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2013/09/08

環境団体の理解が得られなかった「学園通」見直し案

 一昨日の6日に、帯広市は環境保護団体に対し「都市計画道路(学園通)の見直しに関する説明会」を開催した。  

 はじめにこの問題について経緯を簡単に説明しておきたい。  

 「学園通」は帯広市が4車線の都市計画道路として整備を進めているが、帯広農業高校に隣接するカシワ林の保護をめぐって地域住民や環境保護団体などの意見がまとまらず、その部分のみ未整備になっている。市は道路を若干カーブさせることでカシワ林の伐採範囲を縮小する見直し案を提案したが、それでも地権者や環境団体との折り合いがつかない状態が続いていた。十勝自然保護協会と地球環境を守る十勝連絡会は2012年6月に、伐採もせず直線を維持できる暫定二車線案(提案では「変則3車線案」としている)を帯広市に提案した。これに対し、帯広市は道路構造上は可能としながら、将来の交通量の増加と安全性を理由に採用できないとの見解を示した。帯広市は今年度に入って地権者を個別に訪問して「見直し案」の同意をとりつけた。8月9日には「見直し案」について地域住民への説明会を行った。  

 6日の説明会ははじめに市から経緯と見直し案の説明があったが、予定時間(2時間)の大半は質疑応答に充てられた。ここでは十勝自然保護協会の質問とその回答について、要点を報告しておきたい。 

1.暫定二車線案を公にして議論しないことについて
Q:十勝自然保護協会などが提案した暫定二車線案について、帯広市は詳細な図面を作成した上で、道路構造上は可能であると説明していた。しかし、この案が提案された事実や経緯は今回の配布資料に全く記載されていない。暫定二車線案という対案が提案され帯広市も検討していながら、それを広く公表せず、経緯にも記載しないのは不適切。
A:資料に記載しなかったのは紙面の都合。また、帯広市の見解(不採用)については提案団体に個別に説明している。地域説明会では説明していない。

Q:住民説明会でも暫定二車線案の説明していないのはおかしい。
A:今後やりたい。

2.過去の道路拡幅等による伐採への影響について
Q:帯広市は過去にも「影響を最小限にする」として道路の拡幅や直線化の際に伐採を行ってきた(若葉の森、稲田の森、チョマトー等)。伐採の影響について工事後に調査を行っており、その結果を知らせるという約束があった。過去の伐採の影響を明らかにするのが先決。
A:手元に資料がないので、回答できない。

Q:「影響を最小限にする」の影響とは、面積のことか? カシワ林の林縁部は外部との緩衝帯の役割があるのであり、緩衝帯が伐られる影響について事前に調べるべき。
A:影響とは面積のこと。カシワ林への影響については専門家から話しを聞いており、事後調査したい。

Q:線引きして支障木を区別しているが、樹木の根は地下に伸びて複雑に絡まっているのであり、影響があるカシワは5本などというものではない。
A:環境団体と相談しながら進めたい。

Q:林縁部を伐ることの影響について調査しているのか。
A:していない。

Q:調査していないのに審議会にかけるのはおかしい。
A:林縁部の影響について検討するかどうか、即答できない。  

3.暫定二車線案について
Q:暫定二車線案については要望書を提出し、議会にも知らせるなどして行動している。また将来は交通量が減少する可能性もある。二車線の方がメンテナンスの費用も少ない。カシワ林の伐採をせず、直線も維持できる。民有地の買収も不要。
A:二車線案をないがしろにしているわけではないが、すでに説明は終わっている。将来の交通量は7%減ると推測されているが、それを加味してもこれまでの調査で将来交通量が11,400台と推定されており、4車線が必要な道路。二車線だと補助金がでないので市の持ち出しが大きい。根本的な改修が必要。交通調査を9月下旬に行う。朝・夕の調査をしたが、一日9600台に近い交通量があると予測される

Q:9600台なら絶対に4車線にしなければならないということではないはず。将来の交通量はどうなるか分からない。右折レーンを十分とるなどすれば大きな渋滞にはならない。推計値に拘らず、暫定二車線で様子を見るべき。ここだけ例外として二車線としても問題ないのではないか。環境保全のために多少の不便を我慢することも必要。
A:安全のために4車線は必要。

 以上は十勝自然保護協会のメンバーからの質問である。他に2団体(2名)からカシワ林への影響に関すること、専門家の追加や除雪、融雪剤などについて質問があった。  

 このように、昨日の説明会においては批判的な意見しか出されず、帯広市の見直し案に理解を示す意見を述べた環境保護団体はひとつもなかった。暫定二車線案について、紙面の都合で経過報告に入れなかったという説明は言い訳でしかなく、代替案に触れたくない姿勢が浮き彫りになった。しかも、「即答できない」ことが複数あった。これで幕引きするのであれば環境保護団体の意見を無視することになる。  

 そこで私は最後に「住民説明会では一定の理解が得られたとのことですが、今日の環境団体への説明会はどう評価するのか?」と聞いたところ、都市計画課長は用意していた原稿を読み上げ「全会一致での理解は得られなかったが、見直し案で進めたい」と締めくくった。

 反対意見が出されることを予測して、あらかじめこのような原稿を用意していたのだろう。しかし、「反対意見ばかりで理解は得られず、回答を先送りした質問もあった」というのが実態だ。この実態をきちんと反映しない締めくくりの挨拶は、「環境保護団体の理解が得られなくても見直し案で進める」という宣言である。

 要するに、環境団体への説明会は「説明した」とのアリバイづくりでしかない。説明会で理解が得られなくても、出された質問に答えられなくても結論は決まっており、「はじめに見直し案ありき」だったのである。

 予想されたこととは言え、環境保護団体の意見を真剣に受け止め、環境保全のために最大限の努力をしたとは言い難い。ちなみに帯広市は「環境モデル都市」である。

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