事態の深刻さがどんどん明らかに
原発事故報道に関しては、もうテレビや新聞ではとても真実がわからない。で、頑張っているのは、やはりネットメディアと週刊誌だろう。とりわけ週刊現代(講談社)は毎週のように原発特集を組んで追求していることが、新聞広告の見出しを見ただけでわかる。週刊現代の版元である講談社の「現代ビジネス」でも、東電や政府の対応の酷さ事故の深刻さ、放射法汚染の実態を簡潔に指摘している。タイトルはかなりセンセーショナルだが、北大農場の牛乳からも微量のセシウムが検出されているのだから、「福島第一原発から1000km圏内は、大なり小なり汚染されています」というのは事実だろう。
陸だけではなく、海の汚染も本当に心配だ。以下の上杉隆氏の記事をお読みいただきたい。政府や都道府県は、生物に蓄積しやすく生物濃縮されるストロンチウムを一切測定していないそうだ。
ストロンチウム90の海産物汚染に無策な日本政府。細野豪志首相補佐官の「約束」に期待したい(DIAMOND online)
福島の事故はチェルノブイリと匹敵ないしはそれを超える汚染とまで言われるようになった。
東電と政府が速やかに情報公開せず、御用学者が安心情報を振りまく、という原子力ムラの構図によって、福島では多くの人が被ばくしてしまったのだ。以下の田中龍作さんの記事に詳しい。これは原子力ムラによる犯罪行為ではないか。
東電と政府は、原発事故が起きてからずっと国民を裏切り、不都合な事実の隠蔽、情報の訂正や後出し、事故や放射能汚染の過小評価にやっきになっていたのだ。しかし、こうしたあまりにも酷い対応に、内部告発も後を絶たない。以下も東電についての驚くべき告発だ。
【驚愕】元東電社員の内部告発(Qetic)
2か月以上もたってはっきり見えてきたのは、当初の東電や政府の説明とはかけ離れた深刻な放射能汚染だ。原発大国のフランス放射線防護原子力安全研究所ですら、さらに7万人を避難させるべきだとの見解を示している。
「さらに7万人が避難すべき」、仏IRSNが福島事故の評価を更新(AFP BB News)
私は3月12日の1号機の爆発の映像を見てから、これは相当大変なことになると直感した。今のところ最悪の事態である水蒸気爆発が起きていないのが不幸中の幸いだが、私たち日本人は大変な状況の中に置かれている。放射能汚染による健康被害、非難した被災者の補償、食べ物の心配、核のゴミの問題、先の見えない不安・・・。しかしながら最大の問題は、まだこの深刻な汚染を認識していない日本人が大勢いることだろう。
文科省は今日、福島県内の児童生徒が今年度に受ける放射線量については「年間1ミリシーベルトを目指す」との目標を発表したそうだ。
しかし、汚染の酷いところでは1ミリシーベルトなどとっくに超えているだろう。1ミリシーベルトを目指すならすぐにでも疎開させねばならない状況なのに、「年間1~20ミリシーベルト」という基準は変えようとしない。言っていることとやっていることが矛盾している。
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