原子力推進派に騙されてはならない(その1)
今日で東日本大震災および福島の原発事故から3年半になる。地震のあと、福島第一原発は次々と爆発を起こした。あの爆発の映像を見たときは、ほんとうに気が遠くなるような思いだった。とうとう日本もチェルノブイリと同じ過ちを起こしてしまった!と。
福島第一原発の爆発は複数回起きているが、とりわけ3月15と20~21日には人口密集地である首都圏まで放射能プルームが到達した。そのことは放射線量の増加ですぐに分かったことだし、小出裕章さんも事故後間もなくこの事実を公表していた。当然、SPEEDIでも予測されたことだった。
米軍は3月20~21日の放射能プルームについて情報を持っており、横須賀基地に配備されていた米原子力空母ジョージ・ワシントンは21日にさっさと出港し、横須賀基地や厚木基地の将兵や家族にも屋内退避するよう通知していた。
もちろん日本政府が関東地方の放射線量の上昇を知らないわけはない。ところが、日本政府は「ただちに健康に影響を与えることはない」と言って避難どころか屋内退避の勧告すらしなかった。これは意図的に国民を被曝させたといっても過言ではないだろう。これについては以下の「院長さん」こと小野俊一医師のブログを参照していただきたい。
1153.2011年3月下旬に首都圏をおそった放射能プルーム(院長の独り言)
2014年9月6日の毎日新聞記事に「東京電力福島第1原発事故後、上空に巻き上げられた放射性物質の雲状の塊「放射性プルーム(放射性雲)」が、これまで知られていた2011年3月15~16日に加え、約1週間後の20~21日にも、東北・関東地方に拡散していく状況が、原子力規制庁と環境省による大気汚染監視装置のデータ分析から裏付けられた」と書かれている。
院長さんによると、この時は柏では1時間で150Bqものセシウムを吸入したことになるという。これほど重要なデータが、3年半もたった今ごろになって公表されるとはどういうことなのだろう。国民を馬鹿にしているとしか思えない。
このこと一つをとっても、国民には重要な情報が隠されていることが分かる。つまり、我々は事故直後から騙され続けているのだ。
ところで、原子力規制委員会は9月10日に川内原発について「新規制基準に適合している」と結論づけた審査書を決定して設計変更を許可した。
川内原発「新基準に適合」審査書を決定 規制委(とある原発の溶融貫通)
国民からの意見を聴取するパブリックコメントには1万7819通の意見が寄せられたそうだ。その締切はたしか先月の15日だった。多くの反対意見があったに違いない。ところが締切から1カ月もたたずに、再稼働にお墨付きを与えてしまったのだ。国民の意見を精査したとは到底思えない。しかも火山学者の意見も無視。
ここから見えるのは、規制委がとにかく原子力発電を続けたいという国の意向を受けて突っ走っている姿だ。「無理が通れば道理引っ込む」というが、「無理をごり押しして道理を無視」しているのが日本政府と電力会社の実態だ。
今、日本国民が騙され続けたり、あるいは騙されていなくても黙っていたなら、道理など簡単に踏みにじられてしまう。
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