オニグモに産卵するオニグモヤドリキモグリバエ
下の写真は一週間ほど前の夕方に撮影したもので、雌のオニグモに産卵しようとしているオニグモヤドリキモグリバエだ。オニグモの右下に黄色い小さなハエが2匹いるのだが、飛んでいるのでピントがきれいに合っていない。しかし、右側の個体はハエであることが分かると思う。
オニグモヤドリキモグリバエは今ごろの季節によく見られるクモの寄生バエだ。オニグモの腹部についている白い点のようなものがハエの卵。ちょうどオニグモが網を張る夕刻時をねらってハエが集まってくるようだ。このオニグモのまわりには3、4匹のハエが飛びまわっていた。
ハエが産卵するときはすごい早技をする。ハエはオニグモの下方を飛びまわって産卵のチャンスをうかがっているのだが、いきなりすごい速さでオニグモの腹部に突進し、一瞬のうちに産卵する。動画撮影しない限り、産卵の瞬間はとても撮影できそうにない。
オニグモもこのハエをとても嫌がっているのだが、産卵されるのを回避することもできないようだ。なんだか気の毒だが、これも自然の摂理だ。
オニグモはこれから産卵をするのだが、実は産卵時にハエの幼虫がオニグモのお腹を伝ってオニグモの卵のう(多数の卵のかたまりを糸で包んだもの)に潜り込むことが分かっている。おそらく産卵時の独特の振動をハエが察知して、卵に乗り移るのだろう。ハエの幼虫はオニグモの卵を食べて成長して蛹になり、やがて成虫となって卵のうから出ていく。つまり、オニグモがハエに食べられるわけではなく、オニグモの卵が食べられるのだ。
オニグモヤドリキモグリバエと名前がつけられているように、主な宿主はオニグモのようだが、オニグモ以外のクモにも寄生することがあるそうだ。北海道では注意深く観察しているとハエの卵がついているオニグモがよく見られるので、珍しい寄生バエというわけではない。
それにしても、このハエはクモの産卵シーズンになるまでどこでどうやって過ごしているのかと不思議でならない。秋に成虫になったハエは、オニグモが産卵間近になる翌年の夏までどこかでひっそりと生き続けているのだろうか?
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先日、蜘蛛に攻撃をしかける3匹の微小飛行物体を見て、不思議で様子を見ていたのですが、この記事で謎が解けました。
私の敷地にも色々な蜘蛛や昆虫を見かけますが、その行動の意味を知るとおもしろいですね。
投稿: solachi | 2014/09/04 22:13
solachiさん
私の記事で謎が解けたとのこと、お役にたてて嬉しいです。
solachiさんは大自然の中で農業をされているのですね。自然相手だと大変なこともいろいろあると思いますが、苦労もものともせず働いていらっしゃるのではないかと思います。陰ながら応援しています。
投稿: 松田まゆみ | 2014/09/05 07:03