見直したい洗濯
日本人はほんとうに清潔好きだ。多くの人が毎日お風呂に入って毎日肌着を着替え、頻繁に洗濯をする。家族が多くて毎日大量の洗濯をするという家庭もある。現代人は水も洗剤も大量に消費している。
私の父は薬剤師の資格を持っていて、一時、住宅街で薬屋をしていたことがあるのだが、毎日大量の洗濯をするからと頻繁に洗剤を買いにくる主婦がいたそうだ。その話しを聞いて呆れたが、そういう人は多分シーツやバスタオルなどの大物も頻繁に洗うのだと思う。毎日シーツを洗わないと気が済まない人がいるという話しを聞いたこともある。
こんな生活をするようになったのも、自宅にお風呂があるのが当たり前になり、洗濯機もどんどん便利になってきたことと関係している。銭湯の時代なら毎日のようには行けないし、着替えも少なかっただろう。今は洗濯もボタンを押すだけで全部自動でやってくれる。便利で楽になった分、過度の潔癖症になり、水や洗剤の大量消費を招いているように思える。
私の住んでいるところは下水道が完備されていない田舎ということもあり、洗剤はなるべく使わないようにしている。食器洗いはほとんどお湯だけで済ますし、洗濯もまとめ洗いをし、お風呂の残り湯を使って粉せっけんで洗濯をしている。しかし、洗濯にはどうやら洗剤はあまり必要ではないらしい。
洗剤の量を変えて、汚れの落ち方が違うか実験をした人がいるのだ。
醤油、ラー油、ごま油、マヨネーズ、ケチャップ、アクリル絵の具で汚れをつけたふきんを、「洗剤標準量」、「標準の半量」、「洗剤なし」、「クエン酸と水入りペットボトル」の4種の方法で洗濯した結果、汚れの落ち方に大きな違いが見られなかったという。
水だけでもかなりの汚れが落ちるというわけだ。この実験では調味料などで意図的にしみをつけている。しかし、調味料などで目立つしみをつけてしまった場合は、たいてい直ぐにつまみ洗いをするから、日常の洗濯物にそんなしみがついていることはあまりない。
つまり、洗濯物の汚れの多くは皮膚から出る汗や脂であったり、空気中に舞っているほこりや汚染物質などではなかろうか。ならば目立つ汚れはあらかじめ固形石けんをつけて部分洗いし、洗濯機では洗剤は少しだけ使うくらいで十分そうだ。
洗剤が少なければ、すすぎも短くて済む。水も洗剤も節約できる。これをどの家庭でも実行したら、かなりの節水になるだろう。これまで、我々は洗剤メーカーに半ば騙されていたのかもしれない。
合成洗剤にはたいてい蛍光増白材が入っているが、あれなどもまさに白くみせかける騙しだし、環境にもよくない。水だけでも汚れがかなり落ちるのなら、洗剤はなるべく減らしたいものだ。
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