« ナキウサギフォーラムのお知らせ | トップページ | サホロスキー場の拡張反対を決議したナキウサギフォーラム »

2012/10/19

風評被害を理由に国民に汚染食品を食べさせようとする国

 今日の北海道新聞に「胆振沖マダラ販売を 道、スーパーなどに要請」という記事が掲載されていた。

 9日に室蘭漁協所属の漁船が室蘭の地球岬の南東約50キロ地点で漁獲したマダラから100ベクレルのセシウムが検出された。このために胆振沖で獲れたマダラを流通業者が敬遠する動きがあり、北海道が北海道食品衛生協会とコープさっぽろの2団体に販売自粛を行わないよう文書で要請したという。

 道の要請は、農水省が今年4月に全国の食品団体向けに国の基準値以下の食品について冷静な対応を求める通知を出したことを踏まえているのだが、その通知というのはとんでもないものだ。以下は新聞に掲載されている「放射性物質基準値に関する農林水産省の通知」の概要。

 厚生労働省が定めた放射性セシウムに関する食品の新基準値(4月実施、魚は1キログラム当たり100ベクレル)に関して、農水省が「食品産業団体の長」あてに出した通知文書。3月までの暫定規制値(魚は同500ベクレル)でも、それ以下なら摂取しても健康への悪影響は一般的にないと強調。新基準値はより厳しく設定されていることから、自主検査による過剰な規制などを避けるよう各団体の会員に周知することを求めている。

 500ベクレル以下なら健康への影響がないとは、まるで被ばくの強要だ。こういうことを平然と主張するとは信じがたい神経だ。国の基準値が安全であるなどというのは、チェルノブイリ事故の経験を無視したものだ。以前にも紹介した「膵臓がんサバイバーへの挑戦」というブログの以下の記事で説明されているように、食品による放射性物質の取り込みは大人でも1日10ベクレル以下にするのが望ましい。

セシウム137の体内放射能(1) セシウム137の体内放射能(2) セシウム137の体内放射能(3) セシウム137の体内放射能(4) 

 以下の記事で説明されているように、子どもの食べる食品は検出限界以下のものであるべきだ。

『科学』8月号 学校給食は10Bq/kg以下に 

 私も含め、日本人の大半が福島の原発事故により多かれ少なかれ被ばくをさせられた。農地や海が汚染されてしまった以上、これ以上の被ばくを避けるためには放射性物質を極力取り入れないように努力するしかない。健康被害を懸念する国民は、できる限り汚染されていない食品を求める権利がある。

 新聞記事によると、コープさっぽろは自主検査などで1キロあたり10ベクレルを超す放射性物質が検出された農水産品は販売を控えているそうだ。放射性物質による内部被ばくで健康被害が生じることはチェルノブイリの原発事故で周知の事実だ。たとえ少量であっても体内に放射能を取り込めば、健康被害のリスクは高まる。販売業者がこのような検査や自主規制を行うのは当然のことだろう。

 ところで、宮城県から東京に出荷された牛肉から1キロあたり150ベクレルの放射性セシウムが検出されたとのこと。出荷する牛の全頭検査を行っていても、基準値超えの牛肉が出荷されているというのが現実だ。まして基準値以下のものなら普通に出回っているのだろう。

宮城牛肉 東京食肉処理場で150ベクレル/kgと判明 無駄死に(ざまあみやがれい!)

 だからこそ、流通業者や小売業者による検査は意味がある。ところが、北海道は「風評被害」を理由に自主規制をするなという。実際に汚染された食品が流通しているのであり、「検査で一定以上の汚染が確認されたものは販売しない」ことで生じる被害は、断じて風評被害ではない。それで損害が生じるのなら東電が補償すべきことなのだ。風評被害にすり替えてしまうのは、東電を免責することになる。

 当然のことながら、バンダジェフスキー氏も汚染された食品を食べないよう警告している。

バンダジェフスキー博士訪日を語る(Canard Plus)

 国も地方自治体も汚染された食物を国民に食べさせようと必死のようだ。とんでもない国である。

« ナキウサギフォーラムのお知らせ | トップページ | サホロスキー場の拡張反対を決議したナキウサギフォーラム »

原子力発電」カテゴリの記事

コメント

コープは、風評安全、食べて氏ねと、生産者を汚染地域に縛り付けて、被曝野菜を全国にばら撒き続けています。

安全安心のブランドであるコープが、上記のキャンペーンを初期に行ったことで、不安を感じていた全国の子供を育てている、少し声を出せたはずのお母さんたちを黙らせてしまいました。

コープが率先して汚染野菜をばら撒いたため、流通は何のためらいも無く汚染食品を取り扱うことが出来たのです。

コープは生協法に規定され役員は総代会で選出されリコールも可能です。
心ある人はコープの総代になり(組合員であれば権利があります)まず、犯罪者役員をリコールし、生協のインフラと情報発信能力を手にするべきです。
大きな生協でも総代は500人程度300人の賛同で事を起こせますよ。

あえて言えば、現行の生協を維持継続させる必要はまったくありません。
潰れたらつぶれたで、今まで巨大生協に邪魔されて大きくなれなかった購買組織がいくらでも育つはずです。

各地のコープが同じように汚染食品を流通させているのか、どの程度検査などをしているのか私には分かりません。

コープさっぽろの共同購入では福島産の野菜などは見かけませんが、福島産の桃は販売していました。福島以外の東北・関東産の野菜は普通に販売しています。たとえ検査をしているとしてもそれほど厳密な検査はしていないと思います。産地を選んで購入するしかありません。

残念ながら、コープの「安全・安心」はほとんど信用できないと思っています。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 風評被害を理由に国民に汚染食品を食べさせようとする国:

« ナキウサギフォーラムのお知らせ | トップページ | サホロスキー場の拡張反対を決議したナキウサギフォーラム »

フォト

twitter

2024年10月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

最近のトラックバック

無料ブログはココログ