マツダタカネオニグモは大雪山の高山帯に生息しているか?
3日は大雪山の桂月岳に登ってきた。黒岳の石室からすぐの山だが、これまで登ったことはなかった。
今回の登山の主たる目的は、マツダタカネオニグモ(Aculepeira matsudae)の生息調査だ。このクモは岩の積み重なった岩塊地に生息するのだが、今のところ北海道中央高地の然別火山群一帯と、ユニ石狩岳(ユニ石狩川コース)の登山コースの途中にあるガレ場でしか確認されていない。然別火山群の生息地は標高がおよそ1000~1200メートル前後であり、ユニ石狩岳の生息地は標高約1300メートルだ。どちらも山地ではあるが森林限界より上の高山帯というわけではない。
岩塊地はもちろん大雪山の高山帯にもある。私はこれまでにニペソツ山の前天狗岳の岩塊地や白雲岳の山頂近くの岩塊地でこのクモがいないかと探したことがあるのだが、見つけることができなかった。
桂月岳も山頂付近には岩塊地がある。そこで、調査に行ったのだ。山頂付近の岩塊地はこんな感じ。
面積的にはそれほど広大ではないものの、大きな岩の積み重なりがあり生息が可能と思われるのだが、残念ながら見つけることはできなかった。
このクモに大変よく似た近縁種のAculepeira carbonarioidesは、北米大陸ではアラスカ、カナダのほかロッキー山脈の岩塊地に生息しており、コロラドでは標高11.000フィート(メートルに換算すると3,353メートル)のところにも生息しているという。ロッキー山脈では高山帯の岩塊地にも生息しているクモなのだ。
Map of Aculepeira carbonarioides
Mountain spider - Aculepeira carbonarioides
北米大陸での分布から考えるならば、北海道の高山帯に生息していても何らおかしくはない。ところが、不思議なことに今のところ北海道では高山帯からは見つかっていないのである。
然別火山群での観察では、このクモは天気のよい日には岩塊の間に円網を張って中央に止まっているのだが、天気が悪い日は網もほとんど見られない。桂月岳に登った日も霧がかかっていてほとんど日が差さなかった。この天気では生息していたとしても網を張っていない可能性が高い。
大雪山の高山帯で見つからないのはそもそも生息していないのか、それとも見つけられないだけなのか・・・。この疑問を解くためには晴天の日に岩塊地のある高山帯を調べなければならないのだが、年齢とともに体力の方は自信がなくなる一方だ。
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