人情相撲では済まされない大相撲の八百長
大相撲の八百長問題で共同通信社による世論調査があった。それによると、「八百長はあると思っていた」が76.1%。多くの人が八百長はあると思っていたということだ。
そして、八百長が「絶対にいけないこと」という回答が58.7%。「大相撲の性格上やむを得ない面がある」という回答は27.8%だったという。
大相撲は興行の色彩が強く、真剣勝負で闘うスポーツとは違うという意見もある。だから、ガチンコ勝負を期待するほうがおかしいという意見だ。たしかに7勝7敗の力士に対し、相手が気を使って負けるというようなことはあるのだろう。それは人情とか思いやりといった相撲界の習慣のようなものであろうし、そこまでとやかく言うつもりはない。しかし、相手を立てて意図的に負けるといったことも、口に出さないところが美徳なのではなかろうか。反対に、対戦相手に口に出してお願いすることでもないと思う。
ところが、実態は「お願い」の挨拶に行ったり、昨今では携帯メールでのなまなましい依頼があったということだ。しかも、「お願い」を断ると嫌がらせまでされた力士がいるという。それだけではなく、金銭のやりとりも指摘されている。
こうなってしまったら、れっきとした不正だ。「人情相撲」とか「興行だから仕方ない」などといって黙認するのが良いことだとは思わない。こういうあからさまな不正の依頼に対して、はっきりと断る力士は勇気があると思う。それは人情相撲を否定し真剣勝負だけを良しとすることとは違う。人情から不正へと一線を踏み越えてしまい、それが常態化し悪質化してしまったこと、また嘘をついて不正を隠そうとするところに今回の八百長問題の根の深さあるのだと思う。
多くの市民が「八百長はある」と思っていたということは、マスコミも当然それを把握していたはずだ。ところが、メールという証拠を突きつけられるまでマスコミはダンマリを決め込んでいた。報道した一部の週刊誌は、名誉毀損で訴えられ敗訴してしまった。口を封じることを目的に、嘘をついて事実を報じた週刊誌を提訴したというのが真相ではなかろうか。ところが、週刊誌の敗訴でさらにマスコミはダンマリを決め込んだ。マスコミの姿勢がずるいと思うのは私だけだろうか。
NHKだって八百長を知っていたに違いないが、既得権益を守るために知らんふりをして相撲協会に年間30億円もの資金を投入しつづけてきたのだろう。
全くのスポーツ音痴である私が大相撲のことを書くのもおかしいが、やはりどんな世界であっても嘘をついたり不正をすることは支持されないだろう。日本相撲協会が今回のことで襟を正したいというのなら、認めるところはきちんと認めて改革していくしかないと思う。
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