福島の原発事故情報はテレビよりインターネット中継を
福島第一原発でとんでもない事故が起きてしまった。昨日の3時半頃には1号機で爆発があり建屋が吹き飛んでしまった。テレビでその映像を見たときは、正直いって腰が抜けそうなくらい驚いた。
ところがテレビの報道はどうだろう。1号機が爆発して白煙を上げる映像、建屋の外壁が吹き飛んだ写真を映し出しておきながら、テレビに登場している御用学者とおぼしき解説者はまわりくどい言い回しで要領をえない話しばかりしている。とんでもない状況であるのに、テレビは原発事故の話題を意図的に避けるかのように、津波被災地の映像ばかりを流した。
パニックになることを恐れてのことだろうが、こんな大変な事態に陥っているのに、国や電力会社による記者会見がいつまでたっても開かれない。夕方にようやく開かれた記者会見でも、肝心の原発事故については具体的なことは一切触れず、現場がどうなっているのかがさっぱり分からない。明らかに重大なことを隠しているという印象だ。詳しい情報が出されないまま安心を呼び掛けられたのでは、国民はますます不安を募らせるばかりだ。少なくともその時点で分かっていることくらい、速やかに説明すべきだ。
そんな中で詳しい説明を聞くことができたのが、原子力資料情報室(CNIC)が開いた記者会見だ。私は途中から見たのだが、東芝・元原子炉格納容器設計者の後藤政志氏と、日立バブコック・元原子力圧力容器設計社の田中三彦氏の話は非常に参考になった。
岩上氏の以下のサイトから12日の記者会見の中継を見ることができる。
この記者会見の様子は以下の記事でも紹介されている。
原子炉の格納容器、圧力容器の設計をしていた人たちの話は、テレビでのらりくらりと要領をえない話しをしている御用学者などよりはるかに真に迫る内容で、事態はきわめて深刻なことがよく分かった。
テレビではほとんど報道されていなかったことだと思うが、非常用の冷却用ディーゼル発電機がまったく使用できない状態だったのだ。しかも津波で重油タンクが流されたという。冷却系統が破たんしてしまったという緊急事態だ。しかも、格納容器の中の圧力が設計条件の2倍というとんでもない非常事態になったのだ。設計段階ではこんな圧力になることは考えていないという。お二人の話しからは、とにかく信じがたいような異常事態であることが良く分かる。そして、こんな大変な状態なのに政府が詳しい情報を隠ぺいしていることに対する憤りが溢れていた。もっともな話だ。
今日も17時から第2回目の記者会見が行われる予定だ。テレビニュースよりこちらを視聴することをお勧めする。
3/13(第2回)福島原発に関する原子力資料情報室 記者会見
ビデオニュース・ドットコムhttp://www.videonews.com/および岩上チャンネルhttp://iwakamiyasumi.com/で中継が見られるとのこと。
福島第1原発では第1号機から6号機まであるが、3号機も1号機と同じような危機的状況に陥っているようだし、女川原発でも放射能の測定値が上昇したらしい。コントロールできなくなった原発は危険きわまりない異常事態なのだ。国は無闇に「安全」とか「安心」という言葉を繰り返すのではなく、速やかに正確な情報提供をしてほしい。
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