市民が脱原発条例の直接請求をした北海道の上士幌町
北海道十勝地方の上士幌町では、市民団体「かみしほろ5000本のひまわりの会」が、「原発いらない町づくり条例」の制定を直接請求するために署名を集め、9月21日に町に提出した。この署名について、今日の北海道新聞十勝版で取り上げられていた。
町選管が確認した署名数は847人だが、このうち12件が同一人物による複数回署名や名簿に記載されていない人の署名とのことで無効とし、有効署名数は835人とのこと。
地方自治体に条例の直接請求をする場合、自治体の有権者の50分の1の署名が必要だ。上士幌町では9月1日現在の有権者数は4363人で、必要数は88人となる。今回の署名活動では有権者の19%が署名をしたことになる。およそ5人に1人だ。
条例制定に取り組んできた「かみしほろ5000本のひまわりの会」が署名集めを始めたのは8月18日。直接請求では署名期間は1カ月と決められており、9月17まで署名集めが行われた。この間にできるだけ多くの署名を集めなくてはならない。締め切り後5日以内に署名簿を提出しなければならず9月21日に提出された。その後、20日間で署名簿の審査が行われる。それが終わったところで新聞記事になったのだ。
12日から18日までの間に町内の有権者に署名簿を公開して異議申し立てを受け付け、申し立てがなければ町長に直接請求を行う。町長は20以内に議会を招集することになるので、来月上旬にも町議会で審議することになる。可決されれば条例成立だが、否決されたら成立しない。条例制定までの流れは以下を参照していただきたい。
町の条例を直接請求するには(PDF)
約1カ月の間で有権者の2割の署名を集めるのは大変なことだ。議会ではこの重みをしっかりと受け止めてもらいたいと思う。
そもそも上士幌町は十勝の内陸部にあり近くに原発を誘致するなどということはあり得ない。しかし、原発事故は広範囲を放射能汚染させるしエネルギー問題でもあるのだから、原発のない自治体だからといって関係ないということにはならない。それに、上士幌町のゴミ焼却施設(北十勝2町環境衛生処理組合)も震災瓦礫の受け入れ問題を抱えている。それぞれの自治体が脱原発の意思表示をして行動を起こすことは、脱原発を全国に広げていくために大きな意味がある。
「かみしほろ5000本のひまわりの会」のつくった条例案は以下。
直接請求署名(チロンヌップチャンネル)
また同会は、9月29日に町議会議員の方たちに公開質問書を送付していて回答期限は10月14日だ。
全国の自治体でこのような動きが起これば、脱原発にむけて大きな力になるだろう。
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