ペパーミントに集まるチョウ
昨年種を播いたペパーミントが今年は一斉に花をつけたのだが、チョウをはじめとした昆虫がたくさん集まってきた。植物の花には昆虫がとてもよく集まるものと、それほどでもないものがある。そういえばラベンダーにはシロチョウがたくさん吸蜜にやってくる。独特の香りが昆虫を誘引するのだろうか。
そこで、ペパーミントにやってきたチョウを紹介したい。
まるでクジャクの羽を連想させる魅惑的な紋様のクジャクチョウ。子どものころ霧ヶ峰でこのチョウを見て、こんな美しいチョウがいるのかと心が震えた。タテハチョウの仲間は樹液を好む種が多いが、クジャクチョウは花によくやってくる。北海道では平地でも見られるが、本州だと高原に行かないと見られない。東京に住んでいた子どもの頃、時々でかけた信州の霧ヶ峰はクジャクチョウやヒョウモンチョウの宝庫で、高原の花に集まる華やかなチョウは飛ぶ宝石のように思えた。
オレンジ色に黒い斑点を持つヒョウモンチョウは、一見どれもよく似ている。翅の表側だけでは識別が困難だが、裏側はけっこう違いがある。ペパーミントで見られたのは3種。上の写真はウラギンヒョウモンの表側。
こちらはウラギンヒョウモンの裏側。その名の通り、裏側には銀白色の斑点がある。
上はオオウラギンスジヒョウモン。
こちらはミドリヒョウモン。後翅の裏側がやや緑色を帯びていることから「ミドリ」とつけられたようだ。
シロチョウで多いのがエゾスジグロシロチョウ。翅脈の周辺の鱗粉が黒い。食草はコンロンソウやタネツケバナなど野生のアブラナ科植物。
こちらはおなじみのモンシロチョウ。食草はキャベツやダイコンなど栽培種のアブラナ科植物。
そして、愛らしいベニシジミ。
こちらは地味なオオチャバネセセリ。
私が学生の頃、チョウマニアの方たちはチョウが減っているとよく言っていた。あれから40年ほどが経った今、さらに減少したのではなかろうか。野生生物の減少の多くは人間による環境の悪化が影響していると思うが、「気が付いたら見られなくなっていた」ということになるのが本当に恐ろしい。昆虫が棲めない環境は、人間にもいいはずがない。
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松田さん、はじめまして。
時折ブログ拝見しておりますが、チョウチョについ反応してしまいました。笑
訳のわからないキチガイじみた世の中ですので、こういう話題はホッとします。
こちらは札幌なんですが、ウチの猫の額ほどの小さな庭で、
枝豆、蕎麦、とうもろこしやトマトなどを少しずつ栽培しています。
毎日私が野菜の様子を見に庭に出ますと、
一匹のモンシロチョウがいつもどこからとも無くやって来て、
私の周囲をしばらく飛び回って、またどこかへ飛んでいきます。
何だか懐いてくれて、挨拶されてるのかなと、勝手に思って嬉しくなったりします。
この時ばかりは、ダダ漏れの放射能、汚染食品、馬鹿議員たちの狂乱政治、パチンコ、学校教育、NHKをはじめとするマスコミの国民洗脳、不正選挙、インチキ民主主義、国民監視、利権、等々、
呆れる程に数多く醜悪な面を持つ日本の現状をしばし忘れることが出来ます。
ここ数日、肌寒い夜でもう秋の気配。
また、来年も野菜を育て、モンシロチョウもいる普通の夏が来ればいいのですが。
核心をつく記事、今後も応援しております。
投稿: 昭和35年 | 2013/08/31 23:33
昭和35年さん
こんにちは。コメントありがとうございます。
私は子どもの頃から大の虫好きで、チョウを見れば衝動的に捕虫網を振り回したくなってしまう方だったのですが、最近は「採る」という衝動が薄れてきました。それだけ歳をとったのでしょうか(笑)。
私も庭仕事をしたりしているときには、人間社会の愚かなことを忘れてほんの一時ですが幸せな気分になれます。畑仕事をしたり、自然の中を散策したり、という時間はとても大事ですね。人間が自然の一員であることを実感します。
原発事故以来、自然関係の記事から離れていましたが、たまには取り上げたいと思います。
投稿: 松田まゆみ | 2013/09/01 10:32
美しいチョウたち、見せていただいてありがとうございます。
私はチョウの変体が面白く、特にモンシロ、幼虫も毛があまりなくて成虫も丸い羽が可愛くて好きなのですが、
家庭菜園の大敵ではありますよねえ…
一回、ベランダ菜園を丸裸にされ、もう茎しかない小松菜のプランターの中をうろうろする数十ぴきのモンシロ幼虫たちをみかねて、買ってきたキャベツで成虫まで養殖したことがあります(笑)
投稿: ちぷり | 2013/09/04 01:31
私も2日ほど旅行をして帰ってきたら、庭のダイコンの葉が芯を残して丸坊主になっていたことがあります。オオモンシロチョウの幼虫でした。虫が悪いわけではないのですが、やむを得ず手で駆除しました。
そもそも同じ場所に同じ作物を沢山作ったなら、それを食べる昆虫が時として大発生するのは自然の摂理です。農薬に頼るのではなく、なるべく工夫して被害を減らす努力をするのがベストでしょうね。
「奇跡のリンゴ」などは参考になる事例だと思います。
投稿: 松田まゆみ | 2013/09/04 11:32
連投失礼します。
マンションの上階の小さなプランターの無農薬菜園を探しだしたチョウが、体をぐぐっと「し」の字に曲げて、まだ小さな小松菜の子葉の裏にチョンチョン沢山の卵を産み付ける姿を見て何だかスゴいなお主、と思ってしまったから私の敗けです。
いいんです。私は野菜はスーパーで買ってくるからいいです、どーぞお食べください、あ、足んないすか?買ってきましょか?という感じです。
幾夏か、うまくチョウに見つからなければ無農薬の野菜(の芽程度)を食べ、見つかればそのままモンシロの養殖で楽しんでいたベランダ菜園も、原発爆発以降はやめています。なるべく窓やサッシも開けないようにしています。
こんなちっぽけな楽しみまでも奪われてしまいました。
2011からこの三夏は、うちの近辺のモンシロは確実に数が減したと思われます。
サナギを食べに来ていたスズメもガッカリしてるかも…(うまくしたもので100匹サナギまで育てても一部しかチョウにはならないようになってるんですね)
投稿: ちぷり | 2013/09/04 22:50
ちぷりさん
産卵した卵がすべて成虫になったら、モンシロチョウだらけになってしまいますよね。最終的にはひとつのペアから生まれたもののうち2匹(♂と♀)が成虫になって卵を産めばつり合いがとれるわけです。野鳥などに食べられたり、寄生バチや寄生バエに寄生されたり、あるいは病気になるなどして減ってしまう分まで卵を産んでいるんですよね。
原発事故はほんとうに私たちの生活を一変させてしまいました。海の汚染も酷いですし放射性物質は魚に濃縮されていくでしょうから、太平洋産の魚も食べられません。あまりに大きな被害に言葉もありません。健康被害がこれから顕在化してくるのかと思うと、やりきれない思いです。
投稿: 松田まゆみ | 2013/09/05 09:46