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2011/08/14

裁判記録の閲覧・謄写の実情

 昨日は「不可解な縦覧文書のコピー禁止の理由」という記事を書いたが、今回は裁判に関わる書面の複写のことについて書いておきたい。

 裁判所に保管されている裁判記録は原則として閲覧することができる。裁判は原則公開ということになっているからだ。ただし刑事裁判の場合は制限が多いらしい。裁判は公開ではあるのだが、実際には書面のやりとりが主なので傍聴に行っても何をやっているのかさっぱり分からない。だから、具体的にどのようなやりとりがされているのかは裁判所に行って記録を閲覧するしかない。もっとも裁判記録を閲覧するには、事件番号をあらかじめ調べておく必要がある。

 ところで、第三者による裁判記録の閲覧は、その名のとおり「閲覧」しかできず謄写(複写)は禁止されている。しかし、利害関係者の場合は謄写もできることになっている。私も札幌地裁に裁判記録の閲覧・謄写に行ったことがあるのだが、裁判所の対応にはいろいろ驚くことばかりだった。

 まず、あらかじめ電話をして事件番号を告げ、裁判所に行く日時を伝えておいた。事件によっては閲覧できないものもあるようだし、事件記録を準備するにも時間がかかるらしい。

 閲覧・謄写の手続きを済ませると、記録閲覧室で分厚い裁判記録を渡される。書類は紐で綴じられており見ただけでコピーするのは難儀だなあと思うのだが、それを見越したように書類をバラさないようにと言われる。しかも、コピーしやすくするために紐を緩めたい場合も、係員に申し出でろというのだから、呆れてしまった。監視下で閲覧しコピーを取らなければならないという感じだ。

 コピー機はコンビニなどにあるような、お金を入れて自分で操作するタイプだ。この料金がコンビニの倍の一枚20円もするのだ。職員にコピーを依頼する場合は、何と1枚50円になる。今の時代、維持経費を入れても20円というのは高すぎで、どう考えてもボッタくりだろう。

 分厚い書類を全部コピーしていたら時間も労力も金額も大変だ。そこで、カメラでの撮影をしていいか聞いてみると、ダメだという。コピーによる複写が可能でも写真撮影がダメだとは、まったく理解できない対応だ。カメラを許可してしまったら、コピー代で稼げなくなるからだろうか?

 ちなみにインターネットで調べてみると、カメラによる撮影は裁判所によって対応が違うようだ。これも信じがたいことだ。

 ある程度の謄写をするにはそれなりの時間がかかるのだが、コピー機を長時間使っている人がいたら待たされることになる。遠くから閲覧・謄写に来たのにコピーで待たされ、写真撮影もできないなどという事態は問題だろう。

 裁判記録の閲覧や謄写ができるといっても、実態はこんな具合なのだ。裁判所は国民に対して開かれているとはちょっと言い難い。少なくともコピー代金は高すぎるし、カメラでの撮影が禁止というのも見直すべきだと思う。

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コメント

私は当事者としての閲覧を拒絶され、不当と感じたため窓口にて録音を開始したところ、訟廷官により退去を命じられました。飽くまで閲覧を求めて、命令に従わなかったところ、警察官により両脇を抱えられて強制退去となりました。
この取り扱いをめぐって、現在訴訟準備中です。相手はさいたま地裁です。代理人となってくれる弁護士がなかなか見つかりません。

当事者でありながら閲覧を拒否されるのは不可解ですね。閲覧拒否の理由はどんなことだったのでしょうか。

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