« 「もったいない」という感覚をなくした日本人 | トップページ | 深刻な海洋汚染と放射能津波の恐怖 »

2013/05/19

若い人たちに知ってもらいたい慰安婦問題

 橋下徹大阪市長の従軍慰安婦に関する暴言、つまり「あれだけ銃弾が雨・嵐のように飛び交う中で、命をかけて走っていく時に、猛者集団、精神的に高ぶっている集団をどこかで休息させてあげようと思ったら、慰安婦制度というものが必要なのは誰だって分かる」、あるいは普天間飛行場の視察の際に、司令官に「合法的に性的なエネルギーを解消できる場所が日本にはある。真正面から風俗業を活用してもらわないと、海兵隊の猛者の性的なエネルギーをコントロールできない」という発言だ。このニュースを聞いたとき「もうこの人は終わっている」という感じで、呆れ果ててブログに書く気もしなかった。

 「慰安婦」などというのはまやかしの表現であり、彼女らは性奴隷にほかならない。戦争を想定していながら「戦争」とは言わすに「有事」などという曖昧な表現で誤魔化してしまうのと似ている。被害者となった女性たちは騙されたり強制連行によって集められ、一日に何十人という兵士の性の相手をさせられたのだ。いたいけな少女も多く、考えるだけでもおぞましい犯罪行為だ。もちろんこうした事実は多くの証言によって裏付けられている。

 米軍の司令官に対する発言にしても、よくこんなことを恥ずかしげもなく言えるものだ。司令官だってこんな非常識かつ破廉恥なことを言われ、さぞかしびっくり仰天しただろう。これらの発言は女性に対する蔑視、人権侵害であることは言うまでもないが、男性をも侮辱する発言だ。

 橋下氏の発言は、戦争をも肯定し、性奴隷という犯罪を容認するあまりに無知蒙昧で人格を疑う暴言である。こんな人物が市長であり、政党の共同代表であり、弁護士であるというのだから、これほど恥ずかしいこともない。大多数の人から批判されるのは当然のことだ。

 ところが、ご本人は批判されると「慰安所を認めたわけではない」と矛盾した言い訳に終始し、さらに自分の発言を撤回するどころか開き直って「マスコミの誤報」とか「国民の読解力不足」と、マスコミや国民に責任を押し付けてしまった。これでは事態が悪化するだけだが、それも分からないらしい。

 橋下氏は18日に、国会議員に「誤解も含めて、意図しない形で伝わり、国会議員にも迷惑を掛けたことは申し訳ない」と陳謝したという。これだけ批判を浴びても、未だに「誤解も含めて、意図しない形で伝わり」と、自らの暴言を撤回しないようだ。もちろん、彼は辞任をするなどという考えは毛頭ないのだろう。

 今日の新聞では、元従軍慰安婦の二人が沖縄と広島での集会に出席し「自分の娘を(慰安婦として)送ることができるのか」と話したそうだ。橋下氏は元慰安婦に会うとのことだが、彼女らに会う前に発言の撤回と謝罪をしないのなら、面会を果たすことによってなんとか名誉回復を図るつもりだろうだと受け止められても仕方ない。

 安倍首相は憲法を改悪して戦争のできる国にしようと必死になっている。しかし、慰安婦問題は戦争と切っても切り離せない。ここにきて、戦後生まれの親に育てられた若い人たちは果たしてどれほど従軍慰安婦について知っているのだろうかとふと思った。

 今回の橋下発言をきっかけに、とりわけ若い人たちには以下のブログなどで慰安婦問題やその背景について認識してほしいと思わずにいられない。

維新の会橋下共同代表の性暴力発言弾劾! (明日に向けて)
軍隊「慰安婦」問題と福島原発事故は底流でつながっている! (明日に向けて)
【再掲】台湾のおばあさんたちのこと(性奴隷問題被害者の素顔を知ってください!) (明日に向けて)
「慰安婦と兵隊」に寄せて (明日に向けて)

橋下氏の暴言 (inti-solのブログ)
あまりの矛盾(続・橋下氏の暴言) (inti-solのブログ)
いったい何が誤報なのか (inti-solのブログ)  

« 「もったいない」という感覚をなくした日本人 | トップページ | 深刻な海洋汚染と放射能津波の恐怖 »

戦争・平和」カテゴリの記事

コメント

謹啓、娘を持つ父親として橋下市長の発言を許容出来ません。昭和恐慌で疲弊した東北で娘を女衒に売った悲しい歴史もありました。東京裁判の判事であられたパール氏は夜伽の女性を拒否され高潔な人格を示されました。インドネシアの革命政府で賠償金で商社やゼネコンが受注欲しさに賄賂を提示しても決め手にならず岸信介のアドバイスでホステスだった根本志保子女史を人身御供として献上し契約が締結した経緯もありました。敬具

橋下氏は自分の妻や娘を慰安婦に送れるのかと問われたら、どう答えるのでしょう。まさか、「送れる」とは言えないでしょうね。レイプされる女性のことをまったく考えていない許しがたい暴言ですし、男性の大半も彼の発言を看過できないと思います。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 若い人たちに知ってもらいたい慰安婦問題:

« 「もったいない」という感覚をなくした日本人 | トップページ | 深刻な海洋汚染と放射能津波の恐怖 »

フォト

twitter

2025年5月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ