金坂滋行政書士に業務停止1カ月の行政処分
文芸社が興信所を使って私の情報を収集していたのだが、その際に金坂滋行政書士が私の戸籍を不正取得していたことに関しては何回か記事にしてきた。
興信所を使って私のことを調べていた文芸社
行政書士が私の個人情報を不正に取得していたことが判明!
告訴状を送った警察署の速やかなる対応
行政書士による個人情報不正取得事件の中間報告
警察官らの戸籍不正取得で司法書士らが逮捕、私の告訴は不起訴
統一教会も関わっていた司法書士による個人情報不正取得事件
この不正取得事件で私は刑事告訴、東京都への懲戒請求、東京都行政書士会への懲戒請求を行ったが、刑事告訴はあっという間に不起訴にした。東京都と行政書士会の処分に関しては今まで何ら通知が来ていなかったのだが、15日にようやく東京都から処分結果の通知がきた。平成24年11月10日から12月9日までの一カ月間の業務停止である。しかも、処分通知書には東京都がどのような調査を行ったのかということなど一切書かれていない。
東京都は懲戒処分について報じているのだろうかと思って調べてみると、報じることは報じるようだ。しかし、驚いたことに処分をした者の名前などは非公開となっている。以下は金坂行政書士とは別の事例。
行政書士に対する行政処分について(報道発表資料[2012年10月掲載])
名前も出さず、たった1カ月の業務停止とは、甘い、甘い、大甘だ。これでは処分されても「運が悪かった」くらいにしか思わないだろう。私は厳罰には反対である。しかし、この処分に関しては「甘い」としか思えない。昨年、探偵業者が司法書士らと共謀し、偽造した「職務上請求書」を使って1万件に及ぶ戸籍謄本を不正入手した事件が発覚した。いわゆる「プライム事件」である。
この事件では、探偵社の社長、粟野貞和に懲役2年6カ月、プライム総合法務事務所の経営者である奈須賢二に懲役3年の実刑、元弁護士である長谷川豊司に懲役2年、執行猶予4年、司法書士であり行政書士でもある佐藤隆に罰金250万円の判決が言い渡されている。また、佐藤隆に対しては、東京法務局が業務の禁止の処分を行った。事件の概要は以下参照。
私の事例も、金坂滋行政書士が不正取得した私の戸籍は、興信所に渡されていた。探偵業者や興信所が司法書士や行政書士と共謀し、お金のために違法行為を行っているという構造はプライム事件と同じである。プライム事件の方は職務上請求書を偽造して大量に違法取得していたとはいえ、プライムの佐藤司法(行政)書士が250万円の罰金+業務禁止に対し、金坂行政書士は業務停止1カ月だけである。あまりにも違いが大きすぎないか。
それにしても、腹立たしいのは私の告訴に対する検察の不起訴処分だ。東京地検は「嫌疑不十分」で不起訴処分にしたのである。今回、東京都が金坂行政書士を懲戒処分したということは、東京都の調査によって金坂自身も不正の事実を認めたということだ。検察がきちんと捜査していれば、当然不正を確認できたはずであり、不起訴であってもその理由は「起訴猶予」にしなければならない。まともな捜査をしなかったとしか言いようがない。
私がなぜ東京都の懲戒請求だけではなく刑事告発をしたのかといえば、プライム事件のような全容解明だ。金坂行政書士がいったどこの興信所に私の戸籍情報を渡したのか? 興信所に調査を依頼した文芸社は戸籍の取得まで求めていたのか?(もし戸籍取得を依頼していたなら文芸社も教唆罪である) 金坂行政書士には余罪はないのか? 不起訴によって、検察は事件の全容解明を闇に葬ってしまった。
こんなこともあろうと東京都にも懲戒請求をしたのだが、強制捜査権をもたない自治体による調査ではせいぜい私の事例に関する事実確認くらいしかできなかったのだろう。しかし、金坂行政書士が私の事例一件しか不正取得に関わっていなかったとは考えにくい。
それにしても、東京都はなんでこんなに処分が遅いのだろう。業務停止1カ月の処分をするのに、1年3カ月もかかったというのは驚きを通り越して呆れ果てる。プライム事件で被疑者が逮捕されたのは2011年11月で、佐藤隆司法(行政)書士の判決確定は2012年7月18日だ。そして、東京法務局による懲戒処分が8月15日。複雑なプライム事件ですら8カ月、9カ月で処分が出ているのである。
あとは東京都行政書士会の処分を待つことになるが、こちらは身内だから重い処分はしないだろう。こちらの対応もあまりに遅い。何をやっているのだろう。
職務上請求書による住民票や戸籍の違法取得は以前から知られていたが、プライム事件によってその悪質性がようやく世間に知れ渡った。この事件では、どれほど真相究明と再発防止が取り組まれているのだろうか?
以下のサイトでは本人通知制度の実現を呼びかけている。東京都では、本人の同意なく第三者から戸籍謄本などが取得された人に対し行政が通知を行う「本人通知」が行われるようになってきているそうだ。
プライム事件の真相究明と東京における本人通知制度(部落解放同盟東京都連合会)
戸籍の不正取得はずっと前から行われているのであり、本来ならとっくの昔にこうした対策を取るべきだったのだ。証拠をつかんで告訴してもまともな捜査をしない捜査機関や、再発防止策を講じてこなかった国や自治体には大きな責任がある。
【11月21日追記】
金坂行政書士の行政処分が東京都のホームページで公表され、名前や事務所所在地などが公表されていた。
行政書士に対する行政処分について ここに書かれている処分理由は以下だ。
被処分者は、平成20年8月22日、職務上請求書を使用して戸籍謄本を請求したが、当該戸籍謄本請求に関して依頼人の本人確認をせず、依頼について記録することもしなかった。このことは、行政書士法第10条の規定に違反する。
被処分者は、業務に関する帳簿を備えていなかった。このことは、行政書士法第9条第1項の規定に違反する。
被処分者は、日本行政書士会連合会の定める領収証を使用していなかった。このことは、行政書士法第13条及び東京都行政書士会会則第28条の2の規定に違反する。
不可解なことに、この理由は私に送られてきた通知には書かれていない。「当該戸籍謄本請求に関して依頼人の本人確認をせず」としているのだが、この書き方では興信所が関わっているという背景は一般の人には分からない。
金坂行政書士は職務上請求書の依頼者名欄に私の名前を書き、使用目的欄に「遺言書作成資料」と書き、提出先欄に「作成後依頼者に渡す」と記入している。しかし、そもそも私は金坂行政書士など知らないし遺言書の依頼もしておらず、当然のことながら金坂行政書士は遺言書を作成してもいなければ私にも渡していない。
「職務上請求書に記入した依頼人とは別の者(興信所)からの依頼によって不正に戸籍謄本を取得し、職務上請求書に依頼者名や使用目的、提出先について虚偽の記載をした」というのが事実である。興信所からの依頼なのだから、私に本人確認をするつもりなど毛頭なかったはずだ。不正を認識しているから、依頼の記録もせず、帳簿も備えず、日本行政書士会連合会の定める領収書を使用していないのだろう。
「依頼人の本人確認をせず」という表現で、興信所からの依頼であったこと、嘘を記入したことを曖昧にしているのである。
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