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2013/12/11

原発は巨大地震の揺れに耐えられない

 福島の原発事故以来、エネルギー問題に絡んで、ときどき「安全な原発を目指すべきだ」という意見を言っている方がいる。しかし、いったい何をもって「安全」と言うのだろう?

 地震学者の島村英紀さんが、夕刊フジに以下の記事を書いている。

強震を過小評価する危ない“常識” 計画せよ! 生死を分ける地震の基礎知識 (島村英紀のホームページ)

 この記事で島村さんは、1995年の阪神淡路大震災以降に日本中に強震計が設置され、それによって大地震のときの揺れがそれまで考えられてきたよりもはるかに大きいことが分かってきたと書いている。

 阪神淡路大震災の前には「岩が飛び上がるほどの揺れ(980ガル超)」はないだろうというのが地震学者の常識だったというのだ。ところが、阪神淡路大震災の後に起きた新潟県中越地震(2004年)では2516ガル、岩手・宮城内陸地震(2008年)では4022ガルの加速度を記録したというのだ。しかし、ある電力会社の原発のホームページには「将来起こりうる最強の地震動として300-450ガル、「およそ現実的ではない地震動」として450ガル-600ガル、という数値が載せてあったそうだ。電力会社が「およそ現実的ではない」という地震の加速度よりはるかに大きな地震が起きているのが現実だ。

 つまり、日本の原発の耐震設計はせいぜい450-600ガルの揺れまでにしか対応していなかったと言っても過言ではないだろう。たとえば柏崎苅羽原発の耐震設計でも、300ガルの揺れを想定して設計されていた。以下参照。

地震と原発①柏崎苅羽原発の地震地盤論争と新指針(原子力資料情報室通信)

 実際、2007年の新潟県中越沖地震(マグニチュード6.8、柏崎市の震度は6強、最大加速度は柏崎市西山長池浦で1018.9ガル)によって柏崎苅羽原発で事故が起きた。幸いにも放射能の大量放出は免れたが、このときに全国の原発の耐震設計について十分な検討を行うべきだったのだ。

2007年の中越沖地震で原発をやめるべきだった(つぶやきかさこ)

 日本で最初に商業原子力発電の運転が始められたのは1966年の東海原発だ。それ以降、日本の各地で原発の耐震設計を超える地震はいくつも起きており、柏崎苅羽原発も地震で事故が起きた。幸いにも柏崎苅羽原発の場合、福島第一原発ほどの過酷事故にはならなかった。3.11まで、日本の原発は苛酷事故を起こすほどの大地震の直撃は免れていただけのことだ。

 「安全な原発」という人は、3000ガルとか4000ガルもの揺れにも耐える原発を造ることが可能だと思っているのだろうか? 配管だらけの原発がそんな揺れに耐えられるとはとても思えない。

 近年、地球は巨大地震活動期に突入したという報告がある。

警告レポート 地球は巨大地震活動期に突入 世界の、日本の「次はここが危ない!」 (現代ビジネス)

 日本に原発がどんどん建てられていった時期はちょうど地震の静穏期だったとも言えるだろう。しかし、静穏期はいつまでも続くわけではない。

 3.11の東北地方太平洋沖地震では日本海溝の歪が開放されたが、北海道の太平洋側(千島海溝)や房総半島沖(伊豆小笠原海溝)、南西諸島(琉球)海溝に歪がたまっていて、巨大地震が起きる可能性があるとされている。マグニチュード8.5~9といった巨大地震が起きたなら、原発が大きな揺れに襲われるだけではなく大津波で浸水する可能性がある。太平洋側に立地する原発がまた大事故を起こす可能性は否定できない。

ほかに地震の巣はないか 大地震の「定説」見直す動き(朝日新聞) (阿修羅掲示板)

 上記記事で指摘しているのはあくまでも海溝型の地震であり、内陸で直下型地震が起きる可能性ももちろんある。こうしたリスクを考えるなら、日本に原発を造ったこと自体が間違いだといえるだろう。再稼働などもってのほかだと思う。

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