ホットパーティクルによる健康被害が広がっている
「龍渓論壇」さんから、ホットパーティクルに関する重要な論文を教えていただいた。渡辺悦司、遠藤順子、山田耕作著の以下の論文だ。ダウンロードできるので、是非ゆっくりと読んでいただきたい。
【福島原発事故による放出された放射性微粒子の危険性-その体内侵入経路と内部被曝にとっての重要性】
https://box.yahoo.co.jp/guest/viewer?sid=box-l-g6vjvc7r6wit4cx2kxaxjggqma-1001&uniqid=8c2cb368-f11e-42c0-8cdf-73e3fe368e76&viewtype=detail
この論文に書かれている情報の多くは、これまでにも断片的に出されていたことである。すなわち福島の原発事故は単なる水素爆発だけではなく再臨界または核爆発が起きていたと考えられること、放射性セシウムの他にストロンチウムやプルトニウム、ウランといった放射性物質が微粒子(ホットパーティクル)となって広範囲に飛散したこと、それらを呼吸によって体内に取り入れることで健康被害が生じること、東京においても被曝が原因と考えられる健康被害が生じていることなどなど。
しかし、この論文で重要なのは、エビデンスに基づいて、まずは福島の原発事故で飛散した放射性微粒子について微粒子形態を分析し、放射性微粒子が体内に入る経路や内部被曝が人体に及ぼす危険性を示し、さらには実際に起きている健康被害にまでつなげて論じている点だ。原発事故によって生じるこのような人工放射能の微粒子こそ、内部被曝を語る上で欠かせないものであり、きわめて重要なポイントであることをこの論文は示している。
東京を中心とする関東圏での健康被害にも言及しており、2011年以降、放射線との関連性が高いとされる悪性リンパ腫、白血病などが2倍以上に増えているとしている。また、白内障の増加に関しても眼科の患者数のデータを示しており、非常に憂慮すべき状態であると理解できる。
東京でも健康被害が顕在化してきているのだ。東京とは比べ物にならないような汚染をし、さらに今も福一からの放射性物質が飛散しつづけている福島県やその周辺地域がきわめて深刻な状況に置かれていることは言うまでもない。
福島の原発事故による放射性物質の放出量やホールボディカウンターによる検査などから、日本では大きな健康被害は生じない、あるいは心配する必要がないと主張している医師や科学者がいる。またそうした主張になびいてしまっている知識人やジャーナリストもいる。そのような方は、ここで論じられているような放射性微粒子による被ばくの問題を意識的に無視しているとしか思えない。
論文では、福島のような原発事故の確率にも触れ、「原発を維持し続ければ、今後10~30年間に、再度福島のような破局的事故が生じる可能性が高いのである」としている。大きな地震が起きるたびに私たちは「原発は大丈夫だろうか?」と恐怖にさらされる毎日を送っている。大津波や火山噴火も同じだ。まるで爆弾を抱えているような生活だ。
それにも関わらず、現政権は原発再稼働を目指している。また、福島から出た汚染土を全国で焼却するという改正法を成立させてしまった。放射性物質を含む土壌や廃棄物を焼却したりリサイクルしたなら、放射性微粒子が日本中に拡散されることになる。放射能を閉じ込めるという原則を無視した信じがたい方針をこの国はとろうとしているのだ。
また秘密保護法によって、これからは原発の情報や被曝による健康被害の情報も統制されるようになるだろう。
原発事故がおきて3年8カ月が過ぎた今、私たちがすべきことは何か? まずは来る選挙で原発の維持や再稼働を進める政党にノーをつきつけることではなかろうか。彼らに投票してしまえば、国民全体に被曝を強要し、日本国民は集団自殺に追い込まれる可能性すらある。
また、一人ひとりがこの論文の著者たちのように事実をきちんと国民に知らせることも大事だ。ブログで、ツイッターで、広めてほしい。
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