店主の心意気が伝わってくるいわた書店
北海道新聞の日曜日の2面に「サンデー討論」という対論形式のコーナーがある。今日のそのコーナーを見て、思わず目が釘付けになった。
今回のテーマは「マチの本屋はどうあるべきか」。発言されているお二人のうちの一人は、砂川の「いわた書店」の岩田徹さんだ。
私は昨年「小さな街の書店のゆくえ」という記事を書いたのだが、実はここで取り上げている書店とは、この「いわた書店」なのだ。書店の名前は記憶になかったが、これを読んですぐに「あの本屋さんだ!」とピンときた。
私は上記のブログ記事で「もちろん大きな書店ではありませんが、驚いたのは社会系の本が充実していたこと。ふつうこの規模の書店では、雑誌とか実用本、話題になっている本やベストセラーの本などが主流です。どうみても、売れる本を売ろうというのではなく、売りたい本を売るという、店主の主張が伝わってくる選本です」と書いた。
サンデー討論で岩田さんはこんなことを言っている。
「かつて砂川でも大きな書店の進出がありました。40坪対200坪、同じ土俵じゃ負けちゃいます。量より質で活路を見出しました」
「店内も工夫しています。市立病院が近いので医療関係の本や、僕が一番売りたいと思う本を手前に置きます・・・」
私の感じた通りだった。たとえ小さな街の小さな本屋さんでも、お客さんのニーズを知り、店内の配置もきめ細かい工夫をする。そして、店主が本の仕入れを実に念入りにやっていることが、この記事からしっかりと伝わってくる。
岩田さんは最後にこう言っている。 「その町のお客さんを覚え、その人に向けた本を並べられたら、マチの本屋は十分やっていけると思います」
その通りだと思う。今は大型店ばかりが人気だが、お店というのは大きければいいというものではない。あまりにも大きな書店では検索機で在庫の有無や置かれている棚を確認しなければ本を探すのも大変だし、これでは何とも味気ない。自分の居住する地域にあって限られたスペースに「光る一冊」を見つけられる書店、お客さんの意向をきめ細かく汲み取って仕入れに活かす書店こそ、充実しているといえるのではないだろうか。
いわた書店のHPを覗いてみた。トップページを読むだけで、店主の心意気が伝わってくる。
http://homepage3.nifty.com/iwata/
【8月8日追記】
北海道新聞の記事は、いわた書店のサイト(波乱万丈いわた書店日記)で紹介されている。
http://homepage3.nifty.com/iwata/
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