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2012/11/08

質問のマナーを忘れた日本人

 一週間ほど前に、ブログのメッセージ欄から質問があった。以下のような内容だ。

拝啓、いつも楽しくブログを拝見しています。

さて、気象庁では桜の観測など生物の観測をしていますが、アキアカネの初見(山で一夏を過ごし赤く成熟した固体)の観測をしています。最近、過去の観測が間違っていたので統計に使わなくなりました。

この件について鬼蜘蛛おばさんの見解を教えて下さい。

 正直いって回答をする気になれず返信していない。インターネットや電子メールの発達により、今では見ず知らずの人にも簡単に連絡をとれるようになってきている。しかし、この質問はあまりに不躾だ。

 電子メールが普及しておらず、手紙や電話が主な通信手段だったころのことを思い返してほしい。見ず知らずの人に問い合わせの手紙を出す場合、こんな質問の仕方をする人がいただろうか?

 常識的な手紙の書き方を考えてみよう(電話で問い合わせる場合も基本的に同じである)。まず挨拶、自己紹介をする。そして、質問をする理由や動機の説明。また質問事項については、相手がよく理解できるように詳しく、場合によっては資料を添えて質問するだろう。また、質問の内容によっては自分の見解なども書き添えることが望ましい。それが時間を割いて回答をしてもらうための最低のマナーだろう。もちろん、相手が質問に答えられる知識や情報の持ち主であることが前提である。通信手段が電子メールであろうと、このようなマナーは基本的なことだ。

 ところが上記の質問はどうだろう。まず、自己紹介も質問の意図の説明も書かれていない。質問内容に至っては、気象庁の観測がいつごろからどのように行われているものなのかという具体的説明がまったくない。過去の観測が間違っていたとのことだが、それについて気象庁の説明なども紹介されていない。そして、これらの情報が掲載されているウェブサイトすら記載されていない。質問者自身の見解もない。

 この質問に答えるためには、私自身が時間を割いて情報収集しなければならないのだ。質問の意図の説明もない見ず知らずの人からの問い合わせに、いちいち時間など割いていられない。単なる興味本位の質問であるならなおさらだ。しかも、私はトンボの生理・生態の専門家でもない。はっきりいって非常識である。私のメールアドレスを知るためのヤラセ質問という可能性も考えられる。

 いくらメールで簡単に意見や質問を送信できるようになった時代とはいえ、見ず知らずの人に質問をする際のマナーくらい心得てほしい。よって、このような質問には回答しない。

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コメント

不躾な質問をして鬼蜘蛛おばさんに不快な思いをさせて申し訳ありませんでした。

確かに、マナー違反でした。反省しています。しかし、少しだけ言い訳をさせて頂きます。

実は、鬼蜘蛛おばさんのリアクションが知りたかったというのが質問の意図です。興味があれば反応があると。

鬼蜘蛛おばさんも少なからず興味を持たれたようなので、もう少し詳しく説明します。

私は、蜻蛉に興味がある者です。気象業務支援センター(気象庁の観測データを販売する会社)より生物季節観測値
1953-2011年CD-ROMを購入しましたところ、「あきあかね」のデータが過去に購入したものに比べ大幅に修正されていました。修正されたデータは統計から外されて、平年値など大幅に変更となっています。またどうして修正に至ったのか説明がありません。気象業務支援センターに問い合わせたところ下記の回答がありました。

特に気象庁からのコメント等はございませんが、CD添付の「生物季節観測累年
値.txt」には下記の記載がありますので、最新のものが正しいかと思われます。
------------------------
 データを利用する際には、最新のものをご利用ください。
------------------------
(ここまで)

そこで、気象庁に問い合わせたところ下記の回答がありました。

「あきあかね」の初見日の観測データについては、観測値の属性を表す印(リマーク)を変更したものがあります。
「あきあかね」の観測は、成熟して赤くなった成虫を初めて見た日を対象としていますが、成熟前の成虫を見た日のデータが混在している可能性があることが分かったため、成熟後の観測とは判断できない一部の観測データのリマークを、正常から疑問があることを示すものに変更しました。
当庁では、過去にさかのぼって観測データの修正やリマークの変更を行うことがあるため、最新データをご利用をいただくよう幅広く周知しています。このため、「あきあかね」の初見日の観測データのリマークの変更について報道発表は行っておりません。
(ここまで)


気象庁の観測は、CD-ROMによると1953年から全国各地の気象台や測候所で毎年観測されていましたが、1990年位からアキアカネが激減しており年々観測している気象台は減少しています。過去の観測が間違っていたことについては気象庁の説明は上記の通りですが、これらの情報が掲載されているウェブサイトはありません。すなわち、メールで問い合わせた人間しか知らない状態です。私としては、公式に発表しないとあかんと思います。

そこで、改めて質問です。
鬼蜘蛛おばさんの見解を教えて下さい。

あかね様

気象庁のアキアカネ初見日のデータのことについてはおおよそ理解できましたが、私に何についての見解を期待されているのかがよくわかりません。

過去の観測記録が間違っていたことについての具体的説明を気象庁が公式に発表すべきだということであれば、もちろんその通りだと思います。

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