国民を騙す「毒まんじゅう作戦」
「行政に物言えぬ人々」という記事に「毒まんじゅう作戦」という記事からトラックバックがあった。とても興味深い記事なので、是非お読みいただけたらと思う。
毒まんじゅう作戦(へなちょこ自然保護)
まず、この記事の冒頭で科学者が嘘をつく背景に国立大学の法人化があるということを指摘し、以下の記事をリンクしている。
大学の法人化(高知に自然史博物館を)
「行政に物言えぬ人々」の中で私は「現在では大学の教員は自分の研究費を自分でとってこなければならない状況に置かれている」と書いたが、こうした背景にはまさしく大学の法人化がある。法人化によって国からの補助金が大幅に減らされてしまい、教員は研究費を自分でなんとかしなければならない状況に追い込まれているのだ。
そのために、たとえば動植物関係の研究者であれば行政からの調査委託を受けることもあるし、場合によっては開発がらみの調査に関わることもあるだろう。原子力関係などでは企業からお金を出してもらうということにもなってくる。こうしてうまく研究費をとってきて論文を増やせば、業績として認められる。一石二鳥なのだ。しかし、どうしてもお金を出してくれるところの意に沿うような論文を書くことになる。それを嫌ってこのような関係を避けていたら、研究もままならない状況に置かれている。こうして研究者と行政・企業の癒着ができあがっていくのだ。
また、このような状況になると応用分野での研究ばかりがもてはやされ、分類学などの基礎的学問が非常におろそかになってしまう。経済発展に直接役立たない生物の分類などにお金を出す企業や行政はないからだ。よって、基礎的研究がなかなか進まない。まったく嘆かわしい限りだ。
真理を探究すべき科学や研究が、今や経済発展と利潤追求ばかりを目指す政府や業界に操られ、ねじ曲げられてしまっている。本当に真理を探究しようとする研究者は、金の亡者によって社会から排除されるのだ。
「毒まんじゅう作戦」という記事に引用されている植草一秀氏の「日本破壊のTPPと国民生活破壊のTPR」という記事は、扱っている内容こそ違うが、御用学者をつくりだす日本社会の恐るべきシステムが赤裸々に描かれており、一読の価値がある。
この構造はもちろんあらゆる分野に及んでいる。こうやって研究者が嘘をつくようになり、マスコミがその嘘を広め、国民が騙されるのである。そのことは福島の原発事故で誰もが知ることになった。
このようなシステムになっているが故に、残念ながら研究者の良心だけに期待していて何とかなる問題ではなさそうだ。
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