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2013/08/28

地球温暖化を忘れてはならない(追記あり)

 北海道の夏は気温が高くても空気がカラッとしているので、日陰に入ればとても気持ちがいい。ところが、この夏の雨の多さ、湿度の高さには閉口した。特に8月は毎日のように雨が降ったり止んだりで、本州のように湿度が高かった。

 本州は本州で今年も大変な猛暑だった。40度を超える気温が記録され、熱中症で病院に運ばれたり亡くなる人も続出した。日本の夏はもはや熱帯並み、というより熱帯以上の暑さだろう。しかも、本州も北海道も集中豪雨に襲われた。何年か前から、日本では異常気象が当たり前のようになってきている。

 3.11の直後、「原発がなければ電気が足りなくなる」と大騒ぎしたが、大半の原発が停止し40度もの気温になってもこの夏は「電気が足りない」という話しは出ない。それを受けてか、電気は足りているからエアコンをどんどん使おうという人もいるようだ。ニュースでも、熱中症予防のためにエアコンを使うように呼びかけている。しかし、電気が足りているのはもちろん止まっていた火力発電所を稼働させているからだ。

 そもそもなぜ温帯の日本が熱帯のようになっているのか? なぜ集中豪雨が増えているのか? どう考えても地球温暖化が関係しているとしか思えない。そして、火力発電は間違いなく多量の二酸化炭素を放出している。原発が止まっているからといって、電気を湯水のように使っていいということには決してならない。原発を止めると同時に、火発も減らすという選択をしていくしかないだろう。

 福島の原発事故以来、地球温暖化の問題はすっかり置き去りにされてしまった。反原発の人の中には「温暖化詐欺」を主張する人もそれなりにいる。化石燃料の燃焼による二酸化炭素の増加が地球温暖化を引き起こしているという主張は原発推進派による作り話だといういわゆる陰謀論者だ。温暖化は嘘だから、化石燃料を燃やしても問題ないと考えている人もいるのだろう。

 しかし、なぜそんなに単純に陰謀論にはまってしまうのだろう。熱中症で倒れる人が続出する猛暑、長引く熱帯夜、頻発する集中豪雨、海水温の上昇、台風の大型化・・・。3.11の前から温暖化による異常気象は警告されていたし、どんどん顕著になっているのではなかろうか。陰謀論者は近年の異常気象の原因が何だと考えているのだろうか?

この国は壊れ始めている 千年猛暑 異常気象はまだまだ続く(現代ビジネス)

 化石燃料の燃焼によって排出される二酸化炭素が温室効果ガスとして温暖化の一因になっていると言われているが、最近は二酸化炭素によって海の酸性化が進み温暖化がさらに加速されるという研究がある。海の酸性化が進むと、プランクトンによる硫化ジメチル(DMS)の生産が阻害されるそうだ。硫化ジメチルは太陽光を反射して地球の表面温度を下げる効果があるので、放出が減れば温暖化が促進されることになる。

 地球温暖化促進の新たな要因は「海洋酸性化」、研究(AFP BB News)

 地球には過去にも温暖な気候の時があったから、今の温暖化も自然現象だという人もいるが、昨今の地球温暖化は過去にはない急激な温度上昇こそ問題なのであり、人類にとって、地球にとって大きな脅威なのだ。

 人間の手に負えない核の利用は直ちに止めるべきだが、異常気象でも多くの人が亡くなっている。化石燃料をどんどん燃やすことは地球にとって大きな脅威であることを忘れてはならない。江戸時代の生活に戻るということにはならないが、私たちはもっと自然に目を向け、さらなる節制を心がけるべきではなかろうか。

【8月29日追記】
 昨日のNHK「クローズアップ現代」は異常気象に関する話題だったので、内容を簡単に紹介しておきたい。

 ひとつはテレコネクションという現象によって、猛暑や干ばつなどの異常気象が連鎖しているとの指摘。一か所で生じた現象(たとえば海水温の上昇)などが連鎖して世界的に異常気象が発生しているという。フランスでは6月に雪が降ったり、ドイツでも大雨で洪水被害に見舞われたそうだ。

 もうひとつの指摘は、海水温の上昇。今年は北海道でクロマグロなどの南方の魚が水揚げされたのは記憶に新しい。研究によると、この100年で海水温が0.5度上昇しているそうだ。0.5度はたいした上昇ではないと思う人がいるかもしれないが、地球上の大量にある海水を0.5度も上昇させるというのは実は大変なことだ。しかも、今までは海水温の上昇が表面の海水に限られていたのが、最近は深海でも上昇しているという。これはかなり深刻な事態と受け止めるべきだろう。

 また、温暖化によって地球のエネルギーバランスが崩れることも指摘していた。化石燃料の燃焼など人為的要因による気温の急上昇は次々と連鎖することで加速度的に進み、それが地球全体のエネルギーバランスを崩してしまう。

 「地球温暖化は陰謀」などとのんきなことを言っている場合ではないとつくづく思う。

 反原発派の人たちの一部に温暖化陰謀論が根強いのは、以前から反原発の立場で温暖化陰謀論を唱えていた槌田敦氏や広瀬隆氏の影響が大きいのだろう。彼らこそ、温暖化の現実を認識してほしいと願わずにはいられない。

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