小出裕章さんの話がどんどん深刻化している
昨日はまた大きな余震が発生した。余震のニュースを聞くたびに原発は大丈夫かと身がちぢむ思いだ。先日から地震の震源地情報をチェックしているが、これまで東北地方に集中していた地震の震源域が西に広がっている。これが何を意味するのか分からないが、なんとも気になる。
小出裕章さんの話が、日を追うごとに深刻になっている。それもそのはずだ。政府はとうとうチェルノブイリ級のレベル7と認定せざるを得なくなっているようだ。あれほど安心情報ばかり流していたのに、事態は悪化するばかりだ。小出さんにここまで言わせるほど、事態は深刻なのだ。煽るつもりはないが、日本人は最悪中の最悪のシナリオも頭の中に入れておく必要がりそうだ。以下を参照してほしい。
http://www.ustream.tv/recorded/13897618
政府やマスコミは今でも本来の冷却システムを回復させることを目指していると言っている。私は3月下旬に大量の汚染水が周辺に漏れ出していると聞いたときから、そんなことは不可能としか思えず、「本来の冷却システムの回復」という意味が理解できなかった。圧力容器に注入した水が汚染水となって大量に格納容器の外に漏れているのだ。閉鎖系になっている本来の冷却システムはすでに破たんしている。破損部分を塞がないかぎり、本来の冷却システムなど使えるはずがない。しかし、破損部分を塞ぐなどというのは不可能だろう。それなのに、どうしてそんなおかしな説明をするのかと不思議でならなかった。小出さんもそのことを指摘している。
小出さんの予測する最悪中の最悪の事態とは、再臨界→メルトダウン→水蒸気爆発→隣接する原子炉の破壊→大量の放射性物質の放出、ということになる。その量は少なくともチェルノブイリの6倍、いやそれ以上になりそうだ。気絶するほど恐ろしい量だ。万一こうなってしまったら、日本中安全なところなどなくなる。再臨界を防ぐにはホウ素をうまく送りこむことが肝要なのだが、うまくいっていない可能性もある。
小出さんは、「事故は必ず起きると考えねばならない」と言っていた。関係者は、すべての電源が失われたなら、今回のような危機的状況になることは分かっていたのだという。ところが、全電源が失われることなどないと強弁して原子力発電を進めてきたのだ。「原子力ムラ」の利権構造のなせる技だ。
原発が安いなどというのもウソ。これは大島堅一さんが計算している(http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2010/siryo48/siryo1-1.pdf参照)。小出さんは、電気が足りないとか足りるとかいう以前に、とにかく原子力はやめるべきだと言っていたが、まったくその通りだと思う。多少不便になっても、原子力なしでやっていかねばならない。湯水のように電気を使って、今の便利な生活を続けようとか現状維持しようというのは人間の驕りでしかない。「今すぐには原子力発電を止められない」などというのは、本当のことが分かっていない人なのだと思う。
「原発には賛成でも反対でもない」などと言っている人は何を考えているのだろう。原子力の問題は「人類を滅ぼす危険があっても進める」のか「脱原発」のどちらかでしかあり得ないのではないか。
とにかく、今はなんとか水蒸気爆発が起きないよう祈るばかりだ。
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