トヨタ自動車のテストコース造成が公共事業?!
以前も取り上げたことがあるが、トヨタ自動車のテストコースを造成するために愛知県豊田市と岡崎市の優れた自然が残されている里山が破壊されようとしており、反対運動が起きている。以下がこの問題について取り上げている「21世紀の巨大開発を考える会」のHPだ。
概要を知りたい方は以下をお読みいただきたい。
トヨタ自動車テストコース問題(日本湿地ネットワーク)
実は、このテストコース造成という巨大な自然破壊事業を実際に施工するのは愛知県の企業庁なのだ。つまり、はじめからトヨタ自動車が購入するという前提で企業庁が造成をし、その費用の全額をトヨタ自動車が支払うことになっている。
そして愛知県企業庁は、土地の売却に同意していなかった地権者のA氏を訴えるという暴挙に出た。A氏は「トヨタ自動車という私企業の事業に愛知県や豊田・岡崎市が手を貸すのはおかしい」という理由で土地の売却に同意していなかったのだ。一審はA氏がお一人で対応し、名古屋地裁岡崎支部はA氏に対し、土地を愛知県に売却せよとの判決を言い渡した。納得のできないA氏は弁護士に相談して控訴した。
A氏が訴えられた経緯については以下のページに説明されている。
裁判所は、一企業の開発行為を公共事業と解釈してA氏に土地の売却を求めたようだが、企業のテストコース造成が公共事業だなどというのはどう考えても無茶苦茶な話だ。いったいどういう思考をしたらこういう結論が出るのだろう。
トヨタ自動車はもちろんあちこちにテストコースを持っているのだが、自然破壊してまで新たなテストコース造成にこだわるのはなぜなのだろう。そして、反対運動がおきたら「里山再生」やら「放棄田の復田」などの対策をすると言い出した。
環境対策を講じることで事業を強引に進めようとするのは、無駄な大型公共事業と同じで「はじめに事業ありき」の構図だ。生物多様性の保全を重視するなら、なによりも開発を止める必要がある。いくら環境対策を講じても自然破壊は免れないし、希少種が保全される保障などどこにもない。騒音に敏感な野鳥などに悪影響を与えるのは必至だろう。環境対策などというのは自然破壊の免罪符でありまやかしにすぎないのだ。
はたしてサシバへの影響は・・・トヨタテストコース予定地を見学して
愛知県企業庁はこの春にも工事を強行しようとしている。生物多様性保全を無視した時代錯誤の開発行為としか言いようがない。
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