これが音更川の堤防洗掘現場だ!
「音更川の堤防洗掘の原因は何か?」で書いた、音更川の堤防洗掘現場を16日に見てきた。写真は上流側から撮影したものだ。
堤防は思っていたより大きく削られており、堤防上の舗装道路もすっぽりと無くなっていて、あと一歩で完全に決壊してしまうような状況だ。テトラポットでなんとかそれ以上の浸食を防いでいる。この日は糠平ダムの放流は止められていた。だから、洗掘されたときより水量は少ないだろう。
洗掘現場の外側(農地のある側。正確には堤内側)にはブロックが積まれ、ブルーシートで覆われた仮の堤防が造られている。決壊の危機を前に雨の中を急ごしらえで造ったのだろう。
写真から分かるように、ここは川が蛇行しており、川の水が堤防にぶつかる格好になっている。しかし、高水敷にまで水が流れたかといえば、そうではない。下の写真のように、テトラポットの手前の高水敷の部分には青々と草が茂っており、水に浸かった形跡がない(右の裸地状の部分はテトラポットを入れる際に重機を入れたので草がないのだろう)。
こちらはやや上流なのだが、高水敷は一部が水に浸かっただけだ。水に浸かった部分が土嚢で囲まれているが、川岸のケショウヤナギは無事だ。ここでも堤防の下部まで水は達していないことが分かる。
ということは、洗掘時には水位はそれほど高くはなかったということだ。通常の雨なら水位が徐々に増えていくので、この程度の水位で堤防が洗掘されることは考えられない。水位がさほど高くはないのに洗掘されたということは、ダムからの放流水が鉄砲水となって一気に流れ下り、蛇行部の堤防に大きな水圧がかかったことによって洗掘されたとしか考えられない。つまり、急激に押し寄せた放流水で堤防の下部が洗掘されて削られ、そこからどんどん浸食が広がったのだろう。
今回の台風12号では和歌山県でも大きな被害が出たが、熊野川水系にある電源開発のダムが、事前放流していなかったために空き容量がなく、台風時に放流したことが洪水被害を拡大させたのではないかという声がある。糠平ダムの放流と似たような構図だ。
発電用のダムの場合、できるだけ貯水量を減らしたくないというのがダム管理者の本音なのだろう。しかし、台風シーズンの夏から秋にかけてはダム湖の満水と大雨が重なりやすいのだ。今回の音更川の事例も、熊野川の事例も、空き容量の確保、放流の量やタイミングなどの妥当性が問われる問題だ。
« 函岳の自然 | トップページ | 9.19脱原発集会での大江健三郎さんと落合恵子さんのスピーチ »
「河川・ダム」カテゴリの記事
- 十勝川水系河川整備計画[変更](原案)への意見書(2023.02.10)
- ダムで壊される戸蔦別川(2022.08.19)
- 集中豪雨による人的被害は防げる(2018.07.11)
- 札内川「礫河原」再生事業を受け売りで正当化する報道への疑問(2015.12.21)
- 異常気象で危険が増大している首都圏(2014.09.17)
コメント