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2012/11/21

福島第一原発の事故対策が第一

 マスコミは来月の衆院選の話題で持ちきりだ。雇用、TPP、消費税増税・・・どれも大事なことではあるけれど、候補者からは不可解なくらい危機的状況にある原発の事故処理に関する主張が見えてこない。完全に置き去りにされている。原発を推進してきた連中は、事故の過小評価をしたいがために現実を見据えようとしない。野田首相は昨年末にさっさと「冷温停止」の宣言をし、あたかも福一の事故が落ち着いたかのように国民を騙した。マスコミもこぞって事故処理や廃炉の困難さ、福一の抱える危険性をまともに報じようとしない。

 今の福一はとんでもなく恐ろしい状態が続いていて、危機はまったく去っていない。アウターライズ巨大地震による大津波の可能性も否定できないし、福島第一原発から数キロ西の双葉断層で直下型地震が起こる可能性も指摘されている。そのことを日本人の多く、政治家や候補者の多くが分かっていないようだ。

 廃炉に向けての困難さも課題も分かっていない。そうでなければ、「2030年代までに原発ゼロを目指す」とか「経済のために再稼働が必要」などといったのんきなことは、とてもじゃないが言っていられない。事故処理や被害の補償で莫大なお金がかかるのに、その現実を抜きにして経済を語るのはあまりに馬鹿げている。日本は、世界に対しはかり知れない重い責任を負っているのだ。これほどインターネットが発達した情報化社会でありながら、こうした現状がほとんど報じられないことがただただ恐ろしい。

 本当のことを理解しているならば、再稼働など論外。今すぐにでも福一の処理を東電に任せるのを止めさせて情報を公開せねばならないし、事故処理と最悪の事態の回避のために世界の専門家の知恵を結集させて全力で取り組まねばならない。なのに、こうしたことを訴えている政治家や候補者がどれほどいるのか・・・。

 以下の「星の金貨プロジェクト」に掲載された一連の記事は、アー二―・ガンダーセン氏とヘレン・カルディコット氏の対談だ。この話しの中には推測や想像が含まれているとはいえ、おおむね福一の現状を言い当てていると考えてよいのではないか。長いのだが、是非読んでもらいたい。

 こういう情報が海外からしかもたらされないということは、日本人にほとんど真実が知らされていないということだろう。これほどの重大かつ緊急な原発事故の対処を第一に考えないような政治家はあまりにお粗末ではないか。

福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実1 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実2 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実3 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実4 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実5 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実6 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実7 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実8 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実9 
福島第一原発で今も続く事故、そして危険、その真実10 

 上記の対談から重要なことをいくつか箇条書きにしておきたい。

・まずやらなければならないのは、建屋のプールにある使用済み核燃料をすべて取りだすことだが、そのためには巨大クレーンを壊れた建屋に隣接して建設しなければならない。その建設に18カ月かかり、燃料の取り出しに1年かかれば、2年6カ月を要する。
・もし地震で汚染水が漏れ出して使用済み核燃料が火を噴くようなことになれば、日本全土がたちまち汚染される。時間との戦いである。
・4号機のプールに7000トン、1~3号機にそれぞれ約600トン、合計で8800トンの核燃料がある。当面の目標は、これからの10年ですべての核燃料をドライ・キャスクに収納すること。
・日本の原発には、最低でも3万トンの使用済み核燃料がある。
・原子炉のメルトダウンした燃料は、5年は水で冷却しつづけなければならない。
・原子炉に注ぎこまれる水によって膨大な量の高濃度汚染水が溜まりつづけている。
・今は大量の汚染水が地下水脈に入らないようにしなければならない。
・私(ガンダーセン)が東電の役員なら、作業員の被ばくを防ぐために使用済み核燃料の温度が下がるまで2年間待ち、原子炉建屋にコンクリートを流し込んで300年待つことにするだろう。ただし、原子炉をコンクリート漬けにしてしまえば、汚染物質が地下水脈に流れ込み、海を汚染させ続ける。だから、現段階では究極の解決策はない。
・原子炉建屋から漏れ出した汚染水は、地面にしみこむと同時に隣の建屋にも流れて高濃度に汚染している。
・福一は犠牲になった土地として汚染物質の集積場にすべき。
・汚染を取り除き、人が入って福一を完全に解体するためには100年、200年という単位で汚染水を汲みだしつづけなければならない。
・300年後でも福一は最低でも今と変わらないレベルに汚染されているだろう。
・事故処理費用は40兆円になり、日本は高齢化と人口減少のなかで多額の債務を抱えることになるだろう。
・スリーマイル島の事故で1万人、チェルノブイリで100万人、福島でも100万人が亡くなると推測している。
・日本は癌、その他の病気、先天性異常の発生などの問題と向き合わねばならない。
・1~4号機の全てで水素爆発が起き、3号機は即発臨界が起きたと考えている。
・1~3号機にはまだ水素爆発の危険性が残っている。
・現在、福一からは液体、気体合わせて、1日10億ベクレル(1秒ごとに10億回の放射性崩壊の放出、が毎日続いている。
・子どもの甲状腺に異常が見つかる確率は1%だが、福島では36%。大量のヨウ素が体内に入ってしまった可能性がある。
・最も心配しているのはウラニウム。東京で採取したサンプルにウラニウムがあったが、これは原子炉の内部から直接外に漏れ出したものがあることの証拠。
・福一から160キロメートルのところで暮らしている人々は、肺、口、その他の期間に放射性物質の塵を貯め込んでいる可能性がある。日本の状況はきわめて深刻。
・高速増殖炉のもんじゅは事故を繰り返し、とんでもない巨額の費用がかかっている。
・地震大国であちこちに断層がある日本には、核廃棄物を保管できるところなどどこにもない。この問題の解決に答えられる人など地球上に存在しない。

 読んだだけで青ざめ、体中の力が抜ける。頭がくらくらする。あまりの恐ろしい状況に、言葉もでない。

 チェルノブイリの事故では速やかに石棺が建設されたが、福一ではそれをしたくてもできない。現時点で速やかな事故処理の解決法がなく、われわれは何十年も大地震に怯え、被ばくに怯え、破局に怯えて暮らさなければならない。さらに安全に保管できない途方もない量の核燃料を抱えている。いつ爆発してもおかしくない超巨大原爆を抱えながら生活しているのだ。

 再び大地震や大津波に襲われる前に、ボロボロの建屋が倒壊したりプールが水漏れしないように補強し、できる限り早く原発内の使用済み核燃料を移動させなければならないのに、そういう対策を提案もせず再稼働させてこれ以上核燃料を増やすなどというのは狂気でしかない。

 「原発ゼロを目指す」などと言っていながら、「電気が足りない」、「経済のために再稼働は必要」という政党や候補者に騙されてはならない。こういう人を私はまったく信用していないし、絶対に投票はしない。

 日本はこういう危機的状況に置かれていることを、多くの人に知らせてほしい。この現状を知った人は、とにかく原発を早急に止めるという候補者や政党に投票してほしい。

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