原子力ムラは決して反省しない
昨日の記事「原発事故の責任は誰にあるか?」で、私は「もっとも責任の重い原子力ムラの人たちがやるべきことは、自分たちのとってきた行動を真摯に反省して謝罪し、情報を公開し、被害者にできうる限りの補償をし、汚染地域の住民を避難させ、耕作放棄地などの活用で少しでも安全な食べ物を供給させ、今すぐ原発を止める行動を起こすことだ。それが彼らの責任の取り方だと思う。」と書いた。
しかし、それはもちろん「そうであるべきだ」ということであり、現実にはそれと正反対のことが行われている。以下の記事は、9月27日付でGlobal Researchに掲載されたPaul Zimmermanによる「Fukushima and the Battle for Truth」の全文和訳(童子丸開氏による仮訳)だ。
開始されたフクシマの情報戦争(フクシマからの警告)
ここに書かれているように、チェルノブイリの事故の際にも原発を推進してきた人々は事実を隠ぺいし、様々な情報操作が行われた。日本でもそれは何も変わらない。あの1号機の爆発のときも建屋が吹っ飛んだ映像がテレビに映し出されているのに、東電と政府がそれを認めるまで何時間もかかった。原発周辺の住民にはヨウ素剤を配布せず、SPEEDIも公開せず、事実を隠ぺいし続けてきた。今でも地震による冷却剤喪失事故をはっきりと認めていない。
東北地方から関東地方のかけての広い範囲で深刻な放射能汚染があるのに、その対応策は馬鹿の一つ覚えのように「除染」だ。とんでもなく高い食品の暫定基準値はそのまま。本当のことを報じているインターネットの監視をして情報操作。原子力村の人々の大半は反省などまったくせず、自分たちの保身のために相変わらず安全デマを振りまき、事故や被害の過小評価と反原発潰しに躍起になるのだ。
つまり、原発事故そのものが放射能との闘いという戦争状態なのだが、それに加えて情報戦争が始まっている。真実を伝えようとする研究者や市民と、真実を隠し事実をねじ曲げようとする人たちの闘いといっても過言ではない。だから、私たちはそのことを十分に知って、東電・政府発表、マスコミ報道の裏に隠されたものを嗅ぎ取らなければならない。
放射能防御プロジェクトによる西日本土壌調査第1弾の結果が発表された。
すでに発表されている首都圏の調査結果と比べてみてほしい。
今回の福島の事故でどの地域がどれだけ汚染されたのか、市民の調査によって明らかになりつつあるのだが、福島はもとより関東地方・首都圏の汚染がかなり深刻であることが浮き彫りになった。
首都圏の汚染については東電や政府が何とか隠しておきたいことだろう。だから、文科省は航空モニタリングによる汚染マップを最近になってようやく出したのだ。市民グループがその2カ月も前に実際に土壌を採取して調査しているのに、国は未だに土壌調査によるマップづくりをしていない。怠慢というより恣意的ではなかろうか。市民の調査の重要性がよく分かる。
しかし、西日本がほとんど汚染されていないという事実はある面では救われる。西日本の農作物は今のところ安全だといえるからだ。汚染の酷い地域に暮らす人たちはできるかぎりこのような地域に移住してほしい。本来なら政府はその手助けをするべきなのだが、国のやっていることは避難した人を汚染地域に戻すことだ。呆れて物が言えない。
政府の情報を信じるということは騙されるということだ。今までの政府の言動がそれを示している。市民が自分たちで調べて行動しなければ道は開かれない。
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