上関原発予定地で中国電力が埋め立て工事を強行
山口県の上関町に計画されている原子力発電所計画では、地元の住民などが粘り強く反対運動を繰り広げている。予定地は瀬戸内海国立公園の中の生物多様性に富む海だ。そこを埋め立てて原発を建設するという計画だ。豊かな漁場の破壊、危険な事故の懸念などから反対運動が広がっているのだが、とりわけ原発予定地の対岸にある祝島では島民の大半が原発に反対している。
その反対運動は壮絶だ。中国電力は、なんとしてでも埋め立て工事にとりかかろうとしているのだが、祝島の漁師らが作業をさせまいと漁船で海に抗議に出る。反対運動をしているのは地元の住民だけではない。「虹のカヤック隊」と呼ばれる若者によるカヤック部隊も応戦している。こうした海での体を張っての抗議は、辺野古の基地反対運動と同じだ。
その中国電力が、2月21日に埋め立て工事を強行してきた。深夜の闇討ちだ。
この緊迫感あふれる様子は以下の「祝島島民の会blog」で報告されている。
【緊急】中国電力、週明けにも数百人規模の動員で埋め立て工事を強行か
中国電力が大動員をかけ、埋め立て工事を強行してきました(1月21日の状況報告)
以下の「虹のカヤック隊」のブログでは、現場の実況中継もしている。
この問題を多くの人に広めてもらいたい。
原発反対の署名も集めている。署名用紙は以下から。
http://shimabito.net/syomeipdf2009.pdf
以下は署名の趣意書だ。
上関町の「原発建設計画中止!」を求める署名(趣意書)
山口県上関町に中国電力による「原発建設計画」が持ち上がって以降、28年が経過します。この長きに渡って地元上関町民は、いわゆる推進派と反対派に二分され、町内の人間関係はズタズタとなって現在を迎えています。
上関原発建設計画は、2001年に国の電源開発基本計画に組み入れがされ、昨年には建設予定地の「埋め立て許可」が出されるなど、一見して建設に向けて着実に進んでいるかのように見えます。しかしそうではありません。地元住民の安心や暮らしへの補償は全く理解を得ていないばかりか数々の問題点を残したまま、国や中国電力によって強行されようとしています。
柏崎苅羽原発事故で証明された耐震性に関する疑念や石川志賀原発での臨界事故や事故隠しの事業者の体質などから原発に対する安全や信頼が大きく揺らいでいます。ひとたび事故を起こせば想定外の大参事を引き起こす可能性を持つ原発は、例え、CO2対策や電力供給上有効だとしてもその選択肢から除くべきものであり、上関原発計画は中止すべきです。
また、埋め立て予定地は瀬戸内海国立公園に含まれており、貴重かつ希少な生物が多く生息している生態系豊かな「生き物の宝庫」と評価されている海域です。埋め立てが行われればこのかけたえのない生態系が失われるのは確実です。貴重かつ希少な生物の生息環境を維持することを求めます。
何より海を隔てて4Kmの対岸にある祝島は、周辺海域を重要な漁場としており、埋め立てが行われれば今でも厳しい営漁生活に更に大打撃をこうむり、生活をすることができなくなります。だからこそ、原発計画浮上以来おおかたの島民が28年間もの長きにわたり、命と生活を守るため一切の妥協なく計画に体を張って反対し続けています。原発は祝島島民の生きる権利を奪うものです。
まだ間に合います。上関原発計画は止めることができます。今回実施するこの署名を大きな力に変えていきます。多くの皆さんの署名を得て、その願いを国や事業者にしっかりと伝え、「上関原発建設計画中止」に結び付けます。
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