月29日の環境省の指針に基づいて、日向市の土地造成工事に資材として用いられたグリーンサンド(フェロニッケルスラグのリサイクル製品)が廃棄物であるかどうか宮崎県が検討した資料だ。以下のサイトに掲載されている。
住友金属鉱山子会社の日向製錬所から排出されるグリーンサンドの廃棄物の該当性について、廃棄物とには当たらない理由がまっ黒です。やっぱり廃棄物? (心は丸く 気は長くのブログ)
公開された公文書では、運搬会社の社名や所在地、造成工事の流れ、グリーンサンドの売買代金など重要な項目がすべて黒塗りになっている。また、「本件造成工事に係るグリーンサンドの廃棄物該当性」の項目では肝心の判断理由がすべて黒塗りだ。そして、総合判断の項で「総合劇に判断して、現時点で、造成工事に使用されるグリーンサンドが廃棄物に該当するとはいえない」という結論の部分だけは黒塗りになっていない。
この開示請求は平成27年5月20日付けで申請がなされ、本来は6月3日までに開示の決定がなされなければならないのだが、「開示請求に関わる公文書に第三者に関する情報が記載され、第13条第1項又は第2項の規定により第三者に対し意見書提出の機会を与える必要があるため」との理由で、7月2日まで開示決定が延長された。
第三者とは誰なのだろう? 考えられるのは日向製錬所と運搬会社のサンアイだろう。実際、運搬会社の名前や住所などは黒塗りにされている。しかし、不思議なのは、造成工事の流れや売買代金の項目まで黒塗りにしていることだ。ここに第三者の情報があるのならその部分だけを黒塗りにすればいいのだが、すべて黒塗りなのだ。
廃棄物該当性の判断理由も同様に、ここに書かれていることすべてが第三者の情報というわけではないだろう。しかしなぜかすべて黒塗りになっている。理由の部分がまったく開示されないというのは、不可解を通り越して不当としかいいようがない。廃棄物と判断すべきところを、無理矢理廃棄物ではないとこじつけたのではないかと疑われても仕方ないだろう。ここまで情報を隠蔽するなら、なんでも「廃棄物ではない」とすることができるのではないか。
どうやら、黒塗り部分を明らかにして、宮崎県の判断が妥当なものかどうかを第三者が検討する必要がありそうだ。
黒塗りが不当だと思う場合は、異議申立をすることができる。異議申立を行うと審査が行われ、開示が決定されることもある。決定まで時間がかかるが、開示請求をした方には、ぜひこの手続きをしてほしいと思う。
ただし、異議申立をしても開示されないことは多く、それでも開示を求める場合は裁判をしなければならない。私の知人で本人訴訟で裁判を行い、開示を勝ち取った事例がある。つまり、情報公開には不当な非開示(黒塗り)があるというのが実態だ。
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