孫正義氏への疑問
ソフトバンクの孫正義氏が脱原発を明言したときには、私は「原発タレント文化人の責任と姿勢」という記事の中で彼を評価した。しかし、孫氏が自然エネルギーの推進を声高に言い始めたときからなにか胡散臭いものを感じていた。
何といっても孫氏はソフトバンクの社長だ。彼の発言は小出裕章さんや後藤政志さん、田中三彦さん、石橋克彦さんなどといった、それこそ何の利益や見返りを求めずに原発の危険性を訴えている人と同列に考えることはできない。とりわけ自然エネルギー促進発言を始めたときは、「グリーン・ニューディール政策」を打ち出したオバマ氏と大差ないと思った。
孫氏への違和感はどうやら当たっていたようだ。院長先生は以下の記事で孫氏のことを書いているが、まったく同感だ。
脱原発に騙されないよう(院長の独り言)
孫氏は耕作放棄地や休耕田に太陽光パネルを設置することを提唱しているというのだ。日本は山国であり、限られた平野部を中心に居住地や耕作地として利用している。食糧も自給できない国なのに、耕作放棄地や休耕田を発電の場として利用するという発想は信じがたい。福島周辺の農地がかなり汚染されてしまった今、早急に汚染の少ない地域の耕作放棄地や休耕田を農地に復活させなければならないだろう。私はこのことを4月15日に「耕作放棄地の活用を」という記事で書いている。
太陽光発電を進めるのはいいが、土地が限られている日本では、太陽光パネルは建物の屋上や住宅の屋根を利用するのが基本だ。孫氏は日本の農業が滅びてもいいと思っているのだろうか?
孫氏のことではもう一つ言っておかねばならないことがある。携帯電話の電磁波のことだ。このブログでも何回か取り上げたが、携帯電話の基地局からの電磁波も放射能と同じように周辺住民に健康被害を及ぼしているし、携帯電話の電磁波は脳腫瘍を誘発すると言われている。放射能の健康被害を指摘するなら、まずは自分の会社の電磁波問題にもきちんと対応しなければならない。しかし、私の知る限りそのような姿勢は見られない。
携帯電話の電磁波問題を棚に上げて原発事故による放射能汚染を語ったところで、説得力はない。結局、孫氏は大企業の経営者であり、その言動には売名や利益という思惑が絡んでいるとしか思えない。
孫氏に関しては「現代ビジネス」が詳しく報じている。
ソフトバンク孫社長が打ち出した「電田構想」は脱原発の福音か、それとも補助金狙いの新規事業か
「騙す」ということに関連して、興味深い記事を書いているのは「数学屋のメガネ」さんだ。原発推進の御用学者、大橋弘忠氏の主張がいかにいい加減であるかを論じていて面白い。確かにこれほど論理性のないことを平然としゃべるのは御用学者の典型だろう。
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