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2014/06/12

甲状腺がんから見る日本の現実

 6月10日に、福島県民健康調査の検討委員会で甲状腺がんに関する専門部会が開催されたのだが、その中で甲状腺がんの手術を受けた子ども達にはリンパ節転移をしている深刻な事例が多数あることが明らかになってきた。これまでに甲状腺がんとして手術を受けた50人の子どもの大半が放置できるような状態ではなかったというのだ。以下を参照いただきたい。

 リンパ節転移が多数~福島県の甲状腺がん(OurPlanet-TV)

  これまでいわゆる「安全派」と言われる人たちは、福島の場合はチェルノブイリの時より検査制度が高くなったために多く発見されるだけだと言っていたが、そんなことは決してない。以下の高松勇医師はそのような主張が誤りであることについて分かりやすく説明している。

 高松勇医師「エコー検査の精度が高くなったからだ」と言われますけれども、そういうものではないという事をこれは示しています。6/6小児甲状腺がん89人は異常多発(内容書き出し) (みんな楽しくHappyがいい)

  原発事故から3年が経過した時点で、疑いも含めた甲状腺がんの子どもが89名も出ており、転移している事例が多数あるということは、まさに今回の福島の原発事故による被ばくがきわめて深刻なものであることを物語っている。

  チェルノブイリの事例では事故のあと4、5年してから甲状腺がんなどが急増しているのだから、日本でもこれからさらに増えていくと推測される。とすると、とんでもない数字になるのではなかろうか。

  高松医師も指摘しているが、福島の調査は18歳以下の甲状腺がんしか対象にしていない。甲状腺がんは放射線による健康被害のごく一部でしかない。白血病、心臓疾患や循環器の病気、白内障などもあるし免疫力低下による病気もあるだろう。

  また、福島県以外の周辺の汚染地でも当然健康被害が生じているだろう。しかも日本の場合は人口密度が極めて高く、汚染は近隣の宮城県、栃木県、群馬県、茨城県などのほか人口密集地の首都圏にまで及んでいる。そういったことを考えるなら、日本の場合チェルノブイリ以上の健康被害が生じる可能性が高い。若者の心筋梗塞による突然死など、恐らく被ばくが関係している可能性が高い。

  チェルノブイリの事故の教訓を活かすどころか、事故の責任回避に必死になり汚染地域から人々を避難させるどころか留まらせて被害を拡大させようというのがこの国のやり方だ。否、チェルノブイリの事例があるからこそ、必死に都合の悪いことを隠蔽して国民を騙しているのだろう。

  しかも、いつ巨大地震や巨大津波に襲われてもおかしくないというのに、安倍自民党政権は原発の再稼働を目指している。狂気が支配しているとしかいいようがない。

  これほどにまで無責任で国民を愚弄する政府は世界的にみても稀ではなかろうか。日本はやがて世界の笑いものになり、どこからも信用されなくなるだろう。

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