初夏の原生花園
少し前のことになるが、7月5日に十勝川の河口近くの長節湖とトイトッキ浜で植物観察会があり参加した。講師は若原正博さん。
日中は暑くなるかと思いきや、海岸に近付くにつれ雲が空を覆いはじめ、観察会がはじまる時は涼風がたっていた。海岸の天気は行ってみないと分からない。
このあたり一帯は原生花園となっており、春から秋にかけてさまざまな花が草原を彩る。6月にはセンダイハギが黄色い鮮やかな花をつけるのだが、大半が実になっていた。今の季節はハマボウフウ、エゾノヨロイグサ、マルバトウキなどのセリ科の白い花に、ハマナスやノハナショウブ、エゾフウロなどが彩りを添えている。
以下、植物を少し紹介したい。
下の写真はノハナショウブ。この原生花園にはアヤメ、ヒオウギアヤメ、ノハナショウブが咲くが、今はノハナショウブが美しい季節。花弁の黄色い斑がポイントだ。
こちらはエゾフウロ。あちこちでピンクの可憐な花をつけている。
砂浜に生育するハマベンケイソウ。青い花が可愛らしい。
こちらも砂浜に生育するハマボウフウ。
こちらは蘭の仲間のエゾチドリ。
トイトッキ浜の原生花園の一部は北海道の天然記念物に指定されているのだが、ここにはガンコウランやコケモモ、ハナゴケ(地衣類)など、高山性の植物も見られる。
コケモモの花。
ガンコウランは黒い実をたわわにつけていた。
以前も同じような季節にこの海岸を訪れたことがある。あの時はまだ母が元気で、植物が好きな母は原生花園の散策をとても楽しんでくれた。長節湖は霧に霞んではいたが、靄の中に浮かぶ花々はそれはそれで幻想的だった。
花の観察にはいい季節なのに、あの時に比べて今回は何か物足りない。しばらくしてその原因が分かった。セリ科植物の花をエゾシカが食べてしまっているのだ。シカが悪いわけではないのだけれど、草原に林立するセリ科植物の花が少ないのは何とも寂しい。
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