絶滅が懸念されるカラフトグワイ
カラフトグワイは、寒冷地の湖沼に生育するオモダカ科の水生植物で、浮葉性の葉をつける。北海道にも生育するのだが生育地が限られ、絶滅が懸念されている。環境省のレッドリストでは絶滅危惧ⅠA類だ。
カラフトグワイの図が記載された文献は少ないのだが、滝田謙譲氏の図が知られている。以下参照。
カラフトグワイ(北海道レッドデータブック)
滝田氏の図では、葉が矢尻状の特徴的な形をしている。しかし、実際にはこのような形状の葉は少なく、多くの葉はヤナギの葉のような細長い形だ。滝田氏の図を頭にインプットしていると、まるで別種であるかのような印象を受ける。以下がカラフトグワイの葉。
この写真の一部を拡大してみると、葉の基部が尖って矢尻状になっている葉が4枚ほどあるのが分かる。でも大半は細長い葉だ。
滝田氏の図は花をつけている個体なのだが、成熟しないと矢尻型の特徴的な葉をつけないようだ。こんどは花の時期に行ってみたい。
カラフトグワイは湖沼に生育するため、生育地の湖沼の環境が悪化することで容易に絶滅してしまう。そして近年懸念されるのが外来種のウチダザリガニによる食害だ。人間が営利目的で湖沼に持ち込んだウチダザリガニは、希少植物の絶滅をもたらしかねない。
ウチダザリガニは一度侵入してしまうと根絶させることはほぼ不可能だ。せいぜい捕獲によって個体数を減らしたり増加を抑えることくらいしかできない。この群落もウチダザリガニの脅威にさらされているといえるだろう。
このような湖沼に生育する水生植物は生育地が隔離されている。野鳥などが種子を運ぶことで分布を拡大させるのだろうか?
ところで、このカラフトグワイの写真は先日カヌーから撮影したものだ。カヌーは30年ほど前に「フジタカヌーST-2型」の組み立てキッドを購入した。当時はカヌーに乗る人は限られていたこともあり、かなりマニアックな趣味だった。
カヌーを購入するきっかけは、知人の組み立て式カヌーに乗せてもらったことだ。十勝川の川下りをしたのだが、音もたてずに水面を滑るように進むカヌーは実に気持ちがいいし、水面に近い位置から野鳥などが観察できる。そんなこともあってレジャーというより観察や調査に使えると思った。
かつてカヌーに乗せてもらった彼は、学生時代にアラスカのユーコン川の川下りをしたというツワモノだ。その後、彼は木製カナディアンカヌーの製造を手掛け、今ではカヌーの輸入卸売会社を経営している。
フジタカヌーST-2は骨組みが木製のためにちょっと重いのが難点だが、折り畳み式なので普通の車で持ち運びができる。組み立ては慣れると20分くらいでできるのだが、今回は久しぶりに組み立てたので40分ほどもかかってしまった。もう長いこと使っていなかったので浸水しないかとひやひやしたが、なんの問題もなかった。まだしばらく使えそうだ。
パドルにニスを塗る前にアクリル絵具で水鳥の絵を描いた。左からシロカツオドリ、ソリハシセイタカシギ、アホウドリ、アジサシ。こういうことができるのも組み立てキッドのいいところだ。ただし、今はこのタイプは製造していない。
今度は、このカヌーでミズグモの調査に行ってみたいと思っている。ミズグモは環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類になっているが、池沼に生息することもあって基本的な生息調査すら行われていないのが現状だ。生息地となる池沼や湿地は減少しており、絶滅が懸念される。
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