水棺進行という馬鹿げた記事を書くマスコミ
今日の北海道新聞朝刊に、福島第一原発の1号機で意図せずに「水棺」が進行しているという記事が掲載された。「圧力容器内の蒸気が格納容器内で水になったか、圧力容器の底に破損部分があって水が漏れ、格納容器にたまったとみられる」としている。東電は、格納容器は底から約6メートル水が溜まっており、あと約3メートル水位が上がると圧力容器の底に達すると説明したそうだ。水棺については「不可解な水棺」でも書いたが、格納容器はすでに破損しているとしか考えられないのだ。だから水棺などもともと無理なのである。なぜ東電の馬鹿げた説明をマスコミがそのまま記事にするのだろう。
インターネットのニュース報道によると、1号機ではすでに7000トンの水を注入しているという。ところが、格納容器の容量は約6000立方メートルだという。
東日本大震災:福島第1原発事故1号機、格納容器内水6メートル 水棺、事実上進む(毎日新聞)
つまり、すでに格納容器の容量以上の水を注入しているのに、半分ほどしか溜まっていないということになる。注入した水の半分はどこに行っちゃったのか? 格納容器が破損して水が外に漏れているとしか考えられない。だから、水棺などもともとできない話しなのだ。こんなことは小学生でも理解できる。たぶん、格納容器の水位がさらに上がることはないだろう。
東電の会見でこういう矛盾について追及し、東電の回答を記事にするというのが、マスコミ記者の仕事だろう。ところが、この毎日新聞の記事ですら「このまま燃料棒上部まで水位があがるかどうかについては不確定要素もある」という書き方でお茶を濁している。「不確定要素ってなんなの?」と突っ込みたくなる。「格納容器が破損している」となぜ書かないのだろう。
2号機は圧力容器の下部が破損しているのでもともと水棺など不可能なのだが、水棺は3号機も予定していたはずだ。3号機について何の説明もないというのも不思議だ。こちらも格納容器が破損していて、あまり水が溜まっていないのではなかろうか。
東電は、まずこういう基本的な事実をきちんと説明し、格納容器を水で満たす水棺など無理であることを明らかにすべきだ。その上で冷却のための循環システムの構築について説明するというのが筋というものだ。矛盾したり破綻している東電の説明をそのまま記事にするだけのマスコミには、呆れてものが言えない。
« 無視される最悪のシナリオ | トップページ | 日本人は被ばくについてもっと知るべきだ »
「原子力発電」カテゴリの記事
- 大地震に警戒を(2024.01.04)
- 二つの大罪(2023.08.24)
- 汚染水を海に流すという犯罪(2023.08.14)
- 原発事故から10年(2021.03.11)
- 被ばくによる健康被害を「風評」にしてしまう人たちを信じてよいのか(2019.04.19)
コメント