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2013/05/08

オール電化住宅は原発促進の産物

 最近、オール電化住宅が増えているようだと思ってはいたが、今日の北海道新聞の「オール電化 重い負担」という記事によると、道内の7%に当たる19万世帯がオール電化住宅だという。私はオール電化といえばてっきりマンションやアパートが中心だと思っていたのだが、一戸建て住宅でも増えているらしい。このために、北電の値上げは相当こたえるという。

 新聞で紹介されていた6人家族の世帯では、月額の電気代が夏で1万4千~6千円。冬で5万円前後だという。暖房費だけで月3万5千円ほどになる計算だ。値上げすると、冬は1万円以上の負担増になるそうだ。

 熱を発生させる電化製品というのは電気消費量が大きいものばかりだ。寒さの厳しい北海道の場合、どう考えても電気での暖房はお金がかかるとしか思えない。電磁調理器なども電気消費量は大きいし、電磁波による健康被害の懸念もある。

 それなのにオール電化住宅が普及してきたのは、もちろん電力会社の宣伝によるところが大きい。北電は温暖化防止を謳って火力発電を休止し、原発へと転換してきた。そして原発による電気をベースとし、火力や水力をピーク時の調整として使うように変えてきたのだ。

 出力調整が困難な原発では、発電量が増えてくるとどうしても夜間の電力が余ってしまう。夜間電力を安くすることでオール電化でもそれほど料金が割高にならないようにして、オール電化を促進してきたのだ。夜間の安い電気が利用できなければ、馬鹿高いエネルギーを必要とする住宅になる。本来ならエネルギーをすべて電気で賄うなどとても考えられないのだが、夜間電力で誤魔化してあまり高くないように見せかけているだけだ。オール電化住宅というのは原発促進の産物でしかない。

 原発による発電量を増やせば増やすほど、夜間電力が余ってしまう。その対策が揚水発電とオール電化だ。昼間の発電のために夜間電力を利用して下部貯水池から上部貯水池へと水をポンプでくみ上げる揚水発電は、無駄の典型ではないか。原発とはそれほど余計なエネルギーをつくりだしてしまうのだ。

 原発とはエネルギーの無駄づかいに他ならない。しかもウランは有限だし、人類は核廃棄物の安全な処理すらできない。プールに貯め込まれたあの膨大な使用済み核燃料はいったいどうするつもりなのか。原発はいつかは必ず廃炉にしなければならないが、廃炉費用も莫大になるだろうし、何よりも労働者は被ばくする。もろもろのことを考えたら原発の電気代ほど高く、原発ほど愚かな発電はない。こんな愚かな発電を促進してきたのは、電力会社にとってよほどうまみがあるからだろう。

 ところが、新聞記事ではそういう原発の本質的な問題にはいっさい触れていない。

 オール電化の住宅に住んでいる人たちにとって、電気料金の値上げは生活を直撃する。しかし、なぜ電力会社がオール電化を促進してきたのかをよく理解し、値上げは困るからというだけの理由で、原発の再稼働に賛成しないでほしい。

 泊原発とて大地震や大津波に襲われる可能性は十分にあり、もし過酷事故を起こしたなら道民は被ばくによる健康被害にさらされ、日本の食糧基地である北海道は壊滅状態になる。事故処理や補償費用はとんでもない金額になるだろう。福島だけでも大変なのだから、日本は間違いなく破綻する。目先のことより未来のことを考えなくてはならない。

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