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2015/06/05

北海道でも確認されたセアカゴケグモ

 セアカゴケグモが日本で初めて発見されたのは1995年で、この時は外来の毒グモが沢山見つかったとしてちょっとした騒ぎになった。セアカゴケグモは、ヒメグモ科のクモとしては大型で雌の成体は体長1センチほどになり、黒色の腹部の背面に真っ赤な斑紋がある美しいクモだ。その後、日本の各地で確認が相次ぎ、38都府県で確認されていた。

セアカゴケグモ・ハイイロゴケグモにご注意ください! (環境省)

 これまで国内の最北の確認事例は岩手県だったが、6月2日に北海道北見市で確認された。

 セアカゴケグモ、北海道に上陸 北見で初確認(朝日新聞)

 すでに日本のどこで確認されてもおかしくない状況になっていたので、北海道での発見はそれほど驚くことではないのだけれど、「やはり入ってきたか」という感じだ。愛媛県から持ち込まれた中古車のバンパーに網を張っていたとのこと。体長5ミリの雌とのことなのでまだ幼体だろう。

 セアカゴケグモの生息環境は、側溝やブロックの穴、プランターの底など人工的な場所だ。このために、建設資材や自動車とともに運ばれて分布を拡大してしまう。20年間で九州から北海道まで拡散したのも、こうした人工的なところに網を張ることが関係している。

 セアカゴケグモは本州では側溝などで越冬し、繁殖もしている。特定外来生物に指定されているが、これだけ増えてしまったら駆除で全滅させるのは無理だろう。ただ、冬の寒さが厳しい北海道の場合は屋外では越冬できないだろうから、人為的に持ち込まれても繁殖してどんどん増えるということはたぶんないと思う。見つけたとしても大騒ぎせず冷静に対応してほしい。ただし、氷点下にならない屋内などに入り込んだ場合は越冬することもあり得る。

 セアカゴケグモの場合、攻撃性はないので何もしないのにクモが襲ってくることはない。ただ、気づかずに驚かせてしまったような場合に咬まれることがあるので、注意は必要だ。

 しかし、セアカゴケグモのニュースというと必ず「毒グモ」という言葉が用いられるのはちょっと閉口する。確かに毒性が強いのは事実だが、オーストラリアでも近年は死亡例はなく、日本で咬まれた事例でも重篤者はいない。日本に生息しているカバキコマチグモは毒性の強いクモとして知られ、咬まれると激しく痛むそうだ。私は咬まれたことはないが、咬まれた人から数日苦しんだという話しを聞いたことがある。ところがこちらはセアカゴケグモのように「毒グモ」として大騒ぎはされない。

 毒がある動物はクモだけではないし、致死性から言えばスズメバチの方がよほど怖い。「毒グモ」という表現は無闇に恐怖を植え付けさせるように思えてならない。せめて「毒性の強いクモ」くらいの表現にしてほしいと思う。

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