福一から20キロ圏の被曝遺体は何を意味するのか?
福島第一原発から約20キロの圏内に東日本大震災で亡くなった人の遺体が数百から千体あると推定されているというニュースがあった。詳しくは以下の大沼安史さんの記事をご覧いただきたい。
この記事では遺体の見つかっている場所が詳しくは分からないが、大熊町で見つかった遺体が10万cpmまで計れる線量計の針が振り切れたというのだから、相当な被曝量だ。
そこでグーグル・アースで福一から大熊町のあたりを見てみたのだが、このあたりでは海岸近くの住宅も健在で、津波による大きな被害は受けていそうにない。ちなみに、津波で大きな被害を受けたところは、グーグル・アースの画像ではっきりと分かる。
もちろん地震そのものによって数百人から千人もの方が亡くなるということは考えられない。ならば、この方たちの死因はあまりにも不可解ではないか。
原発事故のことを知らずに屋外にいた人たちが大量の放射能を浴びたことも否定できない。大沼さんも指摘しているが、急性障害で被曝死した可能性はないのだろうか。遺体の放射線量が高すぎて収容も困難というが、それを理由に死因の究明を闇に葬ることになる可能性もある。そもそもこれらの遺体はすでにそうとう傷んでいるに違いない。
津波被害のないところになぜこれほどの遺体があり、なぜそれが今まで放置されていたのか? そしてなぜ今頃になって報道されるのだろうか? 不可解なことばかりだ。
【9月4日追記】
この記事は大沼安史さんの9月1日の記事を元に書いたのですが、大沼さんが紹介している共同通信の記事は3月31日のものでした。それをきちんと確認しないままつい最近のニュースだと思って書いてしまいました。お詫びして訂正します。したがって整合性のとれていない部分に取り消し線を入れました。
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福一から20キロ圏内の被ばく遺体に関するコメント
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松田さんのコメント欄に、コメントを残させていただくのは久しぶりです。
いろいろと、原発問題に関する記事を拝読しております。松田さんの記事を拝読いたしますと、市民としては、メディアや政治家が訴える情報を鵜呑みにすることは危ないのかなと、少し考えさせられますね。
ところで、なかなかお尋ねできなかったのですが、松田さんのご意見としては完全に
「日本は原発を全廃、今後の計画も白紙化させるべき」
というご意見なのでしょうか。
それとも、
「一部は存置させる撤廃」
というご意見なのでしょうか。
今度よろしかったら、松田さんご自身が思う原発の今後のお話も、記事にしてみていただけたら嬉しく思います。
投稿: 酒井日香(下ユル子) | 2011/09/07 07:53
酒井日香様
こんにちは。そうですね。東電とか原発を推進あるいは容認してきた政治家の言うことは信じるべきではないでしょう。もちろん、すべてが嘘だというわけではありませんが、事故の過小評価とか、事実の隠ぺいとか、そういうことばかりしていますから。彼らの頭の中にあるのは自己保身とお金です。
マスコミですが、これも東電や政府からの情報をそのまま伝えるニュースが多いですね。マスコミの伝えるニュースとともに、実際に取材しているフリーのジャーナリストの記事とか、東電や政府との関わりを持たない市民科学者、行動している市民の情報をインターネットなどで入手して自分で判断する必要があります。マスコミの報道のほうが正しいなどというのは大嘘です。
私は、原発は一刻も早く全廃すべきだという考えです。原発なしで供給できる電力の中で何とかしていくべきだと思いますし、それはそんなに大変なことだとも思いません。しかし、だからといって少しずつ減らしていくべきだという方たちを批判するつもりもありません。いくら「すぐにでも全廃すべき」と声高に訴えたところで、実社会ではそう簡単に物事が進まないのも確かです。まずは、原発がいかに恐ろしいものであるのかを多くの人が認識し、考えを変えてもらうことが必要だと思います。粘り強く主張し、一人ひとりができることをやっていくしかないでしょう。
それから、福島の原発事故以来このブログも原発関連のことがメインになっていますが、それは日本のみならず地球全体を汚染する極めて深刻な問題だからです。原発問題を無視して自然のことを語っても私にとっては虚しいだけなのです。コントロールできない原子力に手を出したことは人間にとってもっとも愚かな選択だったと思います。
投稿: 松田まゆみ | 2011/09/07 11:30
松田さん、丁寧な返信ありがとうございました。
私もだいたい松田さんと同じ意見、というか、感想でございます。日本国内だけの問題ではないのですよね。。。「地球」という大切な環境そのものが破壊されてしまうわけですから、全地球規模で本当は、原発や核技術全体を含めて、撤廃する方向で考えないとならないんでしょうけど、核技術が「軍事力」と結びついているので、そこが難しいのかも知れません。
1970年代生まれの私たち世代は、アポロ計画やハレー彗星などの影響もあって、
「いつか人類は宇宙に暮らすのだ」
と、漠然と思っていました。
我々のさらに上の世代の人たちはもっと、科学技術に対する幻想が強かったのかもしれないと感じます。
だから、ばんばん国土を汚し、経済優先になってしまうのかなと。
最近の小学生はそうじゃないみたいですね。地球が一番の楽園なのだから、地球こそを大切にしようじゃないかと考える子どもが多いとのことで、少し安心な気もします。
しかし、タバコを断つのと同じで、本当は一気に全廃・撤廃してしまったほうがいいのになぁと個人的には思いますね・・・。
将来的には
「自給自足」
ならぬ
「自電自足」
生活がやってくるのかなぁと思います。自然エネルギーで発電するのは大賛成なのですが、それもそれで環境に負荷をかけるものもあるし、大規模になればやはり自然を破壊しかねないのでは、という気もしますので、やはり、将来的には
「自分の電気は自分で作る」
時代を、目指していくしかないのかなぁと、個人的には思っていたり・・・。
私も原発問題には昔から関心がありまして、またいろいろと勉強させていただきたいと思います。
頑張ってください
投稿: 酒井日香(下ユル子) | 2011/09/08 07:41