大雪山国立公園の石狩川源流部で驚くべき過剰伐採
私は参加できなかったのだが、去る21日、大雪山国立公園の中の石狩川源流部で日本森林生態系保護ネットワークと市民らが違法伐採の調査を行った。この違法伐採についてはこのブログでも何回か報じてきたが、2009年に日本森林生態系保護ネットワークのメンバーが調査に入って疑惑が発覚したものだ。2010年には北海道森林管理局の職員とともに現地に視察に入り、説明を求めていた。
北海道森林管理局は違法な集材路や土場、そして一部の越境伐採は認めたものの、ナンバーテープのない伐根が多数あることについては違法と認めていなかった。そこで調査をするように求めたのだが、前向きな回答は得られていなかった。このために今年6月に市民団体が自ら調査しようと現地に入ったところ、伐根に新たなナンバーテープが付けられていたのだ。 以下がその写真。
この新しいナンバーテープについて北海道森林管理局に問い合わせると、今年に入ってから自分たちで伐根調査をしているとのことだった。そこで、市民団体としても調査をしてみようということになった。計画伐採本数が153本となっている区画(小班)を選んで調査したのだが、なんと697本もの伐根が見つかった。544本もの木が過剰に伐られていたことになる。これは計画伐採本数の4.6倍にあたる。
現場に行ってみるとよくわかるのだが、細い木が残されてスカスカの森林になっている。つまり、お金になりそうな大きさの木はほぼ伐りつくされてしまったということなのだ。伐根の直径はさまざまだが、40~50センチの木が多く、中には80センチ以上の大径木もあった。
調べたのは一部の区画だけなので、他のところもこれほど過剰に伐っているのかどうかは分からないものの、おそらく計画伐採本数の数倍の木が違法に伐られたのではなかろうか。とすると、これは業者が出来心でちょっとだけ余分に伐ったなどという話しではない。お金目当ての盗伐だろう。伐採対象になっていない木を大量に伐って平然としている業者と、それを見て見ぬふりをしている林野庁の姿が見て取れる。それにしても過剰に伐られた木はどう処理されたのか?
北海道新聞の報道によると、北海道森林管理局による伐根調査は今年の6月から7月にかけてのべ1000人体制で行われたという。森林管理局は9月にも結果を公表するとしているのでそれを待ちたいが、調査結果の誤魔化しは許されない。それに、昨年の「過剰に伐ってはいない」という言い訳についてきっちりと謝罪してもらわねばならないだろう。
北海道での違法伐採に関しては、市民団体が「えりもの道有林」「上ノ国の国有林」などの事例を明らかにしてきたほか、大雪山国立公園の「幌加・タウシュベツの皆伐」、十勝東部森林管理署管内のナキウサギ生息地破壊なども追及してきた。それでもなお、国立公園の山奥で林道ゲートに鍵をかけ、こんな大規模な違法伐採が行われているのが実態だ。
この木にはクマの爪痕がつけられていた(左下の斜めに並んだ5本ほど筋が爪痕)。ここに棲んでいるキムンカムイもこの酷い伐採を怒っているに違いない。
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