マツダタカネオニグモ調査で望岳台へ
晴天に恵まれた昨日は、十勝岳の登山口である望岳台にマツダタカネオニグモの調査に行った。下の写真は望岳台からの十勝岳。写真では分かりにくいが、火口からはもくもくと噴煙が上がっている。
望岳台(標高930m)周辺には岩塊地があり、散策路も整備されている。岩塊地の周辺には植物も豊富で緑岳のように風は強くなく、マツダタカネオニグモの生息適地のように思える。
ただし、気になるのは活火山で岩塊が新しいということだ。近年も小規模な噴火が起きている。1988年末の噴火では私の住んでいるところでも降灰があって雪がうっすらと黒くなった。新しい火山の場合、かつては生息していたが大規模な噴火で絶滅したということも考えられる。
岩塊地に向かうべく散策路の入口を覗いてドッキリ。橋が落ちていて通れそうにない。しかしよく見ると、落ちた橋の横に通路がついている。やれやれ・・・。
散策路を歩いていて気づいたのだが、道の脇に並べられている石が、何者かによって動かされている。
こんな重い石を人がいたずらで動かすとは考えにくい。しかも、何カ所もある。とすると・・・これはヒグマの仕業だろう。アリでも探して石を動かしたのではなかろうか。人間にとってはとてつもなく重い石でも、ヒグマにとっては片手でちょいと動かせるに違いない。くわばらくわばら・・・。
ちょっと歩くと、ナキウサギの声が聞こえる。ここはとてもナキウサギが多いところだ。貯め糞や貯食もある。ナキウサギの糞は大きさといい形といい正露丸にそっくりだ。
目的の岩塊地にはほどなく着いた。こんな場所だ。
露岩帯を登りはじめるとすぐに岩の間に張られた円網を見つけた。「おお、ついに生息確認か!」と小躍りしたのもつかの間、隠れ家からするすると網に出てきた蜘蛛はオレンジ色をしていてマツダタカネオニグモとは違う。ニワオニグモの子グモだ。残念!
しばらく岩塊地を這いつくばって網を探したのだが、円網を張っているクモはニワオニグモの子グモばかりだった。それと、サンロウドヨウグモ。サンロウさんは岩穴の入口に水平に近い円網を張っている。
こちらはヒメグモの仲間。たぶんオオツリガネヒメグモだろう。円網ではなく不規則網を張る。
というわけで、今回も残念ながらマツダタカネオニグモを見つけることはできなかった。私はタカネコモリグモやナキウサギの調査などで北海道各地の岩塊地を見ているが、今のところ然別火山群とユニ石狩岳の大崩れでしか確認していない。このクモは環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類になっているが、北海道中央高地のごく一部の地域の露岩帯にしか生息していないとしたなら希少性はかなり高いといえるだろう。
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