日本環境法律家連盟が電力会社を相手に公害調停
日本環境法律家連盟が、ホッキョクグマを申請人として日本の電力会社を相手に、温室効果ガスの削減を求める公害調停を起こすという。今年の夏にも、総務省の公害等調整委員会に申請する予定とのこと。
日本では、電力会社の排出する温室効果ガスのことがあまり問題視されないように思う。温室効果ガスの削減のために個人の努力は求められても、大量の温室効果ガスを排出している発電所に対する抗議の声はまず聞かれない。それに比べ、イギリスなどでは国民の意識が随分違う。
イギリスで計画されていた新たな火力発電所の見直しを迫るために、2007年にグリーンピースのメンバー6人が発電所の煙突に登り、煙突にメッセージを書く抗議行動を起こして逮捕・起訴された。しかし、2009年、一般市民からなるイギリスの刑事法院の陪審団はグリーンピースに無罪を言い渡したのだ。陪審団は、毎日2万トンもの二酸化炭素を排出する火力発電所が、地球環境に与える損害を考えれば、グリーンピースの抗議行動は正当であると判断したのだ。以下の動画をご覧いただきたい。
日本で同じことをしたらどうだろう? 日本の裁判所はまず無罪判決などは出さないだろう。なぜ行動を起こしたのかという目的や理由、公共性は棚に上げ、行為の違法性だけを取り上げて有罪にするというのが、鯨肉の裁判からも明らかだ。グリーンピース・ジャパンのメンバーが証拠の確保を目的として鯨肉の持ち出しをしたことに関しては、批判的な国民も多かった。日本では、活動の目的や公共性よりも、行為の違法性のほうが批判されるのだ。
温暖化対策のために太陽光発電を推進するのはいいが、それなら電力会社は自然エネルギー分だけ化石燃料の削減をしなければ意味がない。ところが、日本の発電所ではそのような削減がまったく見えてこないのだ。しかも、温暖化対策の名の下に、危険きわまりない原子力発電所を建設しようと躍起になっている。この国の温暖化対策は絵空事であり、かなり末期的だ。
日本環境法律家連盟の行動は、温室効果ガスの大きな排出源となっている電力会社を問題視するという観点からも意味があると思う。
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