都民や道民にとって原発事故は対岸の火事なのか?
昨日の選挙の結果はだいたい予測はついたものの、東京都の石原慎太郎知事といい、北海道の高橋はるみ知事といい、これまで原発を推進してきた立場だし、今回の選挙でも脱原発を主張していない。それに、あれだけ暴言を吐き続けた石原氏を再度選ぶ都民の気が知れない。このような人たちを首長として選ぶ都民や道民は、今回の事故を対岸の火事としかみていないのだろうか。
万一、格納容器が爆発などしたなら、東京都も北海道も放射能汚染の被害はまぬがれないだろう。マスコミは相変わらず危険情報を流さないが、依然として爆発という最悪の事態の可能性はなくなっていない。というより再臨界の懸念が高まり、事態はさらに悪化しているのだ。
以下は小出裕章さんへの取材の動画だ。11分頃から小出さんが登場するので、時間のない方はそのあたりから聞いてほしい。
小出さんは1号機で再臨界が起きている可能性があることを指摘している。クロル(塩素)38の検出と格納容器内の放射線量の急増から推測できるという。圧力容器内の炉心の上部が水から露出して燃料の被覆管が壊れ、それが注いている水をふさぐように堆積しているのではないかと推測している。再臨界になると熱が出るので、今までのような冷却方法では間に合わなくなり、水蒸気爆発の危険性が高まるという。水で冷却するしかないのだが、再臨界によって発熱が増えると、バランスを保つのが難しくなるのだそうだ。もし水蒸気爆発が起こったなら、今とはけた違いの放射能が放出されることになる。
さて、万一そうなった場合、私たちはどうしたらいいのだろうか? 小出さんによれば、風下200キロから300キロ範囲は避難しなければならないだろうとのこと。つまり、もし風が関東地方に向かっていたなら、首都圏の人たちも被ばくを免れないだろうし、東京の放棄ということもありうるのだ。
もし爆発が起こった場合は、福島原発の映像で分かるので、それを監視している必要があるとのこと。とはいっても、東電が福島第一原発の映像を公開している「ふくいちライブカメラ」は、一時間に一度しか画像が更新されないし、ときとして画像が見られなくなることもある。夜だったら何も見えないだろう。NHKのカメラも福島第一原発を映しているが、はたしてNHKはすみやかに報道するだろうか?
とにかく200キロ、300キロ圏内に居住している方たち、とりわけ妊婦や子どもたち、若い人たちは、最悪の事態である水蒸気爆発の可能性を視野にいれ、いざとなったらすぐに避難できるようにしておいたほうがよさそうだ。福島から首都圏に放射能が届くまで半日くらいはかかりそうなので、その間にできるだけ福島から遠くに移動するしかないだろう。
日本は今、そのような国の存亡の危機にある。しかし今回の選挙結果から、いまだに原発の危険性や、原発事故が国の存亡にかかわることを感じとっていない人たちが多いことがくっきりと浮かび上がった。東電と政府とマスコミによる「安心」「安全」アピールが功を奏したのか、あるいは日本国民は救い難いほど危機管理ができないのか・・・。たぶん両方だろう。
以下は4月5日のニューヨークタイムズに掲載された記事の内容を伝えたものである。今、東電が行っている窒素の注入は、米原子力規制委員会(NRC)の指摘に従ったもののようだが、今も綱渡りの危機的状態であることは確かだ。
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