安心どころか不安になる日本の食品の放射能暫定基準値
我が家では生協の共同購入(宅配)で食品を購入している。先日の配達の折に、生協では野菜の放射線の検査を実施しているのか聞いてみた。すると「きちんとやっています。基準値以下のものしか扱っていませんから、安心です」という答えだ。もちろん、私は基準以下だからといって安心できるなんて思っていないが、この配達員の方にいろいろ言っても仕方ないので、それ以上のことは言わなかった。
その後のことだ。配達されたレタスを料理しようと思って冷蔵庫から出して驚いた。たしか注文したのは北海道産のレタスだったのに、届いていたのは別の産地のものだったからだ。あらら、注文ミスをしたのだろうか、と思って納品書を確認してみた。
すると、納品書には「レタス(北海道産)1玉<お詫び>天候不順で○○産を含めてお届けします」となっている。○○産というのは福島の近隣の県だ。明らかに注文ミスではなく、注文とは違う産地のものが事前になんの断りもなく届けられたのだ。
以前も「天候不順」などの理由で違う産地のものが届くことはあったが、食品の放射能汚染が問題となっている時期に、これはないのでは・・・。店舗ならば産地を確認して購入できるが、配達の場合はそれができない。もしかしたら、今後はずっとこんな感じで、注文したのとは異なる産地の野菜が平然と届けられるのだろうかと、とても嫌な気分になった。
放射能で汚染されてしまった土地の農家の方は本当に気の毒だが、消費者が農産物の購入に気を遣うのは当然だ。なぜなら、日本の放射能の基準は、海外に比べると信じがたいほどユルユルで、とても配達のお兄さんの「基準値以下ですから安全です」などという状況ではないからだ。以下、参照いただきたい。
この暫定基準というのは、政府が福島原発の事故を受けて慌てて設定したもの。この基準を上回る食品については、販売しないようにということだ。以下参照。
放射能汚染された食品の取り扱いについて(厚生労働省)
原発のある国の国民として、汚染された作物を食べることは仕方がないという側面はあるかもしれない。しかし、その前にまだそれほど汚染されていない地域の耕作放棄地を復活させるという政策を政府は早急にとるべきだろう。このことは「耕作放棄地の活用を」にも書いた。中高年の人たちはともかく、責任のない子どもや若者には危険なものを食べさせないようにしなければならない。
そんなわけで、今年は庭の花壇を畑にし、野菜をつくることにした。気候が厳しいところなので作れる作物は限られているが、とりあえずの自衛策だ。
どうやら福島の原発事故による内部被ばくは、かなり深刻な状況らしい。
« 容認できないトラックバックは削除します | トップページ | アイヌ墓地発掘問題でシンポジウム »
「原子力発電」カテゴリの記事
- 震災から14年に思うこと(2025.03.11)
- 大地震に警戒を(2024.01.04)
- 二つの大罪(2023.08.24)
- 汚染水を海に流すという犯罪(2023.08.14)
- 原発事故から10年(2021.03.11)
鬼蜘蛛様
いつも新しい情報をありがとうございます。毎日、読ませていただいています。今日は生協のことが書いてあったので、コメントは書かない主義なのですが、一言、書きたくなりました。私は4月で生協を脱退しました。生協が毎月届ける雑誌には、「基準値以内であれば安全、風評に惑わされてはいけない」という、女性研究者の意見が堂々と載っていました。私は年齢が年齢(60代後半)なので、汚染された野菜を食べるにやぶさかではありませんけれど、食べるか食べないかは自分で判断します。こんなことを平然と言う生協に判断を委ねたくないと思いました。ちなみにこの女性研究者は、農薬使用でも同じことを言っていました。
投稿: 小林はるよ | 2011/05/30 18:09
小林はるよ様
コメントありがとうございました。
生協もずいぶん質が下がったものですね。私の入っている生協も、環境問題からスタートしたので、今の姿勢には本当にがっかりです。一般のスーパーとほとんど変わりません。
基準値以下の野菜を売ることは仕方ないかもしれません。でも、「基準値以下なら安全」なんていうデタラメなことを言うのは、組合員に対する欺きですね。せめて、「放射能には“しきい値”はない」「子どもにはとくに気をつけて」くらいの説明はしてもらわないと・・・。
今回の件では、店舗であまり売れない産地の野菜は、宅配で売ってしまおうということなのかとすら勘繰ってしまいました。
投稿: 松田まゆみ | 2011/05/31 06:35
私の居住地は関東の西の地域ですが、ここでもスーパーはどこも、例えば茨城産と愛知産の野菜をごちゃ混ぜというやり方です。ご丁寧に産地表示の袋を外してです。ここも汚染は免れていませんが、地元農家の直売を買っています。出荷を取り扱う農業団体は今も、流通市場を「実需者」と呼び、組織的政治力の無い人々(消費者)の方は向いていない。売るということの本質を考えれば、生協を含め、国ではなく自らが基準を定め、測定を行うのが筋だろうと思います。組織的なものにおもね、消費者を舐める。この発想は淘汰の流れにあったと思いますが、「みんな一緒にがんばろう」の中、反動のプロセスも生まれているように感じます。
投稿: あおぞら | 2011/05/31 06:51
あおぞら様
本州では、どんどん産地表示がいい加減になっているのですね。消費者に選ぶ権利がなくなっている・・・。何のための産地表示なのでしょうか。
販売する側が基準を定め、自ら測定してもらえればいいのですが、北海道の生協などは扱い量が多いし、とても期待できません。どうしても汚染された野菜を避けたい人は、安心できる農家と直接取引するしかないのかも知れません。
これが放射能汚染、原発事故の実態ななのです。いまだに、原発を容認している人の考えが理解できません。
投稿: 松田まゆみ | 2011/05/31 12:11